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「断ったし避けてるのに、まだ待ち伏せされていたりするんだ。瑞希にも危険が及ぶ可能性は捨てきれない」
「僕は大丈夫だよ。那月は休みだけど、渚がいない時は詩がいてくれるし」
「だけど、やっぱり瑞希に何かあったらと思うとな……」
「渚、珍しく弱気だね」
片手で顔の片側を押さえた渚は、苦しそうな表情で首を緩く振った。
「一応これ持ってて」
「防犯ブザー……?」
「GPSも内蔵されてるから」
「これがあれば安心だね」
「使うことがないといいけどな」
渚に小さくて黄色い防犯ブザーを渡されて、僕は制服のポケットにそれをしまった。
「心配しないで、渚。何かあったらすぐブザー鳴らすし、全力で逃げるよ」
「今回のことがなくてもΩを誘拐して身代金を要求する事件もあるくらいだし、専属の護衛をつけたいくらいだ」
「僕はお金持ちのΩじゃないし必要ないよ……」
「でも俺の番候補だ」
「そうだけど……」
詩が待っているΩ校舎の下に着いても、僕を抱きしめたまま離れようとしない渚の腕を軽く叩いて離すように促す。
「渚様、僕がいますので任せて下さい」
「ああ、頼む」
「瑞希、行こう」
「うん。じゃあね、渚」
「メッセージ送るから」
「うん」
僕を離した渚に僕からぎゅっとハグすると、渚は「え? は!?」と驚いた後、「瑞希、もう一回!」と言ってきたけど、僕は詩の腕を引っ張って駆け出した。
「……煽ったらまずかったんじゃない?」
「まずかったかな? たまには優しくしようと思ったんだけど……」
αは基本的にΩ校舎には入らないように周知されている。
だから渚は追いかけてこない。
詩は「あーあ」と言いながら、「でもさ」と続けた。
「渚様、スイッチ入っちゃったんじゃない?」
「スイッチ……?」
「なんでもない」
詩が笑う。
僕はスイッチって何だろうと考え込んだけど、結局分からなかった。
「断ったし避けてるのに、まだ待ち伏せされていたりするんだ。瑞希にも危険が及ぶ可能性は捨てきれない」
「僕は大丈夫だよ。那月は休みだけど、渚がいない時は詩がいてくれるし」
「だけど、やっぱり瑞希に何かあったらと思うとな……」
「渚、珍しく弱気だね」
片手で顔の片側を押さえた渚は、苦しそうな表情で首を緩く振った。
「一応これ持ってて」
「防犯ブザー……?」
「GPSも内蔵されてるから」
「これがあれば安心だね」
「使うことがないといいけどな」
渚に小さくて黄色い防犯ブザーを渡されて、僕は制服のポケットにそれをしまった。
「心配しないで、渚。何かあったらすぐブザー鳴らすし、全力で逃げるよ」
「今回のことがなくてもΩを誘拐して身代金を要求する事件もあるくらいだし、専属の護衛をつけたいくらいだ」
「僕はお金持ちのΩじゃないし必要ないよ……」
「でも俺の番候補だ」
「そうだけど……」
詩が待っているΩ校舎の下に着いても、僕を抱きしめたまま離れようとしない渚の腕を軽く叩いて離すように促す。
「渚様、僕がいますので任せて下さい」
「ああ、頼む」
「瑞希、行こう」
「うん。じゃあね、渚」
「メッセージ送るから」
「うん」
僕を離した渚に僕からぎゅっとハグすると、渚は「え? は!?」と驚いた後、「瑞希、もう一回!」と言ってきたけど、僕は詩の腕を引っ張って駆け出した。
「……煽ったらまずかったんじゃない?」
「まずかったかな? たまには優しくしようと思ったんだけど……」
αは基本的にΩ校舎には入らないように周知されている。
だから渚は追いかけてこない。
詩は「あーあ」と言いながら、「でもさ」と続けた。
「渚様、スイッチ入っちゃったんじゃない?」
「スイッチ……?」
「なんでもない」
詩が笑う。
僕はスイッチって何だろうと考え込んだけど、結局分からなかった。
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