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◇
バレンタイン当日。
早く渡したい気持ちもあったけど、松平くんには何も用意してないし、二人だけの時に渡したいから、放課後まで待っていた。
朝登校する時に松平くんにチョコを渡されそうになったけど、すげなく渚がそれを阻んでいた。
渚からは昼休みに僕が行ったことのない高級店のチョコ詰め合わせを貰ってしまった。
渚はやっぱり僕に甘い。
「発散には付き合わなくていいからね!?」と言ったのに、不敵に笑われてしまった。
どういう意図なのかは怖くて聞けなかった。
「これ、僕から!」
今日も松平くんにはお帰りいただいて、渚と二人の放課後。
学校の中庭でベンチに座りながら、僕は不恰好なラッピングのクッキーを渡した。
「手、作り……?」
「うん。この間の週末にΩ寮のみんなで作ったんだ。でも完全に僕の手作りだよ! みんなのと混ざらないようにハートじゃなくて星型にしたんだ」
「瑞希は可愛いな。嬉しいよ、本当に嬉しい。もったいなくて食べられない」
渚は表情を緩めに緩めて、嬉しそうにクッキーを目の先まで持ち上げて見ている。
「食べないとダメになっちゃうよ。足りなければまだあるから、食べて欲しいな」
「あー。瑞希、好きだ。また好きが更新された」
ぎゅっと抱きつかれて僕は笑った。
「渚、食べて? 僕も味見で食べたけど、美味しかったから!」
「分かったよ。でも本当にもったいなくて……」
そう言いながら、淡い緑の細いリボンを渚が解いた。
僕は美味しいって思ったけど、渚にも美味しいって思ってもらえるかな?
急に不安になってきた……!
「はあ……出来るなら永久保存したかった……。この包みも捨てられないな……」
「えっ、とっとかなくていいからね!?」
渚の危ない発言に軽く引きながら、僕は渚の手からクッキーを入れた袋を取って、クッキーを渚の口元に寄せた。
「……! 美味い……瑞希、美味いよ」
なぜか涙目になっている渚はクッキーを咀嚼して飲み込んだ後、僕の頬に触れるだけのキスをした。
バレンタイン当日。
早く渡したい気持ちもあったけど、松平くんには何も用意してないし、二人だけの時に渡したいから、放課後まで待っていた。
朝登校する時に松平くんにチョコを渡されそうになったけど、すげなく渚がそれを阻んでいた。
渚からは昼休みに僕が行ったことのない高級店のチョコ詰め合わせを貰ってしまった。
渚はやっぱり僕に甘い。
「発散には付き合わなくていいからね!?」と言ったのに、不敵に笑われてしまった。
どういう意図なのかは怖くて聞けなかった。
「これ、僕から!」
今日も松平くんにはお帰りいただいて、渚と二人の放課後。
学校の中庭でベンチに座りながら、僕は不恰好なラッピングのクッキーを渡した。
「手、作り……?」
「うん。この間の週末にΩ寮のみんなで作ったんだ。でも完全に僕の手作りだよ! みんなのと混ざらないようにハートじゃなくて星型にしたんだ」
「瑞希は可愛いな。嬉しいよ、本当に嬉しい。もったいなくて食べられない」
渚は表情を緩めに緩めて、嬉しそうにクッキーを目の先まで持ち上げて見ている。
「食べないとダメになっちゃうよ。足りなければまだあるから、食べて欲しいな」
「あー。瑞希、好きだ。また好きが更新された」
ぎゅっと抱きつかれて僕は笑った。
「渚、食べて? 僕も味見で食べたけど、美味しかったから!」
「分かったよ。でも本当にもったいなくて……」
そう言いながら、淡い緑の細いリボンを渚が解いた。
僕は美味しいって思ったけど、渚にも美味しいって思ってもらえるかな?
急に不安になってきた……!
「はあ……出来るなら永久保存したかった……。この包みも捨てられないな……」
「えっ、とっとかなくていいからね!?」
渚の危ない発言に軽く引きながら、僕は渚の手からクッキーを入れた袋を取って、クッキーを渚の口元に寄せた。
「……! 美味い……瑞希、美味いよ」
なぜか涙目になっている渚はクッキーを咀嚼して飲み込んだ後、僕の頬に触れるだけのキスをした。
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