βからΩになったなら

hina

文字の大きさ
54 / 58

54




バレンタイン当日。
早く渡したい気持ちもあったけど、松平くんには何も用意してないし、二人だけの時に渡したいから、放課後まで待っていた。
朝登校する時に松平くんにチョコを渡されそうになったけど、すげなく渚がそれを阻んでいた。
渚からは昼休みに僕が行ったことのない高級店のチョコ詰め合わせを貰ってしまった。
渚はやっぱり僕に甘い。

「発散には付き合わなくていいからね!?」と言ったのに、不敵に笑われてしまった。
どういう意図なのかは怖くて聞けなかった。


「これ、僕から!」
今日も松平くんにはお帰りいただいて、渚と二人の放課後。
学校の中庭でベンチに座りながら、僕は不恰好なラッピングのクッキーを渡した。

「手、作り……?」
「うん。この間の週末にΩ寮のみんなで作ったんだ。でも完全に僕の手作りだよ! みんなのと混ざらないようにハートじゃなくて星型にしたんだ」
「瑞希は可愛いな。嬉しいよ、本当に嬉しい。もったいなくて食べられない」
渚は表情を緩めに緩めて、嬉しそうにクッキーを目の先まで持ち上げて見ている。

「食べないとダメになっちゃうよ。足りなければまだあるから、食べて欲しいな」
「あー。瑞希、好きだ。また好きが更新された」
ぎゅっと抱きつかれて僕は笑った。

「渚、食べて? 僕も味見で食べたけど、美味しかったから!」
「分かったよ。でも本当にもったいなくて……」
そう言いながら、淡い緑の細いリボンを渚が解いた。
僕は美味しいって思ったけど、渚にも美味しいって思ってもらえるかな?
急に不安になってきた……!

「はあ……出来るなら永久保存したかった……。この包みも捨てられないな……」
「えっ、とっとかなくていいからね!?」
渚の危ない発言に軽く引きながら、僕は渚の手からクッキーを入れた袋を取って、クッキーを渚の口元に寄せた。

「……! 美味い……瑞希、美味いよ」

なぜか涙目になっている渚はクッキーを咀嚼して飲み込んだ後、僕の頬に触れるだけのキスをした。
感想 1

あなたにおすすめの小説

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。

下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。 文章がおかしな所があったので修正しました。 大国の第一王子・αのジスランは、小国の王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。 ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄をするから受け入れてほしいと言われる。 理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、 「必ず僕の国を滅ぼして」 それだけ言い、去っていった。 社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。

ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果

SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。  そこで雪政がひらめいたのは 「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」  アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈  ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ! ※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

アルファのアイツが勃起不全だって言ったの誰だよ!?

モト
BL
中学の頃から一緒のアルファが勃起不全だと噂が流れた。おいおい。それって本当かよ。あんな完璧なアルファが勃起不全とかありえねぇって。 平凡モブのオメガが油断して美味しくいただかれる話。ラブコメ。 ムーンライトノベルズにも掲載しております。

欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日
BL
大量の魔獣によって国が襲われていた。 最後の手段として行った召喚の儀式。 儀式に巻き込まれ、別世界に迷い込んだ拓。 剣と魔法の世界で、魔法が使える様になった拓は冒険者となり、 鍛えられた体、体、身体の逞しい漢達の中で欲望まみれて生きていく。 マッチョ、ガチムチな男の絡みが多く出て来る予定です。 苦手な方はご注意ください。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。