異世界に迷い込んだら神子様と呼ばれてるけど、僕にはもったいないような気がする

hina

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庭を眺めながら食べられる食事室に一緒に行こうと言っていた紫陽はまだ部屋に来てなかった。

時刻はお昼過ぎ。
でも朝もしっかり食べてるしそこまでお腹が空いているわけでもないので、紫陽の部屋で待つことにした。

「双葉くん、湯たんぽの容器持ってきてもらっていい?」
「あ、はい。ただいまお持ちします」

双葉くんが湯たんぽを取りに行って、戻ってくると同時くらいに紫陽がやって来た。

「待たせたか?」
「ううん。紫陽が来るまで湯たんぽで暖を取ろうと思ったら、湯たんぽを持った双葉くんと同時くらいに紫陽が来た」
「そうか。今日の昼を食べる食事室は少し離れているからもう行こう」

紫陽が手を引いて僕を立たせてくれた。

「うん! 今日の昼は何かなあ」
「そう言えば、日々喜がたこ焼きの第一弾が完成しそうだと言っていたよ」
「あ、たこ焼き……すっかり忘れてた……」
「さすがにそれは可哀想だ」
紫陽が苦笑する。僕も申し訳なくて眉を下げた。

「そう言えば僕、もうすぐ誕生日なんだよね……暦は元の世界とちょっと違うけど、おそらく来週か再来週くらいが誕生日だと思う」

秋の終わりが僕の誕生日。そろそろだと思うんだけど……。

「遊の誕生日か! 盛大に祝わなくては……」
「や、いつも通りがいいな……お祝いするにしても出来たら紫陽と二人でささやかにお祝いしたいんだけど……」
「けれど、神子殿……遊を祝いたいという人は多いし、心配ではあるが、城の主殿の前で貴族や民から祝賀を受けるくらいのことはしなくてはならないかもしれない」
「えー!? 僕は遠慮したいな……」
「とりあえず、父に相談してみよう」
「国王陛下に……」

僕はごくりと唾を飲んで、緊張の面持ちで紫陽を見上げた。
食事室は確かに遠くて、紫陽に手をしっかり握られ先導してもらっていた。
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