後宮の中で目立たず生きてます

hina

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「陛下、私を抱いて下さい……」
「……服を着るんだ」
「私は美しいでしょう? どうぞお好きになさって下さい」
「やめてくれ! 君の誘惑には乗らない」

私に擦り寄ってきた服をはだけさせている見た目だけは美しい妃の一人の暴挙を止めて、ため息を吐いた。

「私にはもう愛する人がいる。それは君ではない。後宮は解散する。ここに残ることは出来ない、分かってくれ」
「私は! 承服出来ません! 私こそ、誰よりも陛下をお慕いしております! その心に嘘偽りはございません!」
「君がどうであれ、私の心は決まっている。君が望むなら良い嫁ぎ先を用意しよう。色よい返事を待っている」

私はそう言い放ち、その妃の部屋をあとにした。

あぁ、早くラーナの元に帰って癒されたい。




「そっかあ。決まったんだね、良かった!」
「はい。これもひとえに陛下とラーナ様のお陰でございます。本当に有難う御座います」
「僕はゼファー様にちょっとお願いしただけだよ」

フィルさんがリオンさんに下賜されることになった。
フィルさんは公爵家の出身だけど、リオンさんも侯爵家の次男だし、国王であるゼファー様の覚えもめでたい実力も確かな騎士だからか、とくに公爵家の反発もなく決まったらしい。

フィルさんもリオンさんもゼファー様とは幼い頃から顔見知りだと言うし……。

フィルさんは僕の子供が無事に生まれたら、「マナーの教育係になってもあげても良いよ!」と言っていたらしい。

……ちょっと考えさせてもらおう。


「最近、幸せな報告が多くて嬉しいな」
「相変わらず能天気ですね、ラーナ様」
「失礼だからね!?」

楽しそうに笑うハルムに言い返す。
僕だってたまには反撃もする。

「でも、わりと好きですよ。ラーナ様のそういうところ」
「え、あ、ありがとう」

遊ばれてるのかなと思わなくはないけど、好意はありがたく受け取っておこう。
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