異世界転移したら二人の獣人に出会って旅に同行することになりました

hina

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「暫く握ってて」
「はい」
俺の指を折り曲げて、ぽんと叩いたグレンは機嫌が良さそうに口角を少し上げていた。

「もういいかな。手を開いてみて」
「わあ」

透明だった石が見事に左右に白と黒に染まっていた。

「光と闇属性だね。魔力はとても強い」
「光と闇……」
「僕は闇は持ってないし、光魔術もそんなに得意じゃないんだけど、光魔術なら少しは教えられるよ」
「本当ですか!? 是非教えて下さい! よろしくお願いします」
「スバルは、剣を握ったこともないんだろ? いきなり真剣を持つのは危ないから、まずは木刀で修練を積もう」
「イーサン、僕はまだスバルと話してるんだけど?」
「グレンだって、昨日俺がスバルと話してた時に割り込んできただろ」

二人は俺の頭上で睨み合っているようだった。
頭上はやめて欲しい。切実に。

「ふ、二人とも! ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いしますっ」
「迷惑なんかじゃない」
「そうだよ。もしスバルが光魔術を極めてくれたら、正直凄く僕達の力になるし」
「じゃあ頑張らなきゃですね!」
「でもスバルはいてくれるだけでいいからね」
「俺達が守るからな」
「俺も自分の身を守れるくらいにはなりたいです」
「それは結構難しいんだよ」
グレンに頭を撫でられて、俺は上目遣いにグレンを見上げながら首を傾げた。

「スバルはこれから分かるかもな」
イーサンに肩を抱かれる。

イーサンもグレンも相変わらずスキンシップ過多だけど、とても自然に触れてくるので、注意しそびれてしまう。

二人ともモテそうだし、男の俺に好意を寄せるとも思えないんだけど、何なのだろう。

この世界では男同士でも魔術で子供が出来るし、結婚も出来る……イーサンとグレンの母国では複婚も普通にあるなんて、この時の俺は知らなかったのだ……。
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