9 / 23
9
しおりを挟む
「よろしくお願いします……」
ギルドマスターって、このギルドで一番偉い人だよな。
イーサンとグレンはニコラスさんに何か頼まれていたみたいだし(?)、Sランクともなると扱いも違うのか……。
「それで、スバルも冒険者登録をしたいらしいんだけど」
グレンが言うと、ニコラスさんが頷いた。
「なら、この部屋でするか? 必要な器具とタグを持ってくるからちょっと待っててくれ」
「ああ。悪いな」
イーサンが両手を膝の上で組んだ。
「気にするなよ」
ニコラスさんが笑って席を立ち、入れ替わりでお茶を持ってきたギルド職員のお姉さんが入ってくる。ロシアンブルーの猫獣人みたいで、グレーの髪に猫耳が立っている。
イーサンとグレンに倣い、お姉さんにお礼を言って一口含むと、お茶は紅茶みたいな味がした。
お姉さんが退室して少しすると、両手に水晶玉と灰色の布張りの四角い小さな箱のようなものを持ってニコラスさんが戻ってきた。
「登録する時に簡単なステータスが表示されてしまうけど、それは問題ないか? 口外はしないと誓うが」
「誓いの魔術を使ってくれるか?」
「ああ、分かった」
イーサンと目を合わせたニコラスさんは、自分の唇に左手で触れたあと、人差し指を唇に立てた。
指先が光っていて、誓いの魔術はそれで成ったらしい。
「じゃあ、まずタグに傷などないか確認してくれ」
「あ、はい」
テーブルに器具を置いて向かいのソファに座ったニコラスさんが、箱の中から銀色の金属で作られたタグを取り出して俺に渡す。
「大丈夫です」
金属のタグはつるりとしていて、触り心地が良かった。
俺からタグを受け取ったニコラスさんは、灰色の箱にタグを再び入れた。
「水晶玉に手を置いて、目を閉じててくれ。その際にステータスが表示されるからな」
「はい」
「な……」
「これは……」
「神の愛し子……!?」
三人の声が聞こえるけど、俺は自分のステータスを見れていない。
どんなことが表示されているんだろう。
ギルドマスターって、このギルドで一番偉い人だよな。
イーサンとグレンはニコラスさんに何か頼まれていたみたいだし(?)、Sランクともなると扱いも違うのか……。
「それで、スバルも冒険者登録をしたいらしいんだけど」
グレンが言うと、ニコラスさんが頷いた。
「なら、この部屋でするか? 必要な器具とタグを持ってくるからちょっと待っててくれ」
「ああ。悪いな」
イーサンが両手を膝の上で組んだ。
「気にするなよ」
ニコラスさんが笑って席を立ち、入れ替わりでお茶を持ってきたギルド職員のお姉さんが入ってくる。ロシアンブルーの猫獣人みたいで、グレーの髪に猫耳が立っている。
イーサンとグレンに倣い、お姉さんにお礼を言って一口含むと、お茶は紅茶みたいな味がした。
お姉さんが退室して少しすると、両手に水晶玉と灰色の布張りの四角い小さな箱のようなものを持ってニコラスさんが戻ってきた。
「登録する時に簡単なステータスが表示されてしまうけど、それは問題ないか? 口外はしないと誓うが」
「誓いの魔術を使ってくれるか?」
「ああ、分かった」
イーサンと目を合わせたニコラスさんは、自分の唇に左手で触れたあと、人差し指を唇に立てた。
指先が光っていて、誓いの魔術はそれで成ったらしい。
「じゃあ、まずタグに傷などないか確認してくれ」
「あ、はい」
テーブルに器具を置いて向かいのソファに座ったニコラスさんが、箱の中から銀色の金属で作られたタグを取り出して俺に渡す。
「大丈夫です」
金属のタグはつるりとしていて、触り心地が良かった。
俺からタグを受け取ったニコラスさんは、灰色の箱にタグを再び入れた。
「水晶玉に手を置いて、目を閉じててくれ。その際にステータスが表示されるからな」
「はい」
「な……」
「これは……」
「神の愛し子……!?」
三人の声が聞こえるけど、俺は自分のステータスを見れていない。
どんなことが表示されているんだろう。
33
あなたにおすすめの小説
魔王に転生したら幼馴染が勇者になって僕を倒しに来ました。
なつか
BL
ある日、目を開けると魔王になっていた。
この世界の魔王は必ずいつか勇者に倒されるらしい。でも、争いごとは嫌いだし、平和に暮らしたい!
そう思って魔界作りをがんばっていたのに、突然やってきた勇者にあっさりと敗北。
死ぬ直前に過去を思い出して、勇者が大好きだった幼馴染だったことに気が付いたけど、もうどうしようもない。
次、生まれ変わるとしたらもう魔王は嫌だな、と思いながら再び目を覚ますと、なぜかベッドにつながれていた――。
6話完結の短編です。前半は受けの魔王視点。後半は攻めの勇者視点。
性描写は最終話のみに入ります。
※注意
・攻めは過去に女性と関係を持っていますが、詳細な描写はありません。
・多少の流血表現があるため、「残酷な描写あり」タグを保険としてつけています。
異世界に転移したら運命の人の膝の上でした!
鳴海
BL
ある日、異世界に転移した天音(あまね)は、そこでハインツという名のカイネルシア帝国の皇帝に出会った。
この世界では異世界転移者は”界渡り人”と呼ばれる神からの預かり子で、界渡り人の幸せがこの国の繁栄に大きく関与すると言われている。
界渡り人に幸せになってもらいたいハインツのおかげで離宮に住むことになった天音は、日本にいた頃の何倍も贅沢な暮らしをさせてもらえることになった。
そんな天音がやっと異世界での生活に慣れた頃、なぜか危険な目に遭い始めて……。
異世界転移しました。元天才魔術師との優雅なお茶会が仕事です。
渡辺 佐倉
BL
榊 俊哉はつまらないサラリーマンだった。
それがある日異世界に召喚されてしまった。
勇者を召喚するためのものだったらしいが榊はハズレだったらしい。
元の世界には帰れないと言われた榊が与えられた仕事が、事故で使い物にならなくなった元天才魔法使いの家庭教師という仕事だった。
家庭教師と言っても教えられることはなさそうだけれど、どうやら元天才に異世界の話をしてイマジネーションを復活させてほしいという事らしい。
知らない世界で、独りぼっち。他に仕事もなさそうな榊はその仕事をうけることにした。
(元)天才魔術師×転生者のお話です。
小説家になろうにも掲載しています
【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる
おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。
知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた!
どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。
そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?!
いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?!
会社員男性と、異世界獣人のお話。
※6話で完結します。さくっと読めます。
悪役の運命から逃げたいのに、独占欲騎士様が離してくれません
ちとせ
BL
執着バリバリなクールイケメン騎士×一生懸命な元悪役美貌転生者
地味に生きたい転生悪役と、全力で囲い込む氷の騎士。
乙女ゲームの断罪予定悪役に転生してしまった春野奏。
新しい人生では断罪を回避して穏やかに暮らしたい——そう決意した奏ことカイ・フォン・リヒテンベルクは、善行を積み、目立たず生きることを目標にする。
だが、唯一の誤算は護衛騎士・ゼクスの存在だった。
冷静で用心深く、厳格な彼が護衛としてそばにいるということはやり直し人生前途多難だ…
そう思っていたのに───
「ご自身を大事にしない分、私が守ります」
「あなたは、すべて私のものです。
上書きが……必要ですね」
断罪回避のはずが、護衛騎士に執着されて逃げ道ゼロ!?
護られてるはずなのに、なんだか囚われている気がするのは気のせい?
警戒から始まる、甘く切なく、そしてどこまでも執着深い恋。
一生懸命な転生悪役と、独占欲モンスターな護衛騎士の、主従ラブストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる