異世界転移したら二人の獣人に出会って旅に同行することになりました

hina

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「魔術や魔法の発動には術の精度や自分の魔力、それから精霊の助けが関わってると言われている。だから魔術や魔法を使うものは一日一回のお祈りを欠かさないんだ」
「なるほど……? それでテントの中にも小さな祭壇があるんですね」
「祭壇は俺達の気持ちだけどな。祈るのはいいが、スバルは祭壇には触らないようにな」
イーサンも一緒にグレンの魔術講座を聴きながら、たまに追加の注意事項を教えてくれたりする。

一週間の予定がだいぶ早くダンジョン攻略が出来てしまったので、街まではのんびり帰ることにした。
食料も余ってるし。
今日もグレンの魔術講座が終わったら、イーサンとの剣の修行が待っている。

慣れてないからすぐに疲れてしまうので、テントですぐに休めるのは有り難かった。


「魔法は術式を確立しないで自分の魔力のみで使うから、より精霊の助けによる部分が大きいんですかね?」
「魔術の出力も精霊の助けによる部分が大きいんだけどね。自分の魔法や魔術にどれだけの威力とそれを発出する助けがあるかは、魔術や魔法を使ってみないとわからないからね。次回はちょっとだけ外に出て魔術じゃなくて魔法を使ってみようか」
「魔法は魔術より出来ることが限られてくるけど、剣にのせるなら、時間がかかる魔術よりもすぐ出せる魔法の方が向いてるしな。グレンみたいにノータイムで魔術を出すのは、よっぽど鍛錬しないと無理だから、それは覚えておいてくれな」
「は、はい」

魔法と魔術一つとっても色々あるんだなあと思いながら、今日のグレンの魔術講座は終わった。





「スバルはどこも隙だらけだから、まずはそこから対処していこう。明日からしばらくはちょっと痛い思いもするからな。なるべく軽く触れて打ち込まないようにするけど」
「よろしくお願いします……」

剣の稽古も終わり、テントに戻りグレンに浄化魔術をかけてもらって、マットレスに倒れ込んだ。

「もしあざになるような強い攻撃をされたら、僕が回復してあげるよ」
グレンが隣に座ってきて、身を屈めておでこにキスされる。
「俺が悪いことするみたいじゃないか」
「手加減出来てこそ、指導者だろ?」
「ぐっ……」
「剣の鍛錬ですから、多少痛くても平気です。歩けなくなるのは困るけど……」
「そうはならないと思うがもしもの時は、グレン、頼む」
「勢い余ってということがないように気をつけて下さい。スバルは何も心配しなくていいからね」
「う、うん……」

グレンがイーサンにペナルティつけるとか言い出さないかドキドキしたけど、それはないみたいで俺は胸を撫で下ろした。
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