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第五十三話 黄姫からの挑発
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コンコン、と黒狼は二回だけ木製の扉を叩いた。
黒狼の後ろには、武蔵とルリが並んでいる。
「……入りなさい」
すぐに部屋の中から凛然とした声が返ってきた。
「失礼します」
まずは黒狼が扉を開けて中に入り、続いて武蔵とルリが室内へ入っていく。
そこは以前に案内された部屋とは別だった。
十畳ほどと部屋の広さは変わらない。
部屋の中央に置かれていた長机と、その長机を挟むように二つずつの椅子が置かれているのも同じだ。
だが、この部屋には他にも本棚や小さな机が置かれている。
その小さな机の上には鉢に入った「T」のような形をした植物と、きちっと揃えられた紙束が積まれていた。
仕事中だったのだろう。
黄姫は机の上に積まれた紙束の中身に目を通していた。
数日振りに会った黄姫は、相変わらずの容姿と美貌の持ち主だ。
金糸のような流麗な金髪に、人目を引く長くて尖った両耳。
そして虎の刺繍が入った、黄色の明国風の衣装がよく似合っている。
などと武蔵が思っていると、黄姫は紙束から来客者であった武蔵たちに視線を移した。
「お待ちしていましたよ、宮本武蔵さん」
「待っていた? 俺はここに来ることなど伝えてはおらぬが?」
「赤猫から話は聞いておりました。近いうちに武蔵さんたちが冒険者登録をするためにギルドへ来ることは……もちろん、いつおいでになるかは分かりませんでしたが、あなたがこの冒険者ギルドに入って来たことはすぐに分かりましたよ」
意味深な台詞を口にした黄姫は椅子から立ち上がると、にこやかな笑みを浮かべてこちらに歩いてきた。
「それよりも、まずは礼を言わせてください。この度の一件は本当にありがとうございました」
「何のことだ?」
武蔵は首を傾げると、黄姫は「女子修道院の一件のことです」と言った。
「本来の魔物の討伐任務は元より、不意の襲撃であったギガントエイプまでも倒したくれたことには感謝しかありません。冒険者ギルドの長として心から賛辞を送らせていただきます。武蔵さんがいなかったら冒険者たちだけではなく、女子修道院の人たちも無事ではなかったでしょう」
深々と武蔵に頭を下げる黄姫。
そんな黄姫に対して、武蔵は左右に軽く頭を振って見せた。
「黄姫殿、そのような真似はやめてくれんか。あの巨猿は俺だけの力で倒したのではない。ここいるルリもそうだが、倒せたのは赤猫やファング殿など他の者の協力があってのこと。ゆえに俺だけに感謝をするのは無用に願いたい」
謙遜ではなく、嘘偽りのない本音である。
特にルリの魔法の協力は大変にありがたかった。
ルリが魔法で巨猿の片腕を吹き飛ばしてくれなかったら、致命傷を与えられた頭部への道筋は絶対に出来なかっただろう。
黄姫はにこやかな笑みから一転。
真剣な表情を作って武蔵を見つめる。
「あくまでもギガントエイプを倒した功績は自分だけのものではない、と言うのですね?」
いかにも、と武蔵は大きく頷いた。
「あの巨猿との闘いは戦だった。兵法者同士における一対一の果し合いならばともかく、戦の勝利は個人の手柄ではない」
武蔵は黄姫の眼差しを受け止めつつ言葉を続ける。
「そこのところはお主から他の者たちに説明してもらえんか? 何やらその一件で俺のことが〈街守の剣士〉などと呼ばれているそうだからな。それは俺にとって不本意だ」
黄姫は目を丸くさせた。
「本名とは別に世間へ通った二つ名で呼ばれるのは冒険者もそうですが、武蔵さんのような武人にも実に誉れなことなのですよ」
「それならば尚のことだ。己が認めぬ剣名(世間に通った名前)などいらん。それに俺にはもっと欲しい名がある」
一拍の間をあけたあと、武蔵は力強く口にした。
「天下無双。俺はこの世界においても、並ぶ者のいない兵法者になりたい」
だが、と武蔵はずいっと前のめりになる。
「今は名を得ることよりもやらなければならないことがある。そのために俺はここに来たのだ」
「冒険者登録ですね?」
その通り、とばかりに武蔵は首肯した。
「しかし、欲しいのはそればかりではない。俺はそのあとだんじょんとやらに行って――」
「お待ちください」
不意に武蔵の言葉は黄姫に遮られた。
「どうやら冒険者として早く仕事がしたいから来たわけではなさそうですね」
そう言うと黄姫は「ひとまずはお座りください」と武蔵とルリに椅子に座るように促した。
武蔵とルリは出入口側の椅子にそれぞれ座り、一方の黄姫と黒狼は反対の壁側の椅子に腰を下ろす。
「さて、話を聞かせてもらいましょうか」
全員が椅子に座ったとき、黄姫は口を開いた。
「私が知っているのは武蔵さんたちが刀を求めてルリ・アートマンとともに異人街へ向かった、というところまでなのです。ですが、どうやらその様子ですと順調に刀を手に入れたとは言い難いようですね」
「分かるか?」
こくり、と黄姫は小さく頷いた。
「これでも普通の人間よりも多く年を重ねている身ですので。それにお弟子であられる伊織さんがここにいないことが、何か不測の事態が起こったことを雄弁に物語っている。これでは〈聴剄〉を使うまでもありません」
「〈聴剄〉?」
耳慣れない言葉に武蔵が訊き返すと、黄姫は「それよりも」と武蔵たちに何があったのか尋ねてくる。
武蔵は焦る気持ちを落ち着かせ、異人街で何が起こったのか説明していく。
鉄斧牛のリーチのこと。
鍛冶屋で出会った若い刀工のこと。
隻腕の兵法者のこと。
白龍寺という廃寺で起こったこと。
そして、伊織の身に起こった異変と現状のこと。
武蔵はこれらすべてを包み隠さず黄姫に話した。
「なるほど、事情はよく分かりました。まさか、伊織さんの身にそのようなことが起こったとは……」
黄姫は神妙な顔つきで両腕を緩く組む。
「話を聞く限り、間違いなく伊織さんの症状は天理の力の暴走ゆえです。それも伊織さんは幸か不幸か〈練気化〉と〈五輪功〉の二つを同時に顕現させてしまった。正しい師の前で行う熟練者ならばともかく、未熟な人間がこれら二つを同時に顕現させたことは〝死〟を意味します」
死、という明確な言葉に武蔵は寒気を覚えた。
やはり、このままでは伊織の身に確実な死が訪れるに違いない。
「そして、この症状が出た者を救うことは普通の薬や回復魔法では出来ません。それこそ、製薬化させた〈ソーマ〉しかないのです」
「うむ、そのために俺はここに来たのだ。聞くところによると、そのそうまという草はだんじょんでしか手に入らないと聞いた。そして、だんじょんに行くためには冒険者にならないと無理だとも……それは真実か?」
「……はい、大体のところは」
「ならば、すぐに俺を冒険者とやらにしてくれ。今でも伊織は死の淵に立たされて苦しんでおるのだ。一刻も早くだんじょんとやらでそうまを見つけて伊織を助けてやりたい」
「ですが、〈ソーマ〉の入手難易度は色々なことを含めてSクラスです。いくら街災級――討伐難易度Sクラスのギガントエイプを倒した武蔵さんとはいえ、単独での入手は限りなく不可能。隣にいるルリ・アートマンのサポートを受けた状態でも入手は非常に困難でしょう」
武蔵の片眉がぴくりと動いた。
「まるでそうまを諦めろとでも言わんばかりだな」
「実際にそれほど〈ソーマ〉の入手は大変に難しいということです。また、ここ最近の迷宮の治安はとある組織と魔物たちによって悪化の一途を辿っています。低ランクのアイテムや薬草の採取は今のところ問題はありませんが、〈ソーマ〉などの宝物級の入手となると武蔵さんの命も危ういかもしれませんよ」
「構わん」
武蔵はまったく臆することなく答える。
「どこに行って何をしようと俺のやるべきことは変わらん。それにあの巨猿ほどの魔物ならばともかく、ごぶりんやおおく程度の魔物ならば恐るるに足りん」
虚勢や強がりではない。
武蔵はたとえ迷宮でどんな魔物に遭遇しても、自分の腕前ならば打ち倒せると本気で思っていた。
そんな武蔵を見て黄姫はため息をつく。
「武蔵さん……確かにあなたはお強い。ランクなど関係なく、ギガントエイプを倒すほどの腕前の持ち主はSランクでもそうはいないでしょう」
ですが、と黄姫は語気を強めた。
「これだけははっきりと申し上げます。今のあなたは何も知らない子供同然です。どれほど武の技量があったとしても、天理についての知識や実力に欠けるあなたが迷宮で目的を達することができるとは思えません」
「何だと?」
これには武蔵も憤りを覚えた。
この魔法や魔物が存在する異世界ではともかく、自分は元の世界では佐々木小次郎を打ち倒して世に天下無双人と名が通った兵法者である。
その一角の兵法者に向かって技量が童(子供)同然だと言うのは侮蔑以外の何物でもなかった。
「お主、俺を愚弄するのか? 事と次第によってはただではおかんぞ」
武蔵は瞬時に椅子から立ち上がると、右半身になって腰を落とした。
それだけではない。
左手の親指で大刀の鯉口を切る。
「ちょ、ちょい待ち。一体、何をする気や?」
ルリが焦るのも当然だった。
武蔵の構えは明らかに居合の構えだったのだ。
しかし、一方の黄姫と黒狼は微塵も動揺しない。
それどころか、黄姫は微笑を浮かべた。
「口で説明しても分からないでしょうね……いいでしょう」
そして黄姫は座ったまま武蔵に言い放つ。
「その刀で私の首を落としてごらんなさい」
黒狼の後ろには、武蔵とルリが並んでいる。
「……入りなさい」
すぐに部屋の中から凛然とした声が返ってきた。
「失礼します」
まずは黒狼が扉を開けて中に入り、続いて武蔵とルリが室内へ入っていく。
そこは以前に案内された部屋とは別だった。
十畳ほどと部屋の広さは変わらない。
部屋の中央に置かれていた長机と、その長机を挟むように二つずつの椅子が置かれているのも同じだ。
だが、この部屋には他にも本棚や小さな机が置かれている。
その小さな机の上には鉢に入った「T」のような形をした植物と、きちっと揃えられた紙束が積まれていた。
仕事中だったのだろう。
黄姫は机の上に積まれた紙束の中身に目を通していた。
数日振りに会った黄姫は、相変わらずの容姿と美貌の持ち主だ。
金糸のような流麗な金髪に、人目を引く長くて尖った両耳。
そして虎の刺繍が入った、黄色の明国風の衣装がよく似合っている。
などと武蔵が思っていると、黄姫は紙束から来客者であった武蔵たちに視線を移した。
「お待ちしていましたよ、宮本武蔵さん」
「待っていた? 俺はここに来ることなど伝えてはおらぬが?」
「赤猫から話は聞いておりました。近いうちに武蔵さんたちが冒険者登録をするためにギルドへ来ることは……もちろん、いつおいでになるかは分かりませんでしたが、あなたがこの冒険者ギルドに入って来たことはすぐに分かりましたよ」
意味深な台詞を口にした黄姫は椅子から立ち上がると、にこやかな笑みを浮かべてこちらに歩いてきた。
「それよりも、まずは礼を言わせてください。この度の一件は本当にありがとうございました」
「何のことだ?」
武蔵は首を傾げると、黄姫は「女子修道院の一件のことです」と言った。
「本来の魔物の討伐任務は元より、不意の襲撃であったギガントエイプまでも倒したくれたことには感謝しかありません。冒険者ギルドの長として心から賛辞を送らせていただきます。武蔵さんがいなかったら冒険者たちだけではなく、女子修道院の人たちも無事ではなかったでしょう」
深々と武蔵に頭を下げる黄姫。
そんな黄姫に対して、武蔵は左右に軽く頭を振って見せた。
「黄姫殿、そのような真似はやめてくれんか。あの巨猿は俺だけの力で倒したのではない。ここいるルリもそうだが、倒せたのは赤猫やファング殿など他の者の協力があってのこと。ゆえに俺だけに感謝をするのは無用に願いたい」
謙遜ではなく、嘘偽りのない本音である。
特にルリの魔法の協力は大変にありがたかった。
ルリが魔法で巨猿の片腕を吹き飛ばしてくれなかったら、致命傷を与えられた頭部への道筋は絶対に出来なかっただろう。
黄姫はにこやかな笑みから一転。
真剣な表情を作って武蔵を見つめる。
「あくまでもギガントエイプを倒した功績は自分だけのものではない、と言うのですね?」
いかにも、と武蔵は大きく頷いた。
「あの巨猿との闘いは戦だった。兵法者同士における一対一の果し合いならばともかく、戦の勝利は個人の手柄ではない」
武蔵は黄姫の眼差しを受け止めつつ言葉を続ける。
「そこのところはお主から他の者たちに説明してもらえんか? 何やらその一件で俺のことが〈街守の剣士〉などと呼ばれているそうだからな。それは俺にとって不本意だ」
黄姫は目を丸くさせた。
「本名とは別に世間へ通った二つ名で呼ばれるのは冒険者もそうですが、武蔵さんのような武人にも実に誉れなことなのですよ」
「それならば尚のことだ。己が認めぬ剣名(世間に通った名前)などいらん。それに俺にはもっと欲しい名がある」
一拍の間をあけたあと、武蔵は力強く口にした。
「天下無双。俺はこの世界においても、並ぶ者のいない兵法者になりたい」
だが、と武蔵はずいっと前のめりになる。
「今は名を得ることよりもやらなければならないことがある。そのために俺はここに来たのだ」
「冒険者登録ですね?」
その通り、とばかりに武蔵は首肯した。
「しかし、欲しいのはそればかりではない。俺はそのあとだんじょんとやらに行って――」
「お待ちください」
不意に武蔵の言葉は黄姫に遮られた。
「どうやら冒険者として早く仕事がしたいから来たわけではなさそうですね」
そう言うと黄姫は「ひとまずはお座りください」と武蔵とルリに椅子に座るように促した。
武蔵とルリは出入口側の椅子にそれぞれ座り、一方の黄姫と黒狼は反対の壁側の椅子に腰を下ろす。
「さて、話を聞かせてもらいましょうか」
全員が椅子に座ったとき、黄姫は口を開いた。
「私が知っているのは武蔵さんたちが刀を求めてルリ・アートマンとともに異人街へ向かった、というところまでなのです。ですが、どうやらその様子ですと順調に刀を手に入れたとは言い難いようですね」
「分かるか?」
こくり、と黄姫は小さく頷いた。
「これでも普通の人間よりも多く年を重ねている身ですので。それにお弟子であられる伊織さんがここにいないことが、何か不測の事態が起こったことを雄弁に物語っている。これでは〈聴剄〉を使うまでもありません」
「〈聴剄〉?」
耳慣れない言葉に武蔵が訊き返すと、黄姫は「それよりも」と武蔵たちに何があったのか尋ねてくる。
武蔵は焦る気持ちを落ち着かせ、異人街で何が起こったのか説明していく。
鉄斧牛のリーチのこと。
鍛冶屋で出会った若い刀工のこと。
隻腕の兵法者のこと。
白龍寺という廃寺で起こったこと。
そして、伊織の身に起こった異変と現状のこと。
武蔵はこれらすべてを包み隠さず黄姫に話した。
「なるほど、事情はよく分かりました。まさか、伊織さんの身にそのようなことが起こったとは……」
黄姫は神妙な顔つきで両腕を緩く組む。
「話を聞く限り、間違いなく伊織さんの症状は天理の力の暴走ゆえです。それも伊織さんは幸か不幸か〈練気化〉と〈五輪功〉の二つを同時に顕現させてしまった。正しい師の前で行う熟練者ならばともかく、未熟な人間がこれら二つを同時に顕現させたことは〝死〟を意味します」
死、という明確な言葉に武蔵は寒気を覚えた。
やはり、このままでは伊織の身に確実な死が訪れるに違いない。
「そして、この症状が出た者を救うことは普通の薬や回復魔法では出来ません。それこそ、製薬化させた〈ソーマ〉しかないのです」
「うむ、そのために俺はここに来たのだ。聞くところによると、そのそうまという草はだんじょんでしか手に入らないと聞いた。そして、だんじょんに行くためには冒険者にならないと無理だとも……それは真実か?」
「……はい、大体のところは」
「ならば、すぐに俺を冒険者とやらにしてくれ。今でも伊織は死の淵に立たされて苦しんでおるのだ。一刻も早くだんじょんとやらでそうまを見つけて伊織を助けてやりたい」
「ですが、〈ソーマ〉の入手難易度は色々なことを含めてSクラスです。いくら街災級――討伐難易度Sクラスのギガントエイプを倒した武蔵さんとはいえ、単独での入手は限りなく不可能。隣にいるルリ・アートマンのサポートを受けた状態でも入手は非常に困難でしょう」
武蔵の片眉がぴくりと動いた。
「まるでそうまを諦めろとでも言わんばかりだな」
「実際にそれほど〈ソーマ〉の入手は大変に難しいということです。また、ここ最近の迷宮の治安はとある組織と魔物たちによって悪化の一途を辿っています。低ランクのアイテムや薬草の採取は今のところ問題はありませんが、〈ソーマ〉などの宝物級の入手となると武蔵さんの命も危ういかもしれませんよ」
「構わん」
武蔵はまったく臆することなく答える。
「どこに行って何をしようと俺のやるべきことは変わらん。それにあの巨猿ほどの魔物ならばともかく、ごぶりんやおおく程度の魔物ならば恐るるに足りん」
虚勢や強がりではない。
武蔵はたとえ迷宮でどんな魔物に遭遇しても、自分の腕前ならば打ち倒せると本気で思っていた。
そんな武蔵を見て黄姫はため息をつく。
「武蔵さん……確かにあなたはお強い。ランクなど関係なく、ギガントエイプを倒すほどの腕前の持ち主はSランクでもそうはいないでしょう」
ですが、と黄姫は語気を強めた。
「これだけははっきりと申し上げます。今のあなたは何も知らない子供同然です。どれほど武の技量があったとしても、天理についての知識や実力に欠けるあなたが迷宮で目的を達することができるとは思えません」
「何だと?」
これには武蔵も憤りを覚えた。
この魔法や魔物が存在する異世界ではともかく、自分は元の世界では佐々木小次郎を打ち倒して世に天下無双人と名が通った兵法者である。
その一角の兵法者に向かって技量が童(子供)同然だと言うのは侮蔑以外の何物でもなかった。
「お主、俺を愚弄するのか? 事と次第によってはただではおかんぞ」
武蔵は瞬時に椅子から立ち上がると、右半身になって腰を落とした。
それだけではない。
左手の親指で大刀の鯉口を切る。
「ちょ、ちょい待ち。一体、何をする気や?」
ルリが焦るのも当然だった。
武蔵の構えは明らかに居合の構えだったのだ。
しかし、一方の黄姫と黒狼は微塵も動揺しない。
それどころか、黄姫は微笑を浮かべた。
「口で説明しても分からないでしょうね……いいでしょう」
そして黄姫は座ったまま武蔵に言い放つ。
「その刀で私の首を落としてごらんなさい」
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