【完結】追放された実は最強道士だった俺、異国の元勇者の美剣女と出会ったことで、皇帝すらも認めるほどまで成り上がる

ともボン

文字の大きさ
30 / 67

第三十話   仙獣との対決 其の一

しおりを挟む
 キイイイイイイイイイイイイ――――ッ!

 結構な広さがある裏庭に、火眼かがん玉兎ぎょくと威嚇いかくとも取れる鳴き声がとどろいた。

 周囲の空気はビリビリと震え、木の枝で羽を休めていた鳥たちが一斉いっせいに空へと飛び去って行く。

 それでも俺はまったく動じない。

 まゆ1つ動かさず、〈周天しゅうてん〉を維持いじしたまま火眼かがん玉兎ぎょくとをじっと見つめる。

 そんな俺を見て、火眼かがん玉兎ぎょくとも本当に理解したのだろう。

 自分から5けん(約10メートル)先にいる俺が普通ではない武器を持った、半ば仙人の力を有している半仙はんせんであることを。

 やがて火眼かがん玉兎ぎょくとは、大型の猛獣が獲物えものを仕留めるときのような深い前傾姿勢ぜんけいしせいとなった。

 鋭くとがった一本つのの先端は、明確に俺へと狙いが定まっている。

 今の俺の構えに対抗したつもりか。

 俺は〈七星剣しちせいけん〉のを――。

 火眼かがん玉兎ぎょくとは長剣のように鋭い一本つのを――。

 俺たちは十分な距離を保ったまま、互いの武器を見せつけながら向かい合う。

 次の瞬間、しびれを切らした火眼かがん玉兎ぎょくとが動いた。

 強弓ごうきゅうから放たれた矢のように、大量の砂埃すなぼこりを舞い上げながら突進してくる。

 いいだろう、まずは最初の形状武器で小手調べだ。

 俺は〈七星剣しちせいけん〉のいち番目の形状武器――破山剣はざんけんを下段に構えると、地面を強く蹴って火眼かがん玉兎ぎょくと疾駆しっくする。

 あっという間に互いの距離が1けん(約2メートル)までちぢまったとき、すかさず俺は間合いを外すために大きく真横に移動した。

 すると火眼かがん玉兎ぎょくとは俺の動きに反応して急停止し、再び俺を追い詰めるために身体ごと方向転換して猛進もうしんしてくる。

 ――遅いッ!

 俺は相手が方向転換した際の一瞬のにぶりを見逃さず、直進してきた火眼かがん玉兎ぎょくとの真上を跳びすように跳躍ちょうやくした。

 そして俺は火眼かがん玉兎ぎょくとの突進を空中でかわしながら、火眼かがん玉兎ぎょくとの背中に向かって電光のごとき速さで剣を振るう。

 ザシュッ!

 風すらも切り裂かんばかりの鋭い音とともに、火眼かがん玉兎ぎょくとの背中に走った傷口から鮮血がき出す。

 仙獣せんじゅうと言えども、死ぬ前までは肉の身体を持つ獣だ。

 傷口から出る血は普通の動物と同じ赤色である。

 キイイイイイイイイイイイイ――――…………

 俺が地面に着地すると同時に、その場で止まった火眼かがん玉兎ぎょくとはまたしても鳴いた。

 しかし、今度の鳴き声は威嚇いかくではなく悲鳴だろう。

 俺は後方に飛んで距離を取ると、破山剣はざんけんの切っ先を突きつける。

 少し拍子抜ひょうしぬけだな。

 てっきりもっと強いと思っていたのだが、この程度の実力なら〈七星剣しちせいけん〉を破山剣はざんけん以外に形状変化させるほどではないだろう。

 などと俺が火眼かがん玉兎ぎょくと落胆らくたんしたときだった。

「キイイッ!」

 火眼かがん玉兎ぎょくとは腹の底から鳴いて俺に向き直ると、怒りで全身を震わせながら姿形すがたかたちをさらに変化させていく。

「な、何や!」

「嘘でしょう!」

 やがて火眼かがん玉兎ぎょくと姿形すがたかたちを変化させ終わったとき、アリシアと春花しゅんかは信じられないとばかりに声を上げた。

 当然といえば当然だ。

 火眼かがん玉兎ぎょくとは4足歩行の状態から人間のような2本足で立つようになり、そればかりか10しゃく(約3メートル)を超えるほどの筋骨隆々な人型となったからだ。

 しかも体格に合わせて一本つのも太く長くなったのである。

 どうやら、この姿こそ火眼かがん玉兎ぎょくとの最終形態なのだろう。

 そう判断した直後、火眼かがん玉兎ぎょくとは予想外の行動に出た。

 火眼かがん玉兎ぎょくとは自分の額から生えていた一本つのをねじり取ると、先端の部分を持ち手にして地面に激しく叩きつけたのである。

 ドォンッ!

 と、けたたましい衝撃音が裏庭全体に響き渡った。

 音だけではない。

 一種の棍棒のように使われた一本つのの威力は凄まじく、まるで火薬でも爆発したように地面には大きな穴が穿うがたれた。

 これにはアリシアと春花しゅんかも、俺に対する命の危険を感じたのだろう。

「兄さん、アカン! あんな化け物に1人で勝てるわけない!」

「そうよ、龍信りゅうしん! いくら何でも、あんなミノタロウスみたいなヤツと1人で闘うなんて無謀むぼうだわ!」

 よほど最終形態となった火眼かがん玉兎ぎょくとに恐怖をいだいたのか、2人の慌てぶりは声色こわいろからでも十二分に聞き取れることができる。

 特にアリシアなどは、長剣を抜いて今にも俺の元へ走ってきそうだ。

 しかし、そんな2人に対して俺は冷静に告げた。

「心配するな。すぐに終わる」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。 追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。 恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。 それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。 やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。 鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。 ※小説家になろうにも投稿しています。

防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました

黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった! これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

処理中です...