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第一章
1・前略、元ご家族様
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前略、意地悪な義母さま、役立たずのお父様、意地悪すぎる義兄さま。
全然世話になってないんだけど、離れられてせいせいします。
私キイロ、赤ん坊の頃から髪色が黄色かったせいとあまりに母が病んでいたのでキイロって変な名前を付けられた花の十六歳。
『お前なんかを嫁に貰ってくれる家があるんだからとっとと行ってこい』と半ばというか完全に追い出される格好で、クソ安……義母さまがご用意して下さったかび臭い質流れ品のサイズも合わない黄ばんだ白無垢を着せられて、うわーカビくせえなオイと思いながら、どうすれば嫁ぎ先でとっとと離縁されるだろうかと思いながら、ぼろ馬車に揺られて嫁ぎ先の近くへ向かっている途中でございます。
はーやれやれ、嫁ぎ先だったらごはんはまともに食べれるのかなあ、せめてお味噌使っても怒られなかったらいいんだけど。
どこからか香ばしい香りがただよってきて、これから嫁入りだというのにおなかがぐうとなってしまった。
(ああ、おなかがすきました)
一応嫁入りなら結婚式的なものをしてくれたらおなかいっぱい食べられるのかもしれないなあ。
そうならいいなあ。
そんで食べるだけ食べて、なんだこいつって思われて、すみませんがお前みたいな卑しい娘はお返しするって言われたら、すまんが働かせてくれや、次に働き場所見つけたらとっとと出て行くからさ、くらいの交渉はできると思う。
割と苦労したんで。
とか思っていたらどんどん香ばしい香りが強くなって、はぁー、この匂いで飯くいてぇーとか思ってた。
「火事だ!!!!!!!」
「逃げろ!!!!火事だぞ!!!!!」
人々が次々に逃げてきて、、え、マジで家事?と驚いていると、ビビった馬車の従者が「じゃ、あっしはこれで」とあっという間に逃げてしまった。
おいおいマジかよ、そりゃねえわ、と馬車から降りると馬が暴れている。
「逃げてえわなそりゃ」
どうせそこらへんで拾った馬車だろうから、自分が動かして逃げるかーとか思っていたその時だった。
燃えてるのは、嫁入り先の家ではありませんか。
正しくは嫁入り先のお屋敷。
ご立派な、そうとうでっかいお屋敷だったので、だったら逃げやすそうと思っていたんですけどまさかの家事。
なんだよ、なんでこんな香ばしいんだよ。
何のお肉が焼けてんだよ。
「お前はお逃げ。災難だったね」
判るかどうかは知らないが、馬車の馬にそう話しかけた。
馬はブヒン、と頭を揺らした。
人々はあわただしく次々にお屋敷から飛び出してきて、多分この屋敷で働いていたであろう人々が、慌てて何人も出てきます。
(嫁入り先がなくなってしまった)
ということは、食い扶持がなくなってしまった。
やべえ、この先どうするよ?と思っていたその時だった。
遠くから、小さな泣き声がするではないか。
(え?猫?猫ちゃん?)
か細い、ふぇええん、という声が確かに聞こえた。
(まさか、家事に巻き込まれた?)
やば、と思いながら一生懸命聞き取ろうとするも、ごうごうという風と炎の轟音で聞き取れません。
(―――――ええい、くそ。多分いけるやろ)
溜息をつき、重たいカビの生えた白無垢をがばっと抱え上げました。
すう、と息を吐き、集中し、声を必死に聞き取る。
逃げ惑う人々の声の中、確かに泣き声が聞こえる。
自分の特殊体質なら、多分いけるやろ。
ってか、どっちにしろどうせ追い出された身なんだし。
『気持ち悪い。なんだお前は』
『あんたなんかここにいたらなんて言われるか』
『我が家に化物なんかいてはならんのだ』
はいはい、何回も聞きましたわそれ。
でもそのおかげで、猫ちゃんが守れるかもしれないなら、私は喜んで突撃する。
「頼むよ特殊体質。こういう時こそ、本領発揮してくんないと」
キイロは思い切り勢いよく、火事の中へと突入した。
全然世話になってないんだけど、離れられてせいせいします。
私キイロ、赤ん坊の頃から髪色が黄色かったせいとあまりに母が病んでいたのでキイロって変な名前を付けられた花の十六歳。
『お前なんかを嫁に貰ってくれる家があるんだからとっとと行ってこい』と半ばというか完全に追い出される格好で、クソ安……義母さまがご用意して下さったかび臭い質流れ品のサイズも合わない黄ばんだ白無垢を着せられて、うわーカビくせえなオイと思いながら、どうすれば嫁ぎ先でとっとと離縁されるだろうかと思いながら、ぼろ馬車に揺られて嫁ぎ先の近くへ向かっている途中でございます。
はーやれやれ、嫁ぎ先だったらごはんはまともに食べれるのかなあ、せめてお味噌使っても怒られなかったらいいんだけど。
どこからか香ばしい香りがただよってきて、これから嫁入りだというのにおなかがぐうとなってしまった。
(ああ、おなかがすきました)
一応嫁入りなら結婚式的なものをしてくれたらおなかいっぱい食べられるのかもしれないなあ。
そうならいいなあ。
そんで食べるだけ食べて、なんだこいつって思われて、すみませんがお前みたいな卑しい娘はお返しするって言われたら、すまんが働かせてくれや、次に働き場所見つけたらとっとと出て行くからさ、くらいの交渉はできると思う。
割と苦労したんで。
とか思っていたらどんどん香ばしい香りが強くなって、はぁー、この匂いで飯くいてぇーとか思ってた。
「火事だ!!!!!!!」
「逃げろ!!!!火事だぞ!!!!!」
人々が次々に逃げてきて、、え、マジで家事?と驚いていると、ビビった馬車の従者が「じゃ、あっしはこれで」とあっという間に逃げてしまった。
おいおいマジかよ、そりゃねえわ、と馬車から降りると馬が暴れている。
「逃げてえわなそりゃ」
どうせそこらへんで拾った馬車だろうから、自分が動かして逃げるかーとか思っていたその時だった。
燃えてるのは、嫁入り先の家ではありませんか。
正しくは嫁入り先のお屋敷。
ご立派な、そうとうでっかいお屋敷だったので、だったら逃げやすそうと思っていたんですけどまさかの家事。
なんだよ、なんでこんな香ばしいんだよ。
何のお肉が焼けてんだよ。
「お前はお逃げ。災難だったね」
判るかどうかは知らないが、馬車の馬にそう話しかけた。
馬はブヒン、と頭を揺らした。
人々はあわただしく次々にお屋敷から飛び出してきて、多分この屋敷で働いていたであろう人々が、慌てて何人も出てきます。
(嫁入り先がなくなってしまった)
ということは、食い扶持がなくなってしまった。
やべえ、この先どうするよ?と思っていたその時だった。
遠くから、小さな泣き声がするではないか。
(え?猫?猫ちゃん?)
か細い、ふぇええん、という声が確かに聞こえた。
(まさか、家事に巻き込まれた?)
やば、と思いながら一生懸命聞き取ろうとするも、ごうごうという風と炎の轟音で聞き取れません。
(―――――ええい、くそ。多分いけるやろ)
溜息をつき、重たいカビの生えた白無垢をがばっと抱え上げました。
すう、と息を吐き、集中し、声を必死に聞き取る。
逃げ惑う人々の声の中、確かに泣き声が聞こえる。
自分の特殊体質なら、多分いけるやろ。
ってか、どっちにしろどうせ追い出された身なんだし。
『気持ち悪い。なんだお前は』
『あんたなんかここにいたらなんて言われるか』
『我が家に化物なんかいてはならんのだ』
はいはい、何回も聞きましたわそれ。
でもそのおかげで、猫ちゃんが守れるかもしれないなら、私は喜んで突撃する。
「頼むよ特殊体質。こういう時こそ、本領発揮してくんないと」
キイロは思い切り勢いよく、火事の中へと突入した。
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