神の手は祈りの形をしていない 〜「将来、異能力で犯罪を犯す」と予知されて隔離されたボクら。最弱能力で未来を塗り替える〜

陽々陽

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004_鷹野ソウガ

004_3

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エレナ「ソウガは病欠だったな?」

ユウ「はい。そう言っておいてくれと言われました」

 昼休憩になってすぐ、ユウはエレナに呼び出された。
 そして相部屋のソウガについて、質問を受けている。
 ソウガは今日、ここまですべての授業を欠席していた。

ユウ「元気そうな声で」

 ユウがこうして苦々しい表情でだれかのことを悪く言うのは、非常に珍しいことだ。

エレナ「……まあ、仮病だったとしても驚きはしないな。
 昨日、部屋での様子はどうだった?」

ユウ「首、掴まれて、殴られました」

 エレナはため息をついた。
 やはり、部屋を変更すべきだっただろうか。
 くじで部屋割りが決まったとき、その結果を覆してでも、ユウとソウガの部屋を別にすべきか、エレナは迷った。
 明らかに問題児のソウガと、最悪の予知結果のユウが同室するのは、避けたい事態に思えた。
 しかし、一度決まったことをやすやすと覆すのは、エレナの信条に反する行為だ。

ユウ「……ただ、朝はそんなに怖くなかったっていうか……
 昨日も、気がついたらベッドで寝てて……多分、ソウガ……くんが寝かせてくれたのかも……」

ノクス(……)

 ユウのお人よしっぷりに、ノクスはこみ上げる笑いを押さえ込んだ。
 昨日のノクスとソウガの会話をユウは覚えていない。
 ユウにとっては、完全に意識を失っている間の出来事だ。

エレナ「ふむ。
 ……問題があれば、今日からでも部屋は変更しようと思っていたが、どうする?」

 ユウは少し悩んでから、口を開いた。

ユウ「……次、からまれたら、変えてください」

ユウ(あいつとも、友達になれるかもしれないし……)

ノクス(ぶっ……くくっ……)

 おめでたいユウの言葉に、ノクスは堪えきれずに吹き出した。

エレナ「分かった。問題が起きたらすぐに相談したまえ。
 私は、彼の様子を見てこよう」

 エレナはきびすを返して歩き始めた。その手には、今日の昼食が載ったトレイ。

 昼食を持って行ってやるのか、コイツもたいがい甘いヤツだ。ノクスのニヤニヤ笑いは止まらない。

ノクス(……部屋に行っても、いないけどな……)

ユウ(ノクス、なんか言った?)

ノクス(いいや、なにも。

 そんなことより、早く食わないと、時間ないんじゃないか?)

ユウ(そうだ、トーマとミナトに話があったんだ)

 ユウは食堂に入った。
 奥のテーブルでトーマが手を振っている。
 ユウは小走りで、トーマとミナトの元に向かった。喜びを抑えきれない様子だ。ユウが犬なら、力一杯尻尾を振っていることだろう。

 途中で、今日の昼食、サンドイッチを受け取る。
 ……なぜか、4種のサンドイッチの1種類が崩壊しつつある。

あかり「遅かったわね」

 トーマとミナトと同じテーブルに、あかりも座っていた。一緒に昼食をとっていたのだろう。

ユウ「あかりも一緒だったんだ。
 こはくと、ましろ……さん、は?」

 分かりやすいユウの言葉に、あかりは口元が緩む。

あかり「ちょっと、なんでましろだけ、さん付けなのよ?えー?」

ユウ「いや、その……なんでもない、です……」

 赤くなるユウを見て、あかりはニマニマ笑いが止まらない。

トーマ「二人もさっきまでいたんだけどね。
 食べて早々に部屋に戻ったよ」

あかり「こはくはネットショッピングの続きよ。集中したいんだって。
 ましろは……気になる?」

ユウ「別に、気になるっていうか、その……」

あかり「ああ、気にならないのね。ましろの方は」

ユウ「いや、気にならないなんてことはなくて、その、むしろ一番気になるというか、あの……」

トーマ「ましろは午後の授業まで寝るって言ってたよ」

 しどろもどろのユウを見かねて、トーマが答えた。
 もっと、からかうつもりだったあかりは、くちびるをとがらせた。

ユウ「うん……そっか」

 ユウはそんな二人にまったく気がつかず、うなづいた。

ミナト「……そろそろ食べて、ゲームの話、しません?」

 待ちかねたように、ミナトが口を開いた。

ユウ「うん、そうしたいんだけどさ、その……
 見てよ、このサンドイッチ。一種類だけぐちゃぐちゃに爆発し……」

トーマ「あ」

ミナト「それは」

あかり「昼食、わたし当番で……」

 三人の声が重なり、ユウは一瞬で事態を理解し、青ざめた。

ユウ「……いや、ほら、一種類だけ芸術で!爆発っていうか、ほら、良い意味で!良い意味で!」

あかり「……」

 ダメだ。もうごまかせない。ユウは自らの失言を悔いた。

ユウ「……だれが作ったのかな、美味しそうだな……センスあるな~……」

 無理だと思いながらも、言葉を続けるユウ。恐る恐るあかりの顔をうかがうと……

あかり「え?何?センスってそんな……わかる?」

 照れてた。

ユウ「アア、独創的デ、スゴイナ、人柄デテルナ~」

 言葉が空々しくて、カタコトのように言葉を続けるユウ。

あかり「やだ、もう、褒めすぎ……
 もう、いいから食べなさいよ!」

ユウ「いただきます!」

 証拠隠滅を急ぐようにして、ユウはサンドイッチにかぶりついた。

ミナト「……昨日聞いたゲームの話、できます?」

 ユウの食事の進み具合を見て、ミナトが再度、声をかけた。

ユウ「うん、アルティメット五目並べ?」

 待ちかねた話題に、ミナトが大きくうなづいた。

ミナト「昨日、ユウが考えてるって言ってたゲームがさ、すごい、面白そうだなって……」

トーマ「僕も遊んでみたいよ。早く作ってくれよ」

ユウ「いやあ、こういうの思いつくけど、作ったことはなくて……」

ミナト「思いつくことがすごいと思います。
 ボクは遊ぶ専門だから、こういうアイデアを持っている人、尊敬します!」

あかり「……」

ユウ「あかり、どうかした?」

あかり「ううん……なんでも、ない……」

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