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011_最新動画とデスゲーム風
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リン「え……あ……?」
リンは突然の事態に、頭が真っ白になった。
アカネ「ああ!もう!リンが電話出ないから!」
リュックについたガラスの破片を振り落としながら、アカネが非難の声をあげた。
登山者が使うような、四角く角張った大きなリュックサックは、ずっしりとなにかが入っているようだった。
リン「な……なんで来たですか!?」
アカネ「乗っ取られたチャンネル、取り返しに来たの!」
罵り合いながら、二人は近づいていく。
リン「もう!なんで!アカネが来ちゃったら……」
アカネ「うっさい!ばかリン!自分だけで全部決めて!」
リン「分かってるですか!?捕まるですよ!?ボクが、どんな気持ちで……!」
アカネ「あんたこそ分かってない!
あんたが捕まって自分だけ逃げて、わたしがそれで納得するっておもってんの!?」
二人の距離が近づいていく。
リン「ハッキングしたのは、ボクです!
アカネまで捕まる必要、ないです!」
アカネ「ほんとに分かってない!」
アカネはリンの額に自分の額を打ち付けた。
至近距離で目をにらみつける。
アカネ「全部二人でやったことじゃん!一人で背負い込むな!
相棒でしょ!?」
アカネはそのまま、リンの小さな身体を強く抱きしめた。
アカネ「自覚ないなら言っとくけど……
あんたはわたしに、翼をくれたんだって、思ってる。
マジで……ありがとうって、思ってる」
リン「あ……あああぁ……!」
リンの涙があふれ出し、顔をアカネに押しつけた。アカネはリンの頭を優しくなでた。
リン「でも、でも……これじゃ二人とも……」
アカネ「大丈夫。任せな」
リン「警察が監視してるです。どうやって……」
アカネは、リンにいたずらっぽい笑みを向けた。
アカネ「……おやあ?リンちゃんともあろうお方が、私の最新動画、見てないみたいね?」
リン「最新……動画?」
********
デマゴーグに突如公開された動画は、ほんの短い動画だったが、その内容の不可解さが話題になった。
つい先日、大きな騒動を引き起こしたチャンネルとして記憶に新しいこともあり、一気に拡散された。
「9/24 16:00」
「東京都○○区○○××……」
「集え」
日時、住所のほかには「集え」の一言のみ。
住所はただの住宅街で、リアルイベントを行うような場所ではない。
しかも指定日時は、動画投稿から3時間後。物理的に現地に行くハードルが高く、ゲリライベントにしては不自然だった。
コメント欄は、意図を予想するコメントで盛り上がり、現場に行けると何人かが名乗り出た。
********
男1「おいおいおい……どんどん人が集まってくるぞ……?」
張り込み中の車の中。刑事である男は、驚きの声をあげた。
30分ほど前。マル対のアパート前に、何人か、たむろする人間が現れた。
警戒して様子を見ていたが、特に何をするわけでもなく、立ち話をしているだけのようだ。
しかし、さらに数人のグループが増える。さらに一人でスマホをいじっているだけの男も付近に立ち止まり、もうひとグループが別に現れ……
男2「先輩、これ」
後輩らしき男が、スマホを差し出した。
男2「例のサイトで、こんな動画を流しているみたいで……」
動画を2回見たが、先輩刑事には理解が出来なかった。
男1「こんなんで、人が集まるのかよ……?」
だが、これでハッキング犯と動画投稿主の間につながりがあることが分かった。
ハッキング犯の監視中、まさにその住所に、人を集めるような動画が投稿されたのだ。
あとはこの人混みに紛れて逃がさないよう、手を打たなければ……
こうしている間にも、人は続々と増え続けている。
男1「おい、所轄に連絡して、解散させるように要請しろ。
俺はアパート入り口を張るから……」
男2「次の動画が上がりました!」
車から降りようとしていた男は、身体を引き戻した。
男1「見せろ!」
********
まいにちレモン「これ、どういう状況……?」
まいにちレモンは、札束……おそらく100万円……を手に、ぼうぜんと立ち尽くしていた。
近所だったから。軽い気持ちで、赴いたイベントだった。
動画チャンネルのコメント欄が盛り上がっていたから、調子に乗って「俺んちの近所だから行ってくる」と書き込んだ。
現地は本当にただの住宅街の小さな路地だった。しかし、その場所には不釣り合いな数の人間が集まっている。
待つこと15分。2番目の動画がアップされ、まいにちレモンは驚愕した。
自分のハンドルネームが載っている。
そこには、自分を含め10人のハンドルネームが載っており、目の前のアパートの405号室のドア前に来るよう、指示が書かれていた。
アパートの入り口で、大声で自分のハンドルネームを叫び、同時にコメント欄にコメントを投稿する、という謎の儀式を行って、アパートに入った。
その時、あがった歓声は、派手な生き方をしてこなかった彼が、初めて浴びたものだった。
405号室の前はもう数人がひしめいていた。
少し経って、動画に名前が上がっていた10人が揃った。その時を見計らったように405号室の中から「入りたまえ」と声がした。集まった10人は少しの間、不安に顔を見合わせたが、1人がドアを開けて入っていった。
先に入った人たちが、ざわついていた。広いリビングまで来て、まいにちレモンにもその原因が分かった。
札束が10個、並んでいる。
脇に、ノートパソコン。そこには、デスゲームの運営者みたいな感じの仮面の男が映っている。
札束の奥には、意味深に布で隠された、腰くらいの高さの何かが置いてある。
ノートパソコン「デマゴーグ特別イベントへようこそ。
これはチャンネルデマゴーグを応援してくれる視聴者へ感謝を伝えるためのイベントだ。
一人一つずつ、札束を取りたまえ」
集まった一人が「あれ?デスゲーム始まる?」とつぶやき、控えめなひそひそ笑いが起こった。
入り口のドアの時よりも長い逡巡があったが、結局全員が札束を手にした。
ノートパソコン「それは君たちに渡す報酬だ。仕事を頼みたい。
もちろん、断ってもいい。
その場合は、その札束を戻して帰ってくれ」
仕事という言葉に、ざわつきが広がる。
ノートパソコン「最後に札束を受け取った人、後ろの布を取ってその下のものを見せて欲しい」
最後に札束を受け取った……自分だ。
まいにちレモンはおずおずと布に近づき、取り外した。
まいにちレモン「うお!?」
それは、うずたかく積まれた札束だった。それぞれに配られた分が、ほんのわずかに見えるくらいの。
ノートパソコン「君たちには、お札シャワーをしてもらいたい」
リンは突然の事態に、頭が真っ白になった。
アカネ「ああ!もう!リンが電話出ないから!」
リュックについたガラスの破片を振り落としながら、アカネが非難の声をあげた。
登山者が使うような、四角く角張った大きなリュックサックは、ずっしりとなにかが入っているようだった。
リン「な……なんで来たですか!?」
アカネ「乗っ取られたチャンネル、取り返しに来たの!」
罵り合いながら、二人は近づいていく。
リン「もう!なんで!アカネが来ちゃったら……」
アカネ「うっさい!ばかリン!自分だけで全部決めて!」
リン「分かってるですか!?捕まるですよ!?ボクが、どんな気持ちで……!」
アカネ「あんたこそ分かってない!
あんたが捕まって自分だけ逃げて、わたしがそれで納得するっておもってんの!?」
二人の距離が近づいていく。
リン「ハッキングしたのは、ボクです!
アカネまで捕まる必要、ないです!」
アカネ「ほんとに分かってない!」
アカネはリンの額に自分の額を打ち付けた。
至近距離で目をにらみつける。
アカネ「全部二人でやったことじゃん!一人で背負い込むな!
相棒でしょ!?」
アカネはそのまま、リンの小さな身体を強く抱きしめた。
アカネ「自覚ないなら言っとくけど……
あんたはわたしに、翼をくれたんだって、思ってる。
マジで……ありがとうって、思ってる」
リン「あ……あああぁ……!」
リンの涙があふれ出し、顔をアカネに押しつけた。アカネはリンの頭を優しくなでた。
リン「でも、でも……これじゃ二人とも……」
アカネ「大丈夫。任せな」
リン「警察が監視してるです。どうやって……」
アカネは、リンにいたずらっぽい笑みを向けた。
アカネ「……おやあ?リンちゃんともあろうお方が、私の最新動画、見てないみたいね?」
リン「最新……動画?」
********
デマゴーグに突如公開された動画は、ほんの短い動画だったが、その内容の不可解さが話題になった。
つい先日、大きな騒動を引き起こしたチャンネルとして記憶に新しいこともあり、一気に拡散された。
「9/24 16:00」
「東京都○○区○○××……」
「集え」
日時、住所のほかには「集え」の一言のみ。
住所はただの住宅街で、リアルイベントを行うような場所ではない。
しかも指定日時は、動画投稿から3時間後。物理的に現地に行くハードルが高く、ゲリライベントにしては不自然だった。
コメント欄は、意図を予想するコメントで盛り上がり、現場に行けると何人かが名乗り出た。
********
男1「おいおいおい……どんどん人が集まってくるぞ……?」
張り込み中の車の中。刑事である男は、驚きの声をあげた。
30分ほど前。マル対のアパート前に、何人か、たむろする人間が現れた。
警戒して様子を見ていたが、特に何をするわけでもなく、立ち話をしているだけのようだ。
しかし、さらに数人のグループが増える。さらに一人でスマホをいじっているだけの男も付近に立ち止まり、もうひとグループが別に現れ……
男2「先輩、これ」
後輩らしき男が、スマホを差し出した。
男2「例のサイトで、こんな動画を流しているみたいで……」
動画を2回見たが、先輩刑事には理解が出来なかった。
男1「こんなんで、人が集まるのかよ……?」
だが、これでハッキング犯と動画投稿主の間につながりがあることが分かった。
ハッキング犯の監視中、まさにその住所に、人を集めるような動画が投稿されたのだ。
あとはこの人混みに紛れて逃がさないよう、手を打たなければ……
こうしている間にも、人は続々と増え続けている。
男1「おい、所轄に連絡して、解散させるように要請しろ。
俺はアパート入り口を張るから……」
男2「次の動画が上がりました!」
車から降りようとしていた男は、身体を引き戻した。
男1「見せろ!」
********
まいにちレモン「これ、どういう状況……?」
まいにちレモンは、札束……おそらく100万円……を手に、ぼうぜんと立ち尽くしていた。
近所だったから。軽い気持ちで、赴いたイベントだった。
動画チャンネルのコメント欄が盛り上がっていたから、調子に乗って「俺んちの近所だから行ってくる」と書き込んだ。
現地は本当にただの住宅街の小さな路地だった。しかし、その場所には不釣り合いな数の人間が集まっている。
待つこと15分。2番目の動画がアップされ、まいにちレモンは驚愕した。
自分のハンドルネームが載っている。
そこには、自分を含め10人のハンドルネームが載っており、目の前のアパートの405号室のドア前に来るよう、指示が書かれていた。
アパートの入り口で、大声で自分のハンドルネームを叫び、同時にコメント欄にコメントを投稿する、という謎の儀式を行って、アパートに入った。
その時、あがった歓声は、派手な生き方をしてこなかった彼が、初めて浴びたものだった。
405号室の前はもう数人がひしめいていた。
少し経って、動画に名前が上がっていた10人が揃った。その時を見計らったように405号室の中から「入りたまえ」と声がした。集まった10人は少しの間、不安に顔を見合わせたが、1人がドアを開けて入っていった。
先に入った人たちが、ざわついていた。広いリビングまで来て、まいにちレモンにもその原因が分かった。
札束が10個、並んでいる。
脇に、ノートパソコン。そこには、デスゲームの運営者みたいな感じの仮面の男が映っている。
札束の奥には、意味深に布で隠された、腰くらいの高さの何かが置いてある。
ノートパソコン「デマゴーグ特別イベントへようこそ。
これはチャンネルデマゴーグを応援してくれる視聴者へ感謝を伝えるためのイベントだ。
一人一つずつ、札束を取りたまえ」
集まった一人が「あれ?デスゲーム始まる?」とつぶやき、控えめなひそひそ笑いが起こった。
入り口のドアの時よりも長い逡巡があったが、結局全員が札束を手にした。
ノートパソコン「それは君たちに渡す報酬だ。仕事を頼みたい。
もちろん、断ってもいい。
その場合は、その札束を戻して帰ってくれ」
仕事という言葉に、ざわつきが広がる。
ノートパソコン「最後に札束を受け取った人、後ろの布を取ってその下のものを見せて欲しい」
最後に札束を受け取った……自分だ。
まいにちレモンはおずおずと布に近づき、取り外した。
まいにちレモン「うお!?」
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