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マッチ売り1
しおりを挟む「これが全てなくなるまで絶対に帰って来るな」
父の言葉が胸に響きました。
籠いっぱいのマッチを持って家から追い出された少女は、知っています。
ーーー今日このマッチを全て売るのは、不可能だということを。
少女は裸足で雪道を歩き始めました。
(寒い)
クリスマスの夜でした。雪が降り、周りの家からは、暖かそうな明かりと、人の笑い声が聞こえます。少女は悲しくなりました。そして自嘲気味に笑いました。
(今日あたり、…死ぬかもな)
そりゃあ死にたくはないけれど、今日なら、良いかも知れない。
もう、生きることに疲れてしまった。
こんな暖かい窓の下、もったいないくらい幸せな窓の下で消えることが出来るのであれば、…本望だ。
(この売り物のマッチも、もう…いらない)
最期に少しでも暖まろうと、少女はマッチに火をつけーーーーーられませんでした。
「お前、オレんちに火をつけようとしただろ」
少女の腕をつかんだのは少年。
運命の歯車が、回り始めました。
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