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しおりを挟む「……え?」
「本当に馬鹿だな。まさかいるなんて」
桜坂光の涙が頬を伝う。
そんな彼を見ながら、彼の前に現れた雪宮麗は優しく微笑んでいた。
驚きと喜びが入り混じる。
けれど驚きが勝ってしまう。
「れ、麗……?」
「うん、俺だよ」
光の心に、一筋の光が射す。
その光は一瞬にして渦巻く感情の闇を祓いのけ、瞬く間に闇の世界を照らしていく。
「麗!」
走りより、転び、それでも立ち上がり、走る。
驚きと喜びの感情が花火のように爆発する。
現実だよねと神様に確認したかった。
確かめる術は、一つしかなくて。
「あぁ、麗!」
「ただいま。相変わらず泣き虫だなぁ」
光と麗は互いを抱きしめた。光はその胸の温もりに顔を埋め、しばらく目を閉じた。麗もまた、光の肩を優しく抱きしめる。光の肩がかすかに震えているのを感じながら、麗はそっと髪を撫でる。
光の泣き声が静かに響く。その震えを落ち着かせるように麗は抱擁を強めた。
「麗の匂いがする」
「犬みたいなこと言うなよ」
微笑みながら光は顔を上げた。
二人はお互いの温もりを確かめ合うように、そのまましばらく立ち尽くす。
風が静かに吹き抜け、木々の葉がさらさらと揺れる音が聞こえる。二人だけの世界が作られていく。光がにこやかに笑って、口を開く。
「じゃあ、再開の合図をしようよ」
「再開の合図?」
うん、と光は笑いながら、目を閉じた。
別れの際、彼等は最後のキスをした。
そこから二人の時間は止まった。
ならば、再開するのなら、あの時と同じことをして始めよう。そう光は言いたいのだ。
「意外と強引だな」
そう麗は言うも、しかし嬉しさの感情が勝ってしまい、彼もまた目を閉じてそっと顔を近づけた。
再開の合図。
愛の確認。
やがて、麗はゆっくりと光から身を離した。
二人の目が合う。
光の瞳には、過ぎ去った年月への寂しさと再び巡り合えた喜びが同時に輝いていた。
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