悪役令息だと思っていたら健気令息だったので、好きになってしまった

まんまる

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馬車で半日程かけて領地に来た。朝早くに出発して昼過ぎには着くので、さほど遠くなくアンリもあまり疲れなくていい。
馬車から降りると、たくさんの領民が出迎えてくれていた。アンリを見て皆が息を飲むのが分かった。俺の伴侶はどこに行っても人を魅了してしまう。困ったものだ。

俺はアンリの腰をグッと引き寄せながら、皆の前に立った。

「領主様、アンリ様、今年もよくおいでくださいました」
「こんなに大勢で出迎えありがとう。今年も世話になるな」
「領地の皆様、今年も、お世話に、なります⋯」
アンリが恥ずかしそうに、俺の胸に半分顔を埋めながら、消え入るような声で挨拶をする。

「「⋯っ!アンリ様⋯お美しい⋯」」 
「ん、うん、ごほん」
「⋯おっ、お世話だなんてとんでもないです。公爵家にも良くしてもらいましたが、お二人のお陰で、この土地がどれだけ潤ったことか。税率もここらでは一番低くしてもらって、生活が楽になりました」
「そうか。それは良かった。花の栽培は天候に左右されて大変だろうが、量にこだわらず質の良い物を作るよう心掛けてくれ。出来に合わせた注文しか受けてないからな。質が下がれば、これまでの信頼が全てなくなる。新しい花の配合での紅茶も近々売り出すことが決まっているし、何か困った事があればいつでも言ってくれ」
「有難い事でございます。最近は領地から一度出て行った若い者達も大勢戻ってまいりました」
「おお、そうか。それは親御も喜んだろう」
「はい。益々この地は良くなっていくでしょう」

「うむ。ところで例のものは用意出来ているか?」
「はい、今年はいつもより多めにご用意してあります」
「ほう、分かっているじゃないか」
「何の話?」
「何でもないよ、アンリ。さあ、一度宿に向かおうか」

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