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アンリに嫌いと言われてからこの三日間、どうやって息をしていたかも分からない。
話しかけても挨拶しかしてもらえず、夜を誘ってももちろん断られ、アンリがすぐそばにいるのに、こんなに遠く離れている感覚になったのは初めてだ。どうやって騎士団本部まで来たかも覚えていない。
「ジェイド、副団長の件だが考えてくれたか?⋯聞いているか?」
「はっ、団長、失礼しました」
「アンリ殿と領地視察に行って来たんだろ?いつもなら浮かれてる頃じゃないのか?」
「うっ、視察は滞りなく済みました」
「ほう、じゃあアンリ殿と何かあったな。なあジェイド、お前アンリ殿の噂は知っているか?」
「噂ですか?まさか昔の噂をまだ信じている者がいるとか?」
「ああ、そうだ。お前と結婚してから更に酷くなっているぞ」
「なっ!何故そのような事に?アンリは噂とは全然違います!」
「ああ、俺は4、5年前に王城でカイル様の護衛をしていた時、当時婚約者だったアンリ殿を見た事がある。一目見れば、噂は全くの嘘だと分かるが、お前がアンリ殿を屋敷からなかなか出さないせいで、噂だけ悪い方向に尾ひれをつけて大きくなっている」
「そ、そんな⋯」
「実家の公爵家にわがままを言って領地をもらい、それをお前に任せっきりにして、それで得た利益で高価な宝石や、服を買っているだとか、お前の所で扱っている商品に自分の名前を付けるようにわがままを言ったとかだ。お前がいつも疲れた顔をしているのは領地経営もさせている上に、騎士団も辞めさせないとわがままを言っているアンリ殿のせいだと皆思っているみたいだぞ。ククッ、本当は毎日寝不足なんだろ?」
「うっ⋯、団長、その噂は本当ですか?」
「そうだ。侯爵家出身でしかも剣の腕が騎士団では右に出るものがいないお前を皆が認めている。副団長の話を蹴れば、皆納得しないぞ。又ある事無い事言われるのは目に見えている。これ以上事が拗れる前に、一度アンリ殿を連れてきて皆に紹介したらどうだ。すぐに悪い噂も消えると思うがな」
「ぐっ、それは⋯」
「自分の知らないところで悪者になっているアンリ殿が気の毒だ。副団長の件もだが、よく考えろ」
まさかそんな事になっているとは、俺の考えが甘かった。誰にも見せたくなくてアンリを閉じ込めた結果がこれか。全て俺のせいだ。
副団長の件も、これ以上アンリとの時間を減らしたくなくて断ろうと思っていたが、そんな安易な考えでは駄目だ。
一度ちゃんとアンリと話そう。騎士団の皆に紹介するのは⋯その後考えよう。
話しかけても挨拶しかしてもらえず、夜を誘ってももちろん断られ、アンリがすぐそばにいるのに、こんなに遠く離れている感覚になったのは初めてだ。どうやって騎士団本部まで来たかも覚えていない。
「ジェイド、副団長の件だが考えてくれたか?⋯聞いているか?」
「はっ、団長、失礼しました」
「アンリ殿と領地視察に行って来たんだろ?いつもなら浮かれてる頃じゃないのか?」
「うっ、視察は滞りなく済みました」
「ほう、じゃあアンリ殿と何かあったな。なあジェイド、お前アンリ殿の噂は知っているか?」
「噂ですか?まさか昔の噂をまだ信じている者がいるとか?」
「ああ、そうだ。お前と結婚してから更に酷くなっているぞ」
「なっ!何故そのような事に?アンリは噂とは全然違います!」
「ああ、俺は4、5年前に王城でカイル様の護衛をしていた時、当時婚約者だったアンリ殿を見た事がある。一目見れば、噂は全くの嘘だと分かるが、お前がアンリ殿を屋敷からなかなか出さないせいで、噂だけ悪い方向に尾ひれをつけて大きくなっている」
「そ、そんな⋯」
「実家の公爵家にわがままを言って領地をもらい、それをお前に任せっきりにして、それで得た利益で高価な宝石や、服を買っているだとか、お前の所で扱っている商品に自分の名前を付けるようにわがままを言ったとかだ。お前がいつも疲れた顔をしているのは領地経営もさせている上に、騎士団も辞めさせないとわがままを言っているアンリ殿のせいだと皆思っているみたいだぞ。ククッ、本当は毎日寝不足なんだろ?」
「うっ⋯、団長、その噂は本当ですか?」
「そうだ。侯爵家出身でしかも剣の腕が騎士団では右に出るものがいないお前を皆が認めている。副団長の話を蹴れば、皆納得しないぞ。又ある事無い事言われるのは目に見えている。これ以上事が拗れる前に、一度アンリ殿を連れてきて皆に紹介したらどうだ。すぐに悪い噂も消えると思うがな」
「ぐっ、それは⋯」
「自分の知らないところで悪者になっているアンリ殿が気の毒だ。副団長の件もだが、よく考えろ」
まさかそんな事になっているとは、俺の考えが甘かった。誰にも見せたくなくてアンリを閉じ込めた結果がこれか。全て俺のせいだ。
副団長の件も、これ以上アンリとの時間を減らしたくなくて断ろうと思っていたが、そんな安易な考えでは駄目だ。
一度ちゃんとアンリと話そう。騎士団の皆に紹介するのは⋯その後考えよう。
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