悪役令息だと思っていたら健気令息だったので、好きになってしまった

まんまる

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「皆にも、心配かけたな。⋯皆どこ見てるんだ?⋯っ!!」

アンリの全身が目に入った。執務中だったのだろう、頭の高い位置で一つに結ばれたふわふわの髪が、汗で濡れた顔や首筋に張り付き、手首にだけフリルが装飾してある白いブラウスに、黒いズボンと簡易な服装だが、化粧も施さず、宝石も着けないアンリには良く似合っていて、それが汗でぴったりとアンリの細い体に張り付いていた。皆に驚いて俺から降りようとしたんだろう、アンリが俺に跨り、お尻を突き出す格好になっている。そして、薄桃色の胸の尖りが汗でうっすらと透けていた。

「お前らぁぁー!!」

俺は慌ててアンリをマントにすっぽり隠した。
よく見ると、皆顔が赤くなり、前かがみになっている。

「ハハハハハッ」
「団長、笑い事ではないです!」
「いいじゃないか。お前たち夫夫の仲睦まじい様子を皆に見てもらえて」
「皆に見られたのは、見せたくないアンリの姿です!」
「ククッ、これで誤解も解けたんじゃないか?」
「ふぅ、団長、わざと入口を開けてましたね」
「お前がいつまでも、ぐだぐだ悩んでいるからだ。今回は大怪我じゃなくて良かったが、もしそうなればアンリ殿も悲しむぞ」
「⋯団長には適わないですね」

団長と話していると、インクで汚れた細い指でマントを掴んで、ぴょこっとアンリが顔を出した。涙を拭った時に付いたんだろう、顔にも青いインクが付いている。

「フォスター団長、団員の皆様、いつも夫がお世話になってます」

真っ赤になってそう言うと、そおっとマントに潜っていった。

「「「うっ!!」」」

入口に押し掛けていた団員達が、皆前かがみで床に倒れ込んだ。若い団員は鼻血を出して倒れている。

「お前らぁぁー!!」


団長の目論見通り、これでアンリの悪い噂はきれいさっぱり消えるだろう。ちょっと引っ掛かる事もあるが、俺達も仲直り出来たし、団長に感謝するか。


あれから二人で話をした。副団長を打診されている事を話したら、騎士団に誇りを持っている俺が好きだと言ってくれ、領地経営はセルジュに協力してもらって頑張るから、是非受けてと背中を押してくれた。アンリがとても頼もしく見えてそう言ったら、涙ぐんで喜んでくれた。
ままごとみたいだった俺達夫夫が本物の夫夫になれた気がした。

 
「副団長、いつアンリ様は騎士団の訓練を見にいらっしゃるのですか?」
「ふぅ、又それか。アンリは人見知りが激しいんだ。だから無理だ」
「えぇぇ、あの時アンリ様を見てない団員達が本当はアンリ様は人間じゃなくて天使じゃないかって噂してるんです。副団長が天使のお陰で生き返ったって」
「何だその噂は。そもそも俺は死んでない」
「副団長だけずるいです。アンリ様を独り占めして」
「なっ!?アンリは俺の伴侶だ。独り占めして何が悪い」
「そうやって誰にも会わせないから、悪い噂が流れたんでしょう?」
「ぐっ、わ、分かった。アンリに話してみる」

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