悪役令息だと思っていたら健気令息だったので、好きになってしまった

まんまる

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「アンリおいで」

寝る前の決め事がもう自然と二人の当たり前になった。
アンリを抱き締め、思ったことを口にする。

「ショーンはいつもあんなにアンリにべったりなのか?」
「ううん、今日が初めて。仕事が見たいって言って、わがまま言われたみたいで嬉しかったんだ」
「そ、そうか」
「あっ、今日ね、朝からショーンを起こしに皆で部屋に行ったら、笑ってくれたんだ。可愛かったぁ」
「そうか⋯」
「ジェイド、何か考えてる?」
「いや···、アンリにべったりなのは少し考えものだが、ショーンもやっとこの家で安心して過ごせているということだな」
「うん、そうだね」
「アンリ⋯」
「ジェイド⋯」

アンリを腕の中に閉じ込め、深い口付けを繰り返し、夜が更けるまで裸で抱き合い、互いの愛を何度も確かめ合った。


今日もショーンと執務室で過ごしてる。
膝に乗るのは休憩の時だけね、と約束して仕事をする。その間、ショーンは大人しく絵本を見ている。休憩する時はソファで膝に乗せて、話をしたり、本を読んであげたりしてる。
ショーンは抱きつくと安心するみたいで、ずっと僕の首にしがみついてる。

「アンリ様、先程、公爵家から使いがありまして、明日の午後奥様がいらっしゃるそうです」
「母様が?」
「はい。ショーン様のご様子を見にいらっしゃるそうです」
「母様も心配してたから。分かった」



「まあ、ショーン!元気にしてたかしら?」
「うん、おばあさま」
「まあまあ、おばあさまだなんて、嬉しいわ」
「アンリも元気そうで良かったわ。その顔を見ると、皆仲良くやれてそうね」
「うん、母様。この前ジェイドから騎士団の見学に行ってみないかって言われて、三人で行って、それで、ちゃんと話せたんだ」
「そう、良かった」
「ショーン、父上は強かったでしょう?」
「うん!すごくつよくて、かっこよかったんだ」

ショーンが瞳をキラキラさせてるのを見て、母様が目を細めた。

「ちちうえはどうしてあんなにつよいの?」
「それは、たくさん頑張ったからだと思うけど、今度父上に聞いてご覧なさい」
「うん!」

母様に聞きたい事があったから、しばらくショーンをセルジュに預けて二人にしてもらい、この前ショーンが言ってた事を話した。

「そんな事があったのね」
「うん、ショーンが自分のせいだって泣いてて⋯。それで、亡くなった母様の従姉妹のお腹に本当に赤ちゃんがいたのか気になって」
「ショーンは知っていたのね。彼女が嫁いですぐに妊娠したのは確かよ。でもね、流産してしまって、本人もとても悲しんでたわ。多分ショーンにその事を伝えたてなかったのね。そのまま事故で亡くなったんだわ」
「それじゃあ、亡くなった時にはもう···」
「ええ、妊娠はしていなかったはずよ」
「そう⋯」

「アンリ、あなた、ちゃんと親の顔になったわね」
「えっ?」
「ふふっ、何でもないわ。じゃあ、ショーンの顔を見て帰ろうかしら」



ジェイドが帰って来てから、母様から聞いたこと話した。辛いだろうけどショーンにも伝えようって決めて、夕食が終わって三人で居間に来た。

「ショーン、お菓子食べよっか」 
「うん!」

セルジュにお菓子と紅茶を持って来てもらい、ソファに腰掛ける。

「ショーン、辛いだろうが、少し聞いてくれるか?」
「⋯うん」
「ショーンの新しい母上のお腹の赤ちゃんは、事故に遭う前に、天国に昇ってしまったんだ」
「えっ?」
「ショーン、ジェイドが言った事は本当だよ。だから赤ちゃんは、痛かったり、苦しかったりなんてしなかったと思うんだ。きっと今頃三人で、ショーンの事天国から見守ってくれてると思うよ」
「ほんと?」
「うん」
「いたくなかった?」
「そうだよ。だから、ショーンももう苦しまなくていいんだよ」
「うわぁぁぁん、よかったぁ、うっ、うっ」

ショーンをそっと抱き締めると、鼻を赤くして無邪気に笑った。
すると、思い出したように好奇心いっぱいの瞳でジェイドを見る。

「ちちうえ!どうしてちちうえはあんなにつよいの?」
「えっ?そうだな、まず、辛くても毎日訓練をすることだ。それから、相手と闘う時は怖くても泣かずに、相手をよく見て弱点を見つけるんだ。弱い奴ほどキャンキャン吠えるもんだ」
「いぬとたたかうの?」
「ははっ、まだショーンには難しいな」

ショーンはもう大丈夫だ、と笑ってジェイドが言うから、僕も安心して一緒に笑った。

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