悪役令息だと思っていたら健気令息だったので、好きになってしまった

まんまる

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ショーンの事も落ち着いて、これまで遅れていた仕事を片付けなきゃいけなから、ここのところセルジュと一緒に慌ただしくしてる。

「ねえセルジュ、今まではジェイドが仕事の量を調整してくれてたんでしょ?でもショーンが跡を継ぐ事になったから、これからは仕事を増やさなきゃいけないんだよね?」
「そうですね。最終的にジェイド様がお決めになられるとは思いますが、少しでも多く納税してもらいたい国としては、気をもんでいるかもしれませんね」
「今でもこんななのに、どうしよう」
「人手が必要なのは間違いないですが、ジェイド様としては、あまり知らない人間を増やしたくはないというのが本音でしょうから」
「うぅん、とりあえずこの机の書類をどうにかしないとね」
「はい。もう一息です、アンリ様」


仕事が落ち着くまで、ショーンはサシャに見てもらうようにした。最初は渋ってたショーンだけど、サシャが買い物に連れて行ったり、上手に手伝いをさせたりして、退屈しないようにしてくれてる。流石サシャだ。休憩の時は僕の膝に乗って、しがみつくのが楽しみみたい。僕も癒されてる。



ドンドンドン 

「誰か来たみたいですね。見て参ります」
「うん、お願い」


「アンリ様、隣国のコール伯爵と仰る方がおみえです」
「えっ!?どうして···」
「先触れもございませんでしたし、何よりジェイド様から、アンリ様お一人の時は決して人を入れてはならないと固く言われておりますので、お断りいたしましたが、どうしてもと」
「···分かった」
「しかし!」
「隣国の貴族だし、セルジュも悩んだから、僕に話をしにきたんでしょ?」
「···申し訳ありません。執事の私では力が及ばず。私も後ろに控えさせていただきますので」
「うん、大丈夫だよ」


本当は怖い。ジェイドがいないのに、あの伯爵と会うなんて。震えが止まらない。夜会の時の、伯爵が僕を見る目を思い出して、全身が粟立つ。
自分を両腕で抱え込んで、粟立った体を擦る。
大丈夫、セルジュが一緒にいてくれる、そう言い聞かせて、応接室までどうにか歩いて来た。

震える手で扉を叩く。
中からセルジュが扉を開けてくれた。
ほっとして、部屋に入る。

「お待たせしましたコール伯爵」
「おお、これはこれはアンリ殿。お会いしたかったです」

僕を見た途端、伯爵が立ち上がって右手を差し出してきた。

今度こそ拒めない。
僕は震える右手を差し出した。
伯爵は身を乗り出して僕の右手を掴むと、

「おや、震えてらっしゃいますか?」

と言ってニヤリと笑うと、親指で僕の手の甲をぬるっと撫でた。
思わず右手を引こうとしたけど、力を込められ逆に引っ張られる。

怖くて目を瞑って下を向くと、やっと右手が解放された。
震える右手を左手で抑え、引きつった笑いを向けた。

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