14 / 34
13.守りたい命
僕はふらふらと立ち上がり、フィンセント様の自室を出ていった。
フィンセント様は、目を逸らしたまま僕を見ようとしなかった。
でも、最後に見たフィンセント様の横顔は、何故か泣いているように見えた⋯。
どこをどう通って本邸から出たのか、僕は離れの前をふらふらと歩いていた。
冬の冷たい風が全身を貫いても、もう何も感じなかった。
「待ちなさい!」
突然オディーヌ様から呼び止められた。
いつもなら恐怖ですくむ足も、感覚のない、ただの鈍でしかなかった。
僕が力なく振り向くと、いきなり頬を平手で思い切り叩かれた。
パンッ
ああ、もう痛みも感じない。
無感情な僕を見て、オディーヌ様はみるみる憤怒の形相になった。
「許さない!許さない!どうしてフィンセント様は、私に会ってくださらないの!お前のせいよ!お前がフィンセント様に色目を使ったんでしょ!昨日はどこにいたの!また抱かれたわね!許さない!!この卑しい下賤が!!」
オディーヌ様は僕に馬乗りになって、何度も頬を叩いた。
パンッ パンッ バシッ
オディーヌ様が熱くなればなる程、僕の感情は逆に冷えていった。
「あなた、何なの!いつものように痛がりなさいよ!気持ち悪いのよ!」
「オディーヌ様!おやめください!」
オディーヌ様が一際大きく右手を振り上げた時、侍女長が焦りながら、こちらに近づいてきた。
「オディーヌ様、あまり派手に動かない╌╌。あなたが離れにいる╌╌、旦那さ╌ご存知な╌╌。全て計画╌╌ので、ご安心╌╌」
侍女長がこそこそとオディーヌ様に耳打ちする声が聞こえた。
「この下賤がフィンセント様を誘ったから、罰を与えたのよ!」
「目立つ傷は╌╌。万が一旦那様に╌╌ったら、全てが水のあ╌╌」
この2人は、どうしてここまでして、僕を貶めたいのだろう。
僕をどん底まで貶めるのが目的なのだろうか⋯。
それとも、何か別の目的があるのだろうか⋯。
いや、そんなものは、もうどうだっていい。
オディーヌ様から解放され、僕はよろよろと立ち上がると、無意識にいつも寝泊まりしている小屋まで辿り着いていた。
古びた小屋の前に立ち尽くしていると、誰かが近づいてくる足音が聞こえてきた。
「神様!」
後ろから声を掛けられた瞬間、僕の頬に涙が伝っていた。
「よかったあ。昨日姿が見えなかったので心配してたんです。ご飯は食べましたか?」
ジルが僕の顔を覗き込んだ。
「えっ⋯?顔が腫れて⋯、どうしたんですか!?誰かにぶたれたんですか!?大丈夫ですか!?」
「うぅ、ううぅ、ジル、ジル、ジルぅぅ」
「か、神様!?どうしたんですか!?」
「ジルぅぅ、よかったぁ、ひっく、ジルが無事でよかったぁ、うぅぅ」
僕はジルに縋るようにしがみつき、ずるずると崩れ落ちながら泣いた。
ジルはそんな僕を見て、あわあわと慌てていた。
◇◇◇◇◇
フィンセント様から拒絶された日から、ふた月が経った。
まだ寒さは続いているけど、季節は確実に春に移り変わろうとしていた。
僕は変わらず、オディーヌ様からの容赦ない折檻を受けていた。
ただ、フィンセント様に最後に会った日から、僕は痛みを感じなくなっていた。
もう命が尽きてもいい、そんな事さえ思うようになっていた。
「神様⋯、少しでもいいから食べてください」
僕は食事も喉を通らなくなっていた。
「ぐすっ、神様、このままじゃ⋯」
「ジル、ありがとう。でも、もう僕の事はいいから、ジルが食べて」
「駄目ですっ!ぐすっ、うぅっ、どうして、どうして旦那様は⋯」
「ジル、それ以上は駄目だよ」
「でもっ!⋯あれ?神様、熱があるんじゃないですか?」
ジルが僕の手にスプーンを握らせようとして、僕の異変に気がついた。
確かにここ数日、微熱が続いている。
「大丈夫、ちょっと風邪をひいただけだよ」
「僕、獣医先生を呼んで来ます!」
「あっ!ジルっ!いいか⋯ら」
僕が言い終わらないうちに、ジルは小屋を飛び出して行った。
「いつもすいません」
「馬を診るついでですから構いませんよ。ほっほっほ」
老獣医師は、とても人柄のいい方だった。
僕がどんなにひどい怪我をしていようと、いつも何も言わずに治療をしてくれた。
「ふむふむ、やはり熱がありますな。おや⋯、ほぉほぉ、これはこれは」
「先生、どうされました?」
獣医師は僕の胸から聴診器を外し、僕を見てにこりと笑った。
「ご懐妊されています。今、ふた月程でしょう」
「えっ⋯?」
フィンセント様のお子が僕のお腹に⋯?
嬉しかった。ただただ嬉しくて、僕は何度もお腹をさすった。
「あ、あの、先生、この事は⋯」
「ご安心ください。たとえ獣医師でも、守秘義務がありますから」
獣医師は微笑みながら、僕の肩をぽんと叩いた。
生きたい。
生きてフィンセント様のお子を、この胸に抱き締めたい。
その思いだけで、オディーヌ様の苛烈な仕打ちを耐えた。
申し訳ないと思いながらも、日に1度、ジルに頼んで食事も持ってきてもらうようにした。
でも、妊娠が分かってひと月が経とうとした頃、とうとう僕が恐れていた事が起きてしまった。
「しぶといわね!なんであんたがまだ生きてるのよ!私はフィンセント様に全然会ってもらえないのに!何度先触れを出しても、全然会えない!」
バシッ バシッ
その日のオディーヌ様は、いつもにも増して機嫌が悪かった。
オディーヌ様の先触れは、いつも封も切らずに返ってくるらしく、その度に、苛立ったオディーヌ様は、僕に理不尽な仕打ちを与えた。
「あんたが生きてるから、フィンセント様は私と結婚できないのよ!フィンセント様は、本当は私を愛してるのよ!」
フィンセント様は、もしかしてオディーヌ様を愛しているのかもしれないと思った事もあった。
でも、それなら何故、フィンセント様はオディーヌ様に会おうとしないのだろう。
僕が考え事をしているのが気に入らなかったのか、オディーヌ様は鞭をしならせながら僕の背中を打ち据えた。
同じ傷に何度も鞭が食い込み、耐え難い痛みが襲ってくる。
僕は悲鳴を上げそうになるのを、歯を食いしばって耐えた。
その時だった。
「あんたなんか、あんたなんか、殺してやる!」
「やめてっ!」
オディーヌ様からいきなり掴みかかられ、僕は咄嗟にお腹を庇った。
ただでさえ怒りに歪んだオディーヌ様の顔が、真っ赤になって震え出した。
「あんたまさか⋯、フィンセント様の⋯」
「⋯っ!」
「許さない!殺してやる!殺してやるーー!!」
「やめてーーー!!!」
パンッ
僕はオディーヌ様から首を絞められそうになり、咄嗟にオディーヌ様の頬をはたいていた。
「あっ!申し訳⋯ありません」
僕が謝る必要がないのは分かっている。でも、今はとにかく、これ以上オディーヌ様を激高させる訳にはいかなかった。
オディーヌ様は、はたかれた頬を抑えながら、僕を血走る目で睨みつけている。
「あんた、自分が何をしたのか分かってるの!公爵令嬢の私に手を出して、ただで済むと思ってるの!許さない⋯、許さない!あんたも、腹の中の下賤な血が流れる子供も、絶対に殺してやる!」
僕がお腹を庇うように丸くなると、オディーヌ様が、にやりと背筋が凍るような笑顔を顔を貼り付けた。
ぞくっ
「簡単に死ねると思わないでね。楽しみだわぁ、あんた達が、のたうち回って死んでいくのを見れるなんて。ふっ、ふふっ、あはははははは」
今までどんな仕打ちをされようとも、領民を守りたい一心で耐えてきた。
でも僕のお腹の中には、小さな命が宿っている。
守りたい。フィンセント様のお子を守りたい。
僕はオディーヌ様が去って行くのを見届けると、急いで本邸に向かった。
フィンセント様は、目を逸らしたまま僕を見ようとしなかった。
でも、最後に見たフィンセント様の横顔は、何故か泣いているように見えた⋯。
どこをどう通って本邸から出たのか、僕は離れの前をふらふらと歩いていた。
冬の冷たい風が全身を貫いても、もう何も感じなかった。
「待ちなさい!」
突然オディーヌ様から呼び止められた。
いつもなら恐怖ですくむ足も、感覚のない、ただの鈍でしかなかった。
僕が力なく振り向くと、いきなり頬を平手で思い切り叩かれた。
パンッ
ああ、もう痛みも感じない。
無感情な僕を見て、オディーヌ様はみるみる憤怒の形相になった。
「許さない!許さない!どうしてフィンセント様は、私に会ってくださらないの!お前のせいよ!お前がフィンセント様に色目を使ったんでしょ!昨日はどこにいたの!また抱かれたわね!許さない!!この卑しい下賤が!!」
オディーヌ様は僕に馬乗りになって、何度も頬を叩いた。
パンッ パンッ バシッ
オディーヌ様が熱くなればなる程、僕の感情は逆に冷えていった。
「あなた、何なの!いつものように痛がりなさいよ!気持ち悪いのよ!」
「オディーヌ様!おやめください!」
オディーヌ様が一際大きく右手を振り上げた時、侍女長が焦りながら、こちらに近づいてきた。
「オディーヌ様、あまり派手に動かない╌╌。あなたが離れにいる╌╌、旦那さ╌ご存知な╌╌。全て計画╌╌ので、ご安心╌╌」
侍女長がこそこそとオディーヌ様に耳打ちする声が聞こえた。
「この下賤がフィンセント様を誘ったから、罰を与えたのよ!」
「目立つ傷は╌╌。万が一旦那様に╌╌ったら、全てが水のあ╌╌」
この2人は、どうしてここまでして、僕を貶めたいのだろう。
僕をどん底まで貶めるのが目的なのだろうか⋯。
それとも、何か別の目的があるのだろうか⋯。
いや、そんなものは、もうどうだっていい。
オディーヌ様から解放され、僕はよろよろと立ち上がると、無意識にいつも寝泊まりしている小屋まで辿り着いていた。
古びた小屋の前に立ち尽くしていると、誰かが近づいてくる足音が聞こえてきた。
「神様!」
後ろから声を掛けられた瞬間、僕の頬に涙が伝っていた。
「よかったあ。昨日姿が見えなかったので心配してたんです。ご飯は食べましたか?」
ジルが僕の顔を覗き込んだ。
「えっ⋯?顔が腫れて⋯、どうしたんですか!?誰かにぶたれたんですか!?大丈夫ですか!?」
「うぅ、ううぅ、ジル、ジル、ジルぅぅ」
「か、神様!?どうしたんですか!?」
「ジルぅぅ、よかったぁ、ひっく、ジルが無事でよかったぁ、うぅぅ」
僕はジルに縋るようにしがみつき、ずるずると崩れ落ちながら泣いた。
ジルはそんな僕を見て、あわあわと慌てていた。
◇◇◇◇◇
フィンセント様から拒絶された日から、ふた月が経った。
まだ寒さは続いているけど、季節は確実に春に移り変わろうとしていた。
僕は変わらず、オディーヌ様からの容赦ない折檻を受けていた。
ただ、フィンセント様に最後に会った日から、僕は痛みを感じなくなっていた。
もう命が尽きてもいい、そんな事さえ思うようになっていた。
「神様⋯、少しでもいいから食べてください」
僕は食事も喉を通らなくなっていた。
「ぐすっ、神様、このままじゃ⋯」
「ジル、ありがとう。でも、もう僕の事はいいから、ジルが食べて」
「駄目ですっ!ぐすっ、うぅっ、どうして、どうして旦那様は⋯」
「ジル、それ以上は駄目だよ」
「でもっ!⋯あれ?神様、熱があるんじゃないですか?」
ジルが僕の手にスプーンを握らせようとして、僕の異変に気がついた。
確かにここ数日、微熱が続いている。
「大丈夫、ちょっと風邪をひいただけだよ」
「僕、獣医先生を呼んで来ます!」
「あっ!ジルっ!いいか⋯ら」
僕が言い終わらないうちに、ジルは小屋を飛び出して行った。
「いつもすいません」
「馬を診るついでですから構いませんよ。ほっほっほ」
老獣医師は、とても人柄のいい方だった。
僕がどんなにひどい怪我をしていようと、いつも何も言わずに治療をしてくれた。
「ふむふむ、やはり熱がありますな。おや⋯、ほぉほぉ、これはこれは」
「先生、どうされました?」
獣医師は僕の胸から聴診器を外し、僕を見てにこりと笑った。
「ご懐妊されています。今、ふた月程でしょう」
「えっ⋯?」
フィンセント様のお子が僕のお腹に⋯?
嬉しかった。ただただ嬉しくて、僕は何度もお腹をさすった。
「あ、あの、先生、この事は⋯」
「ご安心ください。たとえ獣医師でも、守秘義務がありますから」
獣医師は微笑みながら、僕の肩をぽんと叩いた。
生きたい。
生きてフィンセント様のお子を、この胸に抱き締めたい。
その思いだけで、オディーヌ様の苛烈な仕打ちを耐えた。
申し訳ないと思いながらも、日に1度、ジルに頼んで食事も持ってきてもらうようにした。
でも、妊娠が分かってひと月が経とうとした頃、とうとう僕が恐れていた事が起きてしまった。
「しぶといわね!なんであんたがまだ生きてるのよ!私はフィンセント様に全然会ってもらえないのに!何度先触れを出しても、全然会えない!」
バシッ バシッ
その日のオディーヌ様は、いつもにも増して機嫌が悪かった。
オディーヌ様の先触れは、いつも封も切らずに返ってくるらしく、その度に、苛立ったオディーヌ様は、僕に理不尽な仕打ちを与えた。
「あんたが生きてるから、フィンセント様は私と結婚できないのよ!フィンセント様は、本当は私を愛してるのよ!」
フィンセント様は、もしかしてオディーヌ様を愛しているのかもしれないと思った事もあった。
でも、それなら何故、フィンセント様はオディーヌ様に会おうとしないのだろう。
僕が考え事をしているのが気に入らなかったのか、オディーヌ様は鞭をしならせながら僕の背中を打ち据えた。
同じ傷に何度も鞭が食い込み、耐え難い痛みが襲ってくる。
僕は悲鳴を上げそうになるのを、歯を食いしばって耐えた。
その時だった。
「あんたなんか、あんたなんか、殺してやる!」
「やめてっ!」
オディーヌ様からいきなり掴みかかられ、僕は咄嗟にお腹を庇った。
ただでさえ怒りに歪んだオディーヌ様の顔が、真っ赤になって震え出した。
「あんたまさか⋯、フィンセント様の⋯」
「⋯っ!」
「許さない!殺してやる!殺してやるーー!!」
「やめてーーー!!!」
パンッ
僕はオディーヌ様から首を絞められそうになり、咄嗟にオディーヌ様の頬をはたいていた。
「あっ!申し訳⋯ありません」
僕が謝る必要がないのは分かっている。でも、今はとにかく、これ以上オディーヌ様を激高させる訳にはいかなかった。
オディーヌ様は、はたかれた頬を抑えながら、僕を血走る目で睨みつけている。
「あんた、自分が何をしたのか分かってるの!公爵令嬢の私に手を出して、ただで済むと思ってるの!許さない⋯、許さない!あんたも、腹の中の下賤な血が流れる子供も、絶対に殺してやる!」
僕がお腹を庇うように丸くなると、オディーヌ様が、にやりと背筋が凍るような笑顔を顔を貼り付けた。
ぞくっ
「簡単に死ねると思わないでね。楽しみだわぁ、あんた達が、のたうち回って死んでいくのを見れるなんて。ふっ、ふふっ、あはははははは」
今までどんな仕打ちをされようとも、領民を守りたい一心で耐えてきた。
でも僕のお腹の中には、小さな命が宿っている。
守りたい。フィンセント様のお子を守りたい。
僕はオディーヌ様が去って行くのを見届けると、急いで本邸に向かった。
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する
スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。
そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。
劣等生の俺を、未来から来た学院一の優等生が「婚約者だ」と宣言し溺愛してくる
水凪しおん
BL
魔力制御ができず、常に暴発させては「劣等生」と蔑まれるアキト。彼の唯一の取り柄は、自分でも気づいていない規格外の魔力量だけだった。孤独と無力感に苛まれる日々のなか、彼の前に一人の男が現れる。学院一の秀才にして、全生徒の憧れの的であるカイだ。カイは衆目の前でアキトを「婚約者」だと宣言し、強引な同居生活を始める。
「君のすべては、俺が管理する」
戸惑いながらも、カイによる徹底的な管理生活の中で、アキトは自身の力が正しく使われる喜びと、誰かに必要とされる温かさを知っていく。しかし、なぜカイは自分にそこまで尽くすのか。彼の過保護な愛情の裏には、未来の世界の崩壊と、アキトを救えなかったという、痛切な後悔が隠されていた。
これは、絶望の運命に抗うため、未来から来た青年と、彼に愛されることで真の力に目覚める少年の、時を超えた愛と再生の物語。
追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜
たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話
俺の婚約者は悪役令息ですか?
SEKISUI
BL
結婚まで後1年
女性が好きで何とか婚約破棄したい子爵家のウルフロ一レン
ウルフローレンをこよなく愛する婚約者
ウルフローレンを好き好ぎて24時間一緒に居たい
そんな婚約者に振り回されるウルフローレンは突っ込みが止まらない
追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」
身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。
死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。
カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。
「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」
献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。
これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。
婚約破棄された令息の華麗なる逆転劇 ~偽りの番に捨てられたΩは、氷血公爵に愛される~
なの
BL
希少な治癒能力と、大地に生命を呼び戻す「恵みの魔法」を持つ公爵家のΩ令息、エリアス・フォン・ラティス。
傾きかけた家を救うため、彼は大国アルビオンの第二王子、ジークフリート殿下(α)との「政略的な番契約」を受け入れた。
家のため、領民のため、そして――
少しでも自分を必要としてくれる人がいるのなら、それでいいと信じて。
だが、運命の番だと信じていた相手は、彼の想いを最初から踏みにじっていた。
「Ωの魔力さえ手に入れば、あんな奴はもう要らない」
その冷たい声が、彼の世界を壊した。
すべてを失い、偽りの罪を着せられ追放されたエリアスがたどり着いたのは、隣国ルミナスの地。
そこで出会ったのは、「氷血公爵」と呼ばれる孤高のα、アレクシス・ヴァン・レイヴンだった。
人を寄せつけないほど冷ややかな瞳の奥に、誰よりも深い孤独を抱えた男。
アレクシスは、心に傷を抱えながらも懸命に生きようとするエリアスに惹かれ、次第にその凍てついた心を溶かしていく。
失われた誇りを取り戻すため、そして真実の愛を掴むため。
今、令息の華麗なる逆転劇が始まる。