無垢な王子は武骨な次期侯爵に大切に護られる

まんまる

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ライの本当の気持ちを聞いた日、僕はライへの気持ちが愛だと気付いた。

でもあの日、僕は自分の気持ちを否定され、完全に拒絶された。

好き、のたった一言も言わせてもらえなかった。




あれから半年が過ぎ、もうすぐ学園を卒業する。


「ライ、今日も孤児院に寄って帰ってもいい?」
「⋯殿下、そう毎日行かれると、会うのが当たり前になって、会えない日に子供達が寂しがるのではないでしょうか」

「ライも僕と会えない日は寂しいって思ってくれるの?」

「えっ⋯?」

僕は自分で言って、泣きそうになった。

「ぐすっ、な、何でもないっ!やっぱり孤児院は行かない!」

僕は慌てて馬車の窓のカーテンを閉めた。


すると馬車のスピードが段々ゆっくりになり、そして静かに停まった。

何⋯?

コンコンと扉を叩く音が聞こえて外を見ると、ライが馬から降りて目の前に立っていた。

僕は戸惑いながら鍵を外すと、ライが扉を開けて体を半分中に入れ、僕の顔を覗き込んできた。

僕は急にライの顔が目の前に来て、真っ赤になってしまった。

「あなたって人は」

「えっ?」

僕はライの大きな手で頬を包まれ、親指で涙を拭われていた。

「毎日毎日、馬車の窓からあんなに切ない顔で見つめられたら、流石に私の決心も、砂糖菓子の様に崩れてしまいました」

「ライ、どう言う事⋯?」

「殿下⋯、クルム様、私はあなたを愛しています。あなたに忠誠を誓ったあの日から、ずっとあなただけを愛しています」

「ラ⋯イ⋯、本当?」

「はい」

「う、うわあぁん、嬉しいぃ、ライぃ、僕も大好きぃ」


ライは泣きじゃくる僕を壊れ物を扱うようにそっと引き寄せ、そして少し躊躇いがちに、その温かな胸の中に包んでくれた。




「うわぁ!馬ってこんなに背が高いんだね!」
「クルム様、あまり大きな声を出すと馬が驚いて暴れてしまいます」
「わわっ、ごめんなさい」

僕は慌てて口を両手で押さえた。

「あなたって人は、本当に⋯可愛くて食べてしまいたくなる」
「へっ?」


やっと僕はライと心を通わす事が出来た。
僕はライと離れたくなくて、一緒に馬に乗って王城まで帰った。


「「「クルム様ぁー!!」」」

道すがら、僕達に気付いた街の人達が口々に僕の名前を呼んでくれて、僕は嬉しくてずっと手を振って帰った。 


「あなたはやっぱり王族ですね。こんなに民を大切にされる」
「⋯それって、僕が王族だからやっぱりやめるって事、じゃないよね?」

僕は小さな声でぽそっと呟いた。

それを聞いたライは、はあぁっ、と大きな溜め息を吐いて、僕の耳元に口を寄せた。

「クルム様、私の覚悟が分かっていないようですね」

ライは低く響く声でそう囁くと、手網を持つ手を片方解放して後ろから僕を抱き締め、チュッと僕の頬に口付けをした。

「ひゃっ!」

僕が驚いて変な声を出したのと同時に、


「「「きゃあああぁぁっっ!!」」」


と割れんばかりの歓声が人々から上がった。





「はぁ、馬に乗るのって大変だったんだね」

やっと王城に着いてライから降ろしてもらった。



ライが僕を部屋まで送ろうとした時、一人の壮年を少し過ぎた位の男性がこちらに近付いて来た。

「あっ、あれは⋯」

僕がそう言うと、ライの顔が一瞬で引き締まった。

その男性は父様の側近中の側近、宰相を務める公爵だった。

僕が公爵に声を掛けようとした時、僕を背中に庇うようにライが僕の前に立った。

「公爵、お話なら私が伺います」
「ライオネル、自分が何をしたか分かっているようですね」

「ち、違う!ライは悪くない!僕がライを好きになっちゃったからいけないんだ!」

僕はライの背中から飛び出して、公爵に向かって叫んだ。

「はぁ、二人共、勝手に私を話の分からない悪者にしないでください。私はただ陛下からの伝言を伝えに来ただけです」

「「伝言?」」

「はい。しばらく公務が立て込んでいて留守にする。話は落ち着いたら聞かせてもらう。それまでは節度ある付き合いをしなさい。との事です」

公爵から父様の伝言を聞いて、僕もライも口をぽかんと開けたまま、返事も出来なかった。

「よろしいですか?では」

公爵はそう言って僕達を置いて、さっさと行ってしまった。


「「はっ!?」」

僕達は同じ反応をしてお互いに呆けた顔を見合わせると、可笑しくなって吹き出してしまった。




後日、公務を終えた父様に呼ばれ、ライと二人で謁見をした。


父様は大袈裟な程大きな溜め息を吐いて、

「こうなると思っていたよ。ライオネルをクルムの護衛に選んだ私が一番分かっていたよ。いやしかし、分かっていたんだが、やっぱり寂しいもんだ」 

と、ライを恨めしげに見ていた。




僕は無事に学園を卒業した。

週末のゾルヴィ侯爵夫人の授業は、侍女の証言で僕を精神的に追い詰めていたと分かり、辞めてもらうことになった。
その事でライに何度も謝られたり、周りに随分心配を掛けてしまって、本当に申し訳なかった。


 

学園を卒業してしばらく経ち、そろそろライとの結婚を発表しようかという頃、ライから話があると言われた。

    
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