白い結婚だと思っていたら、(溺愛)夫にガブガブされて、番になっていたようです

まんまる

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アリウスが、どんなにおかしな格好をしていても、学園で会えるのは嬉しかった。
でも、多忙を極める王宮騎士団長のアリウスが、そうそう学園にばかりはいられないようで、あんなに感じていたアリウスの気配も、流れるように過ぎていく学園生活から、徐々に消えていった。



「シルティ殿下は、まだ婚約者をお決めにならないの?」

早いもので、僕の学園生活も、もうすぐ終わりを迎えようとしている。
そうなると、皆の話題は、結婚や婚約者のことばかりだ。

「うん、僕は王族だし、きっと他国と友好を結ぶための結婚になるんじゃないかな」
「えっ?そうですの?わたくしはてっきり、シルティ殿下は、キーファ団長と結ばれるとばかり思っていましたわ」
「そ、そう⋯?」
「ええ、そうですわ!シルティ殿下は、あんなにキーファ団長に想われてますのに!」

学友の令嬢たちは、口をそろえて、アリウスは僕を想っていると言う。
そりゃあ、僕もそうだといいなとは思うけど、きっとアリウスは、まだ僕を子供だと思っていて、心配しているだけなんだと思う。

「アリウスは、強くてかっこよくて、いつも僕を守ってくれるんだ。アリウスは昔から、とても、モテるんだ。だから、そのうち綺麗なΩの、令嬢か令息と結婚すると思うよ」

僕は自分で言って、胸が苦しくなった。

「ふふっ、自分でそこまでおっしゃるのに、シルティ殿下は、意外と鈍感なのですね」
「えっ?」
「あれでシルティ殿下を想っていないとおっしゃるなら、キーファ団長は、ただのコスプレ好きの変態ですわ」
「へっ、変態っ!?」
「あら、私ったら、団長様に不敬でしたわ」

伯爵令嬢のフィーネは、全く不敬だなんて思っていない様子で、おほほ、と楽しそうに笑った。

「それにしても、キーファ団長もお気の毒ね。こんなにお美しい人に恋をして。きっと一生、気が休まらないわね」

フィーネが何を言いたいのか、よく分からないけど、周りの皆は、うんうんと、動きを合わせたように頷いている。

「えっと、フィーネ、本当に僕たちはそんなんじゃないよ」
「はいはい、シルティ殿下。まあ、殿下はそのくらい鈍感な方がよろしいのかも。そうでないと、あんなに毎日、αの殿方たちが教室に押しかけてきたら、私なら気が狂ってしまいますわ」
「ええっ!?フィーネ、大丈夫!?」
「だぁかぁらっ!私のことではなくて、殿下のことですっ!」
「僕?」
「ふぅ、殿下は全く気づいてらっしゃらなくて、逆に殿方たちの方が気の毒でしたわ」

ますます、フィーネが何を言っているのか分からない。
僕は考えるのを諦めて、テーブルにある食べかけのお皿を綺麗に平らげてから、ぎこちなく席を立った。

「ごめんね、君たちはゆっくり食べて。僕は先に教室に戻るから」

皆の残念がる声が聞こえてきたけど、僕は振り返らずに学食を出た。




お昼休みが終わるまで、まだ少し時間があるからか、教室は人もまばらだった。
僕は窓辺に歩いて行き、中庭を見下ろした。

「ふぅ、結婚かぁ」

「なになに?シルティ、結婚するの?」

「わわっ!ダレル!?」

誰にも聞こえないと思って呟いた独り言を、友人のダレルに聞かれてしまった。
ダレルは隣国の第2王子で、1年生の時から、この学園に留学している。
立派な体格のダレルは、見るからにαで、僕は最初こそ避ける態度を取ってしまったけど、その気さくな性格に、気づけばよく話をするようになっていた。

「シルティには、婚約者はいなかったろ?」
「な、何でもないよ!さっきちょっとそういう話題になったから、つい⋯」
「そうか、何か悩みがあるんだと思った」
「な、悩みなんてない⋯よ」
「ふっ、シルティには、無敵の守護神がついているからな。俺の出る幕なんてないよな」
「えっ?」
「何でもない、シルティ」

ダレルはなぜか、苦しそうに微笑んだ。

「シルティは、団長と結婚するんだろ?」
「ええっ!?」

ダレルまで、皆と同じ事を言うから、僕は思わず大きな声を出してしまった。

「そんなに驚くなよ。⋯って、えっ?まさか、シルティ、気づいてないのか?」
「何に?」
「これは⋯団長も苦労するな。よしっ!俺が一肌脱いでやる!」
「えっ?」
「団長はいつも王城にいるのか?」
「うぅん、多分⋯。僕が王城にいる時は、よく見かけるけど」
「くくっ、団長は分かりやすいな。シルティ、今日の放課後、俺を王城に招待してくれ」
「えっ?王城に?」

ダレルは子供のような無邪気な笑顔を見せて、僕の背中をぽんっと叩いた。

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