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番外編(完結後)
こぼれ話Vol.4 シゲルと石田
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『石田、無言でツッコむ』
(ゼロタイム・プロトコル実行時 中継室)
端末の液晶に、またしても“あの声”が乗った。
『よっしゃー!ナイス陽動!
今のうちに、うちの潜入班がスススっとエントリー開始!
まさに第3話の神作画突入シーンって感じ!!』
石田は黙ってキーを打ち続けていた。だが、心の中ではこう思っていた。
(『第3話の神作画突入シーン』ってなんだよ)
『監視ログ、今こちらでノイズばっちり注入中!
画面にエモい感じのラグかけてるんで、動きが認識されにくい!
っていうか、これ実質ステルススキル発動!』
(いや、それ実況する必要ある?)
シゲルはいつもそうだ。
状況報告をしているのか、自分の脳内再生アニメのナレーションをしているのか、
聞いてる方には判断がつかない。
石田はふっと息を吐いた。
(まあ、間違ってはいないんだけどな。やってることは完璧だし)
5つのモニターによるルーティングは続行されている。
ノイズの入れ方も手慣れているし、監視ログの上書きタイミングも素晴らしい。
ただ――
(せめて、『中継班、ログ書き換え完了』くらいの一言で済ませてくれ)
石田は横目でシゲルの背後に視線をやりながら、口には出さず、メモ欄に一行だけ書き足した。
「実況は要点のみで可」
少し間を置いてから、シゲルが画面越しに振り返った。
「えっ、今なんか書かれた?テンション高すぎって?」
石田は目を低くしたまま、ほんの少しだけ笑った。
「気のせいだ」
***
(戦後 灰翼拠点)
「あー、そんなこともあったな」
シゲルはカップを両手で包みながら、どこか懐かしそうに言った。
「実はさ、今度、配信やろうと思ってて」
石田はカップを口に運びかけて、少しだけ止まった。
そのまま視線を落とし、ひと呼吸置いてから、静かに答えた。
「……天職じゃないですかね」
「だろ?
俺、声とタイミングには定評あるからな。
推し語り系の実況、絶対向いてると思ってんのよ」
石田は、あきれたように息を吐き、ふっと笑った。
けれどその笑みに、かすかな優しさがにじんでいた。
「灰翼の日常、沙織さんとか沙耶ちゃんの『推し』実況が熱い!」
(いや、迷惑だろ)
石田は少し目を細めた。
「……あんたの推し語り、止まらないでしょうね」
(ゼロタイム・プロトコル実行時 中継室)
端末の液晶に、またしても“あの声”が乗った。
『よっしゃー!ナイス陽動!
今のうちに、うちの潜入班がスススっとエントリー開始!
まさに第3話の神作画突入シーンって感じ!!』
石田は黙ってキーを打ち続けていた。だが、心の中ではこう思っていた。
(『第3話の神作画突入シーン』ってなんだよ)
『監視ログ、今こちらでノイズばっちり注入中!
画面にエモい感じのラグかけてるんで、動きが認識されにくい!
っていうか、これ実質ステルススキル発動!』
(いや、それ実況する必要ある?)
シゲルはいつもそうだ。
状況報告をしているのか、自分の脳内再生アニメのナレーションをしているのか、
聞いてる方には判断がつかない。
石田はふっと息を吐いた。
(まあ、間違ってはいないんだけどな。やってることは完璧だし)
5つのモニターによるルーティングは続行されている。
ノイズの入れ方も手慣れているし、監視ログの上書きタイミングも素晴らしい。
ただ――
(せめて、『中継班、ログ書き換え完了』くらいの一言で済ませてくれ)
石田は横目でシゲルの背後に視線をやりながら、口には出さず、メモ欄に一行だけ書き足した。
「実況は要点のみで可」
少し間を置いてから、シゲルが画面越しに振り返った。
「えっ、今なんか書かれた?テンション高すぎって?」
石田は目を低くしたまま、ほんの少しだけ笑った。
「気のせいだ」
***
(戦後 灰翼拠点)
「あー、そんなこともあったな」
シゲルはカップを両手で包みながら、どこか懐かしそうに言った。
「実はさ、今度、配信やろうと思ってて」
石田はカップを口に運びかけて、少しだけ止まった。
そのまま視線を落とし、ひと呼吸置いてから、静かに答えた。
「……天職じゃないですかね」
「だろ?
俺、声とタイミングには定評あるからな。
推し語り系の実況、絶対向いてると思ってんのよ」
石田は、あきれたように息を吐き、ふっと笑った。
けれどその笑みに、かすかな優しさがにじんでいた。
「灰翼の日常、沙織さんとか沙耶ちゃんの『推し』実況が熱い!」
(いや、迷惑だろ)
石田は少し目を細めた。
「……あんたの推し語り、止まらないでしょうね」
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