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第一章 英雄の街・プリセリド
第07話 グランデュース家
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もう少し登っていくと、山頂から赤黒い尻尾のようなものが見えた。
「今見えたな。あれが飛竜か」
「そうね。私たちの気配をなんとなく感じたみたい。もう少し近づきましょう」
おれ達は飛竜の群れ全体をしっかり確認できる距離まで近づいた。飛竜は一般に竜と呼ばれる種より小さいのだが、それでも人からするとそれなりの大きさだった。
「飛んでるから厄介ね。降りてくるのを狙ってもいいけど時間かかりそうだし」
「あっちはまだ明確には気づいてないからな。撃ち落とすか」
「遠距離の魔法使えるの?」
「いや、魔法じゃなくて……」
おれは説明するよりやって見せた方がいいと思いそこら辺の小石をひとつ手に取った。
「え、まさか……」
「そのまさかだよ。……っフンッ!」
小石に魔素を纏わせて思いっ切りに投げた。軽い身体強化で投げた石は矢よりも速く空を裂き、飛竜の脳天を貫いた。
「うん。これなら簡単に倒せそうだ。気づかれちまったけど」
「すごい脳筋戦法だけど……。まぁそれが一番手っ取り早そうね。残りの4体もお願いできる?」
「ああ。任せろ!」
おれは中くらいの石を砕いて投げつけた。飛竜はこちらの攻撃に気づいているようだが、これだけ無数の攻撃には対応できない。
「……よしっ! これで片付いたかな。……ん?」
石の矢で飛竜を全て撃ち落としたと思ったが、一際大きい者が現れた。どうやら裏の麓にいたらしい。
「群れの頭か? でっけぇな。……うおっ!」
おれ達の手が届かない程度の、少し高い位置から火を吹いて来た。飛竜は基本的に能力は持っていない。特殊個体というものだろう。
「今帰るところなのよ」
「『裂火剣』!」
炎を纏った斬撃が飛竜の頭を切り落とした。
「すげぇな! 硬そうなのにサックリ切れてる!」
「確かに普通の飛竜よりは硬いでしょうけど、エストの投石でも倒せるでしょ」
「まぁな。でもセリアのやつの方がカッコいいよ」
おれ達は倒した飛竜の死体を回収した。依頼達成の証明だけでなく売ることもできるのだ。飛竜の肉と皮はそれなりに高く買い取ってくれるらしい。
「エストの空間収納っていっぱい入るのね」
「自分の魔力によるものじゃないからな。基本無制限なんだよ」
「いいなぁ。今度教えてよ」
「別にいいけど、難しいんじゃないかな? おれは感覚的にできるだけだし」
おれ達は山を降りて帰路についた。馬車は万が一に備えて帰ってもらっていたので、帰りは歩きだった。
「これからセリアの家に行くんだよな。なんか気をつけた方がいいこととかってあるか?」
「いや、気にしなくて平気よ。父様も母様も細かいことは気にしないから」
いろいろと話をしながら歩いている内にプリセリドに到着した。ギルドへ報告を済ませてからセリアの家へと向かった。セリアの家は街の真ん中辺りらしいので着いてからも少し歩いた。
「この辺は立派な家が多いな。あれなんか貴族様の家じゃないか?」
一軒だけ明らかに広い家が建ってあった。それこそ冒険者ギルドと同じくらいの敷地面積だろうか。プリセリドの領主様の屋敷だったりするのだろうか。
「ああ、あれが私の家よ」
「へぇ、あれがか……。あれなの!?」
「言ってなかったっけ? プリセリドはグランデュース家が治めてるの」
初耳だ。セリアからしたらどうでもいいことなのかもしれない。が、おれからしたら親しくしていた人がお偉いさんだったわけでかなり驚いた。
「あははっ。気にしなくていいわよ。気にしてるなら最初から言ってるわ」
「いやまぁ気にはしねぇけどよ」
「気にしなさいよ」
「えぇ!?」
そんな理不尽な。まぁ本気では言っていないだろうが。
「おねえ様! おかえりなさい! 早いですね! そちらの方がエスト様なの?」
「そうよ、エリス。挨拶しなさい」
「はじめまして、エスト様! エリスです!」
5、6才程度の女の子であった。セリアとお互い楽しそうに話しており、とても仲が良いようだ。
「初めまして。挨拶できて偉いね」
「帰ってすぐで悪いけど父様たちとエストを会わせなきゃいけないから。また後で遊んであげるわね」
「はい! 父様たちも楽しみにしてましたよ!」
おれはセリアのあとをついていった。屋敷にはたくさんの部屋と広い廊下があり1人では迷う自信があった。そのなかで一際大きい部屋があった。ここが領主様、つまりセリアの父親の部屋だ。
「父様、ただいま帰りました。エストも連れて来てます」
「そうか、入ってくれ」
重厚な声を聞き、そしておれ達は部屋に入った。窓辺に大きな作業机があり、その上に書類の山ができていた。
そこに座る男が領主様、セリアの父親だろう。がっしりとした体格と品を感じられる雰囲気を纏った男だった。
「君がエスト君だね」
「はい。えーっと……」
「ああ、私はグランデュース=ダルゲートだ。よろしく」
「はい、よろしくお願いします、ダルゲート様」
「ははっ。堅苦しくしなくてもいいよ。君は客人みたいなものだから」
「えーっと……。じゃあそうさせてもらうよ。で、なんでおれは呼ばれたんだ?」
セリアとパーティを組む。それだけのことで挨拶をしたがるだろうか?それとも何か試されているのか?
「そうだな。まず我々グランデュース家について説明しようか」
「家の話って、領主の仕事の話か?」
「いやいや、そんなことではないさ。もっと根本的な話だよ」
するとダルゲートさんは少し誇らしげな口調でグランデュース家の歴史を話し始めた。
「今見えたな。あれが飛竜か」
「そうね。私たちの気配をなんとなく感じたみたい。もう少し近づきましょう」
おれ達は飛竜の群れ全体をしっかり確認できる距離まで近づいた。飛竜は一般に竜と呼ばれる種より小さいのだが、それでも人からするとそれなりの大きさだった。
「飛んでるから厄介ね。降りてくるのを狙ってもいいけど時間かかりそうだし」
「あっちはまだ明確には気づいてないからな。撃ち落とすか」
「遠距離の魔法使えるの?」
「いや、魔法じゃなくて……」
おれは説明するよりやって見せた方がいいと思いそこら辺の小石をひとつ手に取った。
「え、まさか……」
「そのまさかだよ。……っフンッ!」
小石に魔素を纏わせて思いっ切りに投げた。軽い身体強化で投げた石は矢よりも速く空を裂き、飛竜の脳天を貫いた。
「うん。これなら簡単に倒せそうだ。気づかれちまったけど」
「すごい脳筋戦法だけど……。まぁそれが一番手っ取り早そうね。残りの4体もお願いできる?」
「ああ。任せろ!」
おれは中くらいの石を砕いて投げつけた。飛竜はこちらの攻撃に気づいているようだが、これだけ無数の攻撃には対応できない。
「……よしっ! これで片付いたかな。……ん?」
石の矢で飛竜を全て撃ち落としたと思ったが、一際大きい者が現れた。どうやら裏の麓にいたらしい。
「群れの頭か? でっけぇな。……うおっ!」
おれ達の手が届かない程度の、少し高い位置から火を吹いて来た。飛竜は基本的に能力は持っていない。特殊個体というものだろう。
「今帰るところなのよ」
「『裂火剣』!」
炎を纏った斬撃が飛竜の頭を切り落とした。
「すげぇな! 硬そうなのにサックリ切れてる!」
「確かに普通の飛竜よりは硬いでしょうけど、エストの投石でも倒せるでしょ」
「まぁな。でもセリアのやつの方がカッコいいよ」
おれ達は倒した飛竜の死体を回収した。依頼達成の証明だけでなく売ることもできるのだ。飛竜の肉と皮はそれなりに高く買い取ってくれるらしい。
「エストの空間収納っていっぱい入るのね」
「自分の魔力によるものじゃないからな。基本無制限なんだよ」
「いいなぁ。今度教えてよ」
「別にいいけど、難しいんじゃないかな? おれは感覚的にできるだけだし」
おれ達は山を降りて帰路についた。馬車は万が一に備えて帰ってもらっていたので、帰りは歩きだった。
「これからセリアの家に行くんだよな。なんか気をつけた方がいいこととかってあるか?」
「いや、気にしなくて平気よ。父様も母様も細かいことは気にしないから」
いろいろと話をしながら歩いている内にプリセリドに到着した。ギルドへ報告を済ませてからセリアの家へと向かった。セリアの家は街の真ん中辺りらしいので着いてからも少し歩いた。
「この辺は立派な家が多いな。あれなんか貴族様の家じゃないか?」
一軒だけ明らかに広い家が建ってあった。それこそ冒険者ギルドと同じくらいの敷地面積だろうか。プリセリドの領主様の屋敷だったりするのだろうか。
「ああ、あれが私の家よ」
「へぇ、あれがか……。あれなの!?」
「言ってなかったっけ? プリセリドはグランデュース家が治めてるの」
初耳だ。セリアからしたらどうでもいいことなのかもしれない。が、おれからしたら親しくしていた人がお偉いさんだったわけでかなり驚いた。
「あははっ。気にしなくていいわよ。気にしてるなら最初から言ってるわ」
「いやまぁ気にはしねぇけどよ」
「気にしなさいよ」
「えぇ!?」
そんな理不尽な。まぁ本気では言っていないだろうが。
「おねえ様! おかえりなさい! 早いですね! そちらの方がエスト様なの?」
「そうよ、エリス。挨拶しなさい」
「はじめまして、エスト様! エリスです!」
5、6才程度の女の子であった。セリアとお互い楽しそうに話しており、とても仲が良いようだ。
「初めまして。挨拶できて偉いね」
「帰ってすぐで悪いけど父様たちとエストを会わせなきゃいけないから。また後で遊んであげるわね」
「はい! 父様たちも楽しみにしてましたよ!」
おれはセリアのあとをついていった。屋敷にはたくさんの部屋と広い廊下があり1人では迷う自信があった。そのなかで一際大きい部屋があった。ここが領主様、つまりセリアの父親の部屋だ。
「父様、ただいま帰りました。エストも連れて来てます」
「そうか、入ってくれ」
重厚な声を聞き、そしておれ達は部屋に入った。窓辺に大きな作業机があり、その上に書類の山ができていた。
そこに座る男が領主様、セリアの父親だろう。がっしりとした体格と品を感じられる雰囲気を纏った男だった。
「君がエスト君だね」
「はい。えーっと……」
「ああ、私はグランデュース=ダルゲートだ。よろしく」
「はい、よろしくお願いします、ダルゲート様」
「ははっ。堅苦しくしなくてもいいよ。君は客人みたいなものだから」
「えーっと……。じゃあそうさせてもらうよ。で、なんでおれは呼ばれたんだ?」
セリアとパーティを組む。それだけのことで挨拶をしたがるだろうか?それとも何か試されているのか?
「そうだな。まず我々グランデュース家について説明しようか」
「家の話って、領主の仕事の話か?」
「いやいや、そんなことではないさ。もっと根本的な話だよ」
するとダルゲートさんは少し誇らしげな口調でグランデュース家の歴史を話し始めた。
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