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第二章 帝都・バラン
第13話 特訓開始!
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「『灰斬』!」
セリアは高速かつ最大威力の技をいきなり放った。放たれた炎の斬撃は巨大な火柱を生み出し、辺り一帯を振動させた。
「うおっ! セリアのやついきなり出し切るじゃねぇか! ガルヴァンさん大丈夫なのか!?」
「ははっ。大丈夫だよ」
ガントラードさんがそう言って笑った。本当に大丈夫だろうか? いくら六法帝、世界最強に近い男とはいえ、一切の防御姿勢をとっていなかった。その状態であの技を受けて本当に無事なのだろうか?
そんな心配は杞憂に終わり、煙の中からガルヴァンさんの姿が見えた。最初の位置から一歩も動いていない。
「きゃあッ!」
セリアは悲鳴と共に後ろに吹き飛ばされた。依然としてガルヴァンさんは一歩も動いていない。
「はっはっ! 確かに強くなっているな! 技の威力が前会ったときとは段違いだ!」
「よく言いますよ。せめて一歩は動かしたかったですね」
どういうことだ? 攻撃を受けたときも、攻撃をしたときも全く動いてなかった。動きが見えないほど速いとか、そういうレベルではない。確実に動いていなかった。
「よし、次はエスト! お前がやるか!」
「おう! やってやる!」
「不思議そうな顔ね? 教えてあげようか?あの人の技」
「いや、やってみれば分かるだろ」
おれはガルヴァンさんと向かい合った。やはり何の動きも見せない。
「最高威力の技をぶつけてみろ。当てられたら褒めてやる」
「そうか、じゃあ遠慮なくいかせてもらうぞ」
「『部分身体強化』!」
「ほう。不思議な技だな。魔素か?」
「ああ、行くぞ!」
「『業天爆』!」
ガルヴァンさんに接近して最大威力の攻撃を繰り出した。だが、拳が届くことはない。相手は動いてないが、おれが進むことができない。
「くそっ!」
「悪くはないな!」
「ッがっ!」
おれもセリアと同じように吹き飛ばされた。理解した。ガルヴァンさんが何をしているのか。
「ふーっ。最初は能力かと思ってたんだが……。ただの魔力の壁だったな」
「へぇ。今の1回でわかったのか!」
「圧縮した魔力だけで人の体を動かすなんて……。六法帝ってのは皆んなこんなことができんのか?」
「そうだなぁ……。こんくらいなら出来るぞ」
「こんくらいて……」
魔力ってのは本来実体のないもの。逆に実体のあるものに直接作用するにはとてつもない量の魔力を圧縮しなくてはならない。涼しい顔でそんなことをしているのだから、途方もなく遠い。今のおれでは手の届かないほど遠い力だ。
「エストの技の威力はセリア以上だな。まともに受けたら痛そうだ」
「そうか、そいつは光栄だな」
冗談じゃないぞ。渾身の一撃を痛いで済まされてたまるか。
「よし! 今日はエスト、お前を鍛えてやる。セリアは明日だ。騎士団と無限に打ち合っとけ。体力が切れるまでな!」
「分かりました。エスト、死なないように頑張ってね!」
「お、おう。ありがとう?」
死なないように? おれは今から殺されるのか? そんな質問をする前にセリアは向こうへ行ってしまった。
「よし、エスト、お前の能力について教えてくれ」
「能力を? いいけど……」
そこでおれは能力の説明をした。
「なるほどな。だから魔素を操ってたのか。うーん。汎用性が高そうだが、とりあえず身体能力を高めるくらいしかないか? あとは魔力、いや、魔素の運用法くらいか。魔力のない体ってのも不思議だな。条約を結んだ訳ではねぇだろ?」
「ああ、元々だな」
条約というのは何かしらの条件を負ってその代わりに、利を得るというこの世界の真理のようなもので、基本的には等価交換だ。
例えば創造神様なんかも、あらゆる創造行為ができるほど強大な力がある代わりに、直接的な破壊行為は決して出来ない。
神様ですら逆らえないものなのだ。おれの場合は身体能力や魔力操作が激しく強化される代わりに魔力を持たないという条約が能力に元から組み込まれているのだろう。
「そうか、まぁ固有能力ならそういうこともあるんだろうな。じゃあ、とにかく技をおれに打ち込んでみろ! お前なら魔力の圧縮もできるはずだ!」
「よぉし! お願いします!!」
おれは頬を引っ叩いて気合いを入れた。
セリアは高速かつ最大威力の技をいきなり放った。放たれた炎の斬撃は巨大な火柱を生み出し、辺り一帯を振動させた。
「うおっ! セリアのやついきなり出し切るじゃねぇか! ガルヴァンさん大丈夫なのか!?」
「ははっ。大丈夫だよ」
ガントラードさんがそう言って笑った。本当に大丈夫だろうか? いくら六法帝、世界最強に近い男とはいえ、一切の防御姿勢をとっていなかった。その状態であの技を受けて本当に無事なのだろうか?
そんな心配は杞憂に終わり、煙の中からガルヴァンさんの姿が見えた。最初の位置から一歩も動いていない。
「きゃあッ!」
セリアは悲鳴と共に後ろに吹き飛ばされた。依然としてガルヴァンさんは一歩も動いていない。
「はっはっ! 確かに強くなっているな! 技の威力が前会ったときとは段違いだ!」
「よく言いますよ。せめて一歩は動かしたかったですね」
どういうことだ? 攻撃を受けたときも、攻撃をしたときも全く動いてなかった。動きが見えないほど速いとか、そういうレベルではない。確実に動いていなかった。
「よし、次はエスト! お前がやるか!」
「おう! やってやる!」
「不思議そうな顔ね? 教えてあげようか?あの人の技」
「いや、やってみれば分かるだろ」
おれはガルヴァンさんと向かい合った。やはり何の動きも見せない。
「最高威力の技をぶつけてみろ。当てられたら褒めてやる」
「そうか、じゃあ遠慮なくいかせてもらうぞ」
「『部分身体強化』!」
「ほう。不思議な技だな。魔素か?」
「ああ、行くぞ!」
「『業天爆』!」
ガルヴァンさんに接近して最大威力の攻撃を繰り出した。だが、拳が届くことはない。相手は動いてないが、おれが進むことができない。
「くそっ!」
「悪くはないな!」
「ッがっ!」
おれもセリアと同じように吹き飛ばされた。理解した。ガルヴァンさんが何をしているのか。
「ふーっ。最初は能力かと思ってたんだが……。ただの魔力の壁だったな」
「へぇ。今の1回でわかったのか!」
「圧縮した魔力だけで人の体を動かすなんて……。六法帝ってのは皆んなこんなことができんのか?」
「そうだなぁ……。こんくらいなら出来るぞ」
「こんくらいて……」
魔力ってのは本来実体のないもの。逆に実体のあるものに直接作用するにはとてつもない量の魔力を圧縮しなくてはならない。涼しい顔でそんなことをしているのだから、途方もなく遠い。今のおれでは手の届かないほど遠い力だ。
「エストの技の威力はセリア以上だな。まともに受けたら痛そうだ」
「そうか、そいつは光栄だな」
冗談じゃないぞ。渾身の一撃を痛いで済まされてたまるか。
「よし! 今日はエスト、お前を鍛えてやる。セリアは明日だ。騎士団と無限に打ち合っとけ。体力が切れるまでな!」
「分かりました。エスト、死なないように頑張ってね!」
「お、おう。ありがとう?」
死なないように? おれは今から殺されるのか? そんな質問をする前にセリアは向こうへ行ってしまった。
「よし、エスト、お前の能力について教えてくれ」
「能力を? いいけど……」
そこでおれは能力の説明をした。
「なるほどな。だから魔素を操ってたのか。うーん。汎用性が高そうだが、とりあえず身体能力を高めるくらいしかないか? あとは魔力、いや、魔素の運用法くらいか。魔力のない体ってのも不思議だな。条約を結んだ訳ではねぇだろ?」
「ああ、元々だな」
条約というのは何かしらの条件を負ってその代わりに、利を得るというこの世界の真理のようなもので、基本的には等価交換だ。
例えば創造神様なんかも、あらゆる創造行為ができるほど強大な力がある代わりに、直接的な破壊行為は決して出来ない。
神様ですら逆らえないものなのだ。おれの場合は身体能力や魔力操作が激しく強化される代わりに魔力を持たないという条約が能力に元から組み込まれているのだろう。
「そうか、まぁ固有能力ならそういうこともあるんだろうな。じゃあ、とにかく技をおれに打ち込んでみろ! お前なら魔力の圧縮もできるはずだ!」
「よぉし! お願いします!!」
おれは頬を引っ叩いて気合いを入れた。
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