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第九章 聖都ヘルダルム
第60話 帰ってきたぜ
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「セリア! あれがヘルダルムか?」
「ええ、そうよ。……そういえばエストは初めて来たんだもんね。どう?」
「でっかい!」
「ははっ。それだけ?」
おれ達は遠くの街を見てそう話した。街は聖都というだけあって、白を基調としていて、どこか神聖な感じがあった。綺麗で壮大な街だ。
世界的にも有名な街だって話だったが、あんなにも美しいならそれも納得に思えるほどだった。ついこの間までは暗く汚い空間にいたので本当に神様でも住んでるんじゃないかとも思えた。
ウルードを出発しておよそ2週間、街を経由したり野宿したり、長いようで短い旅だった。
久しぶりにセリアと一緒にいたからかな? 短かったし、普通の人からすれば過酷だったのかもしれないが、おれにとっては非常に充実した時間だった。心の底からそう感じた。
街に入ると、そこは住人と観光客で溢れかえっていた。右に行ったり左に行ったり、人々は忙しく行き来していた。中には冒険者や、騎士もいる。本当に賑わっているところだな。
「栄えてる街だなぁ! 良いとこだ!」
「そうでしょ? ここに私達の本拠地を作ったんだから褒めてほしいわ」
「いやぁ……すげぇよ! こんなとこだと高かったんじゃねぇのか?」
「だから頑張ったのよ。さ! 案内するわ! 着いてきて!」
セリアは元気いっぱいにそう言って、おれの手を引っ張った。向かっているのはクランの本部だろう。おれに見せようと張り切っている様子はまるで子供のようだ。
でも3年間おれを待っていてくれたんだから、それも当たり前なのかもしれない。それにおれだって、彼女達の努力の結晶を早く見たいと思っている。
道中屋台で売っているものを軽く買いながらおれ達はクランの本部へ向かった。大きな魔力の集まっている方へと。
「おお! でっけぇな! そこらのギルドよりはでっけぇしな!」
クランは街と合わせるような白い建物であった。そしてすげぇデカい。ギルドや貴族の屋敷なんかより一回りも二回りも大きい。
これを前にするだけでおれは圧倒された。これをセリア達は建てたのか。すごいな。
「でしょ? 元々はもう少し小さかったんだけどね、少しずつ大きくしていったの。それと周りにもいくつか塔があるでしょ? あれもクランの一部なのよ。それぞれが団の本部になってるの」
「へー! すげぇな!」
セリアは中央の屋敷の周りにある塔を指差してそう話した。全部で五つ建っている。確か煌焔は五つの団で構成されているのだったな。
おれはセリアについてクランの中へ入っていった。中は中央に受付があり、そこに巨大魔石、魔導通信機があった。その横から2階に上がる階段があり、さらにその奥にいくつかの部屋があるようで、そこに何人か集まっているようだ。
会議室だろうか。グラやフリナの気配もある。セリアの呼んだ団長達がいるのだろう。
「リーダー! お帰りなさいませ! 2階に皆様集まっておられますよ」
「ありがとね」
「えーーっと……そちらの方は? お客様ですか?」
「そのうち分かるから……今はナイショっ」
「? そうですか。ではいってらっしゃいませ」
セリアは受付の人と会話を終わらせて2階へと上がった。本当におれをサプライズでグラ達に合わせたいらしい。おれは受付に軽くお辞儀をしてセリアについて行った。
2階に上がるとそこにはいくつもの部屋があった。クラン長室、作戦会議室、資料室……正直そんなにいるか?と思いつつ、しかし人数がいれば必要な部屋も増えるのかと1人で納得していた。
そしてセリアに連れられて来たのは大会議室であった。そこから五つの大きな魔力を感じる。一際大きな魔力はグラのものだろう。懐かしいな……フリナもいるようだし……早く会いたいものだ。
「じゃあエストは一旦ここで待っててね。呼んだら入ってきて。カッコよく」
「え!? カッコよく? どうするのさ?」
「それは考えて。じゃあちょっと待っててね」
そう言ってセリアは扉の中へ入っていった。無茶振りを残して。……カッコよくだって?どうすればいいんだ? というかナニを求められているのだろうか。おれは答えのない問いに対しフルに頭を回転させた。
「みんな、お待たせ。来るの早かったわね。パーダとハナは久しぶりじゃない?」
「ええ、半年ぶりくらいですかね。で、何かあったのですか?」
「そうじゃよ。邪教の本拠地が見つかったんじゃろ? どうじゃった?」
「……そういえば最初はそのつもりだったわね」
「……は?」
「行ってないんスか!? だったら尚更なんで帰ってきたんです?」
「うーーん……。見せた方が早いわね。入ってきて!!」
「??」
セリアは扉の向こうから呼びかけてきた。どうする? 何も思いつかなかった。どうしよう……おれは未だかつてなく焦っていた。だが彼らを待たせるわけにもいかない。……おれは意を決して扉を開いた。
「帰ってきたぜ!! おれが!!」
おれは重心を右側に置き、グーサインを自分自身に向けたポーズを取りながら部屋に入った。
「………………?」
「エスト! 最高よ!!」
おれは自信満々の顔をセリアに向けた。セリアもおれに対し親指を立てて顔を見せた。……決まったな……!
「ええ、そうよ。……そういえばエストは初めて来たんだもんね。どう?」
「でっかい!」
「ははっ。それだけ?」
おれ達は遠くの街を見てそう話した。街は聖都というだけあって、白を基調としていて、どこか神聖な感じがあった。綺麗で壮大な街だ。
世界的にも有名な街だって話だったが、あんなにも美しいならそれも納得に思えるほどだった。ついこの間までは暗く汚い空間にいたので本当に神様でも住んでるんじゃないかとも思えた。
ウルードを出発しておよそ2週間、街を経由したり野宿したり、長いようで短い旅だった。
久しぶりにセリアと一緒にいたからかな? 短かったし、普通の人からすれば過酷だったのかもしれないが、おれにとっては非常に充実した時間だった。心の底からそう感じた。
街に入ると、そこは住人と観光客で溢れかえっていた。右に行ったり左に行ったり、人々は忙しく行き来していた。中には冒険者や、騎士もいる。本当に賑わっているところだな。
「栄えてる街だなぁ! 良いとこだ!」
「そうでしょ? ここに私達の本拠地を作ったんだから褒めてほしいわ」
「いやぁ……すげぇよ! こんなとこだと高かったんじゃねぇのか?」
「だから頑張ったのよ。さ! 案内するわ! 着いてきて!」
セリアは元気いっぱいにそう言って、おれの手を引っ張った。向かっているのはクランの本部だろう。おれに見せようと張り切っている様子はまるで子供のようだ。
でも3年間おれを待っていてくれたんだから、それも当たり前なのかもしれない。それにおれだって、彼女達の努力の結晶を早く見たいと思っている。
道中屋台で売っているものを軽く買いながらおれ達はクランの本部へ向かった。大きな魔力の集まっている方へと。
「おお! でっけぇな! そこらのギルドよりはでっけぇしな!」
クランは街と合わせるような白い建物であった。そしてすげぇデカい。ギルドや貴族の屋敷なんかより一回りも二回りも大きい。
これを前にするだけでおれは圧倒された。これをセリア達は建てたのか。すごいな。
「でしょ? 元々はもう少し小さかったんだけどね、少しずつ大きくしていったの。それと周りにもいくつか塔があるでしょ? あれもクランの一部なのよ。それぞれが団の本部になってるの」
「へー! すげぇな!」
セリアは中央の屋敷の周りにある塔を指差してそう話した。全部で五つ建っている。確か煌焔は五つの団で構成されているのだったな。
おれはセリアについてクランの中へ入っていった。中は中央に受付があり、そこに巨大魔石、魔導通信機があった。その横から2階に上がる階段があり、さらにその奥にいくつかの部屋があるようで、そこに何人か集まっているようだ。
会議室だろうか。グラやフリナの気配もある。セリアの呼んだ団長達がいるのだろう。
「リーダー! お帰りなさいませ! 2階に皆様集まっておられますよ」
「ありがとね」
「えーーっと……そちらの方は? お客様ですか?」
「そのうち分かるから……今はナイショっ」
「? そうですか。ではいってらっしゃいませ」
セリアは受付の人と会話を終わらせて2階へと上がった。本当におれをサプライズでグラ達に合わせたいらしい。おれは受付に軽くお辞儀をしてセリアについて行った。
2階に上がるとそこにはいくつもの部屋があった。クラン長室、作戦会議室、資料室……正直そんなにいるか?と思いつつ、しかし人数がいれば必要な部屋も増えるのかと1人で納得していた。
そしてセリアに連れられて来たのは大会議室であった。そこから五つの大きな魔力を感じる。一際大きな魔力はグラのものだろう。懐かしいな……フリナもいるようだし……早く会いたいものだ。
「じゃあエストは一旦ここで待っててね。呼んだら入ってきて。カッコよく」
「え!? カッコよく? どうするのさ?」
「それは考えて。じゃあちょっと待っててね」
そう言ってセリアは扉の中へ入っていった。無茶振りを残して。……カッコよくだって?どうすればいいんだ? というかナニを求められているのだろうか。おれは答えのない問いに対しフルに頭を回転させた。
「みんな、お待たせ。来るの早かったわね。パーダとハナは久しぶりじゃない?」
「ええ、半年ぶりくらいですかね。で、何かあったのですか?」
「そうじゃよ。邪教の本拠地が見つかったんじゃろ? どうじゃった?」
「……そういえば最初はそのつもりだったわね」
「……は?」
「行ってないんスか!? だったら尚更なんで帰ってきたんです?」
「うーーん……。見せた方が早いわね。入ってきて!!」
「??」
セリアは扉の向こうから呼びかけてきた。どうする? 何も思いつかなかった。どうしよう……おれは未だかつてなく焦っていた。だが彼らを待たせるわけにもいかない。……おれは意を決して扉を開いた。
「帰ってきたぜ!! おれが!!」
おれは重心を右側に置き、グーサインを自分自身に向けたポーズを取りながら部屋に入った。
「………………?」
「エスト! 最高よ!!」
おれは自信満々の顔をセリアに向けた。セリアもおれに対し親指を立てて顔を見せた。……決まったな……!
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