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第十二章 人魔大戦
第82話 別格
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時は少し遡り、イリア班がデスバルトの前に到着したときのこと。
デスバルトが切られた巨木の山に座ったまま、イリア達は戦闘体勢をとった。
「『流星』……!」
「ははっ! 面白いね!」
イリアは腕を下に向けると、空から五つの隕石が降ってきた。それらは全てデスバルトに向けられていたが、隕石ともなると周りもただでは済まない。考えなしなのか何なのか、そんなイリアの行動に他の5人は文句を垂れていた。
「儂らのことも考えんか!」
「皆さんこちらに! 私の“障壁”の中にお入り下さい!」
ミーランの言葉に従い、その場にいる者達は彼女の作った壁の中に入った。ミーランの能力は『完全障壁』、不可壊の結界を展開する能力だ。
現代では最強の防御力を誇っているのがミーランだ。ただ1人、デモンゲートだけはその結界内に入らずにデスバルトの方へ向かった。
「おい! 今出たら……!」
「この程度じゃあ牽制にもならねぇだろ……!」
「……ん!? 今のは……」
デモンゲートは時間を止めて攻撃をした。多少は効いたものの、有効打と言えるほどではなかった。2秒間、無防備な状態でも及ばないということだ。ただ隙は作れた。
デモンゲートはデスバルトを押さえつけ、隕石に直撃した。大地が揺れ、大きく煙が立った。その煙の中から出てきたのは……擦り傷を負ったデスバルトと、その足元に倒れたデモンゲートだった。微かに息はあるものの、酷く血を流している。デスバルトに胸を抉られたようだ。
「ちょっと面倒な奴だったからね。つまらない遊びはやらないよ」
「くそッ……畳みかけるぞ!」
「『竜人硬体』!」
グラは竜人形態になり、全身に炎を纏いながらデスバルトに接近した。昇華した『硬化』でより身体を硬くしながら。それを援護するようにドーランが流動する鉄で襲いかかる。そして隙が出来ないようにガルヴァンが畳みかける。
「『牙竜焔拳』!」
「そんなんじゃ届かないよ。ほら」
「ぐッ…!」
巨大化した爪で突き刺そうとしたが、攻撃は空を切った。ドーランの鉄もデスバルトを避けて流れていき、デスバルトの強烈な蹴りでグラとガルヴァンは一緒になって吹き飛んでいった。
相手の動きが速かったとかではなく、確かに直撃させるはずだった攻撃が、自身の意思に反して別の方向へと向かったようだった。それでいてデスバルトの攻撃は一つ一つが重い。しっかりと受け身を取らなければ簡単に死んでしまうほどに。
「何やってんだテメーらは!!」
「『無限の吸引・反爆』!」
「『嵐の槍』!」
頭上からイリアが、自身の結界の中からミーランが攻撃した。イリアの無限のエネルギーを生み出す爆弾もまたデスバルトを避け、ミーランの魔法も綺麗に逸れた。
ただどちらの技も威力は変わっていないので、大地は抉られ森は吹き飛んだ。その爆風の中でも、依然デスバルトは堂々と立っている。
「『破拳』!」
「だから無駄だっ……てッ!」
立ち上る土煙の中からガルヴァンも飛び出し、強烈な打撃を放った。圧縮した魔力が爆発し、大気が震えた。しかし、これもまたデスバルトには届かず、逆に蹴り落とされてしまう。
「……! 何も……当たらないなら……これならどうですか!?」
そう言ってミーランは手元に空気の球体を作り出した。これは高度な風魔法で、真空状態の周りを岩を砕くほどの風が吹き荒れている。それを直径10センチほどに圧縮しているのだ。高密度な魔力で生成されたこの球は、そうそう軌道が逸れるものではない。
「『嵐の牙』!」
ミーランの手から放たれた球は一直線にデスバルトへと突き進んだ。デスバルトは掌を球に向けた。防御姿勢を取るということは届く。誰もがそう思っただろう。ただそれは防御ではなく、ただ軌道を逸らしただけだった。それまでと同じように。
「……どうしたら……!」
「外野からチクチクと邪魔だな。君はどう足掻いても僕には届かなさそうだ」
そう言って今度はミーランの方へ手を向けた。その声は失望したような、とにかく“最早お前には興味がない”というような声だった。
「……!『障壁……!」
「ッ!? ミーランッ!!」
「ッ……!?」
不可壊の結界は確かに展開されていた。何でも防ぐはずであった。ただデスバルトはその結界の上からミーランを両断した。
武器を使った訳でもない。大技という訳でもなかった。ただ片手をかざしただけで、1人の法帝が一瞬にして殺された。
「んん………よし。1人づつ潰していこうか。そっちの方が絶望するだろ?」
「ふざけやがって……!」
「『鉄沼』!」
「お?」
ドーランが地面に手をつけ、そこから鉄を流し出した。その鉄でデスバルトの足を拘束する。魔力を纏っていればそう簡単に壊されることはない。……少なくともほんの一瞬は保つ。その隙を突けばあるいは……。
「『墜竜焔拳』!!」
「『墜夢無蹴』!」
上空から最大の魔力を纏ったグラの拳と、同じように空高くから落下したイリアの踵落としが炸裂した。
ただ2人の技はいとも容易く、片手で受け止められてしまった。ハエを払うようにそのまま振り払われ、その隙にデスバルトはドーランの背後えと移動した。
「次は君だ」
「ぅがッ……」
「ッ……!『粉骨砕身』『万変』!」
「ッ……今のは良かったよ……!」
「ぐぁッ……!」
ドーランは胸部に拳を打ち込まれ、そのまま首を蹴られて吹き飛ばされた。心臓と肺に損傷を受け、首の骨が砕かれた。まだ死んではいない……死んではいないが……。
そしてドーランを蹴り飛ばした横から、ガルヴァンが勢いをつけて拳を振った。それまでの攻撃を全て上乗せした一撃、デスバルトはこれを片手で受け止め、ガルヴァンの腕を捻って殴り飛ばした。これで残りは2人になってしまった。
「くそッ……!」
「グワアアアア!!」
「前よりは強くなったみたいだけど……現代の竜帝はこの程度か。……!?」
グラは完全な竜の姿になり、デスバルトに噛みついた。デスバルトは牙を掴みそれを止め、顎に強烈な蹴りを喰らわせた。だがそれは、グラには効かなかった。
「儂の『硬化』を甘く見るなよ!」
「『爆息』!」
「……君も、僕を舐めるなよ!」
「ウガッ……!」
高温の炎はデスバルトを包んだ。だがそれをもろともせず、デスバルトはグラの口の中に魔力の光線を放った。エストの白天から真似たものだ。それを喰らって人型に戻ったグラの腹を拳で貫き、戦闘不能にした。
「君もだ」
「うッ……がッ!」
能力で剣を生成したイリアはそれで突き刺そうとしたが、それもまた簡単に受け止められた。
デスバルトはイリアの頭を力強く掴み、大地に殴りつけた。大地は割れ、イリアの動きもなくなった。そしてデスバルトが近くに腰を下ろすと、遠くから巨大な斬撃が飛んできた。
ガキィー……ン
「ん? おっと、誰かがバルファード君を倒したようだ。良かったね。これで君達も一歩進んだってとこかな。…………聞こえちゃないか。まぁこれで一勝二敗か。良いじゃないか」
デスバルトは笑いながら転がった人間に話しかけた。そのときだった。だれにも認識出来なかったが、ほんの一瞬、時間が止まった。
イリアの作った剣を握ったデモンゲートが、背後からデスバルトを突き刺した。
「はぁ……はぁ……」
「……また君か。……!?」
デスバルトは後ろを振り向きながら手刀で攻撃したが、そこには誰もいなかった。また一瞬、時間が止まったのだ。今度はデスバルトの脳天を刺していた。だがデモンゲートもまた、身体の限界だった。
「はぁ……くそッ……!」
「……死んでやってもいいんだけどね。でも僕は魔神・ルシフェル様の最初の子であり最初の魔族だ。不意打ちで死んだとなると申し訳ないでしょ?」
そう言いながら剣を抜き、その剣を倒れたデモンゲートに刺した。急所は外しているが、これだけの傷を負って生きていられるか。
「さて、次が来るね」
デスバルトは遠くを見てそう呟いた。
デスバルトが切られた巨木の山に座ったまま、イリア達は戦闘体勢をとった。
「『流星』……!」
「ははっ! 面白いね!」
イリアは腕を下に向けると、空から五つの隕石が降ってきた。それらは全てデスバルトに向けられていたが、隕石ともなると周りもただでは済まない。考えなしなのか何なのか、そんなイリアの行動に他の5人は文句を垂れていた。
「儂らのことも考えんか!」
「皆さんこちらに! 私の“障壁”の中にお入り下さい!」
ミーランの言葉に従い、その場にいる者達は彼女の作った壁の中に入った。ミーランの能力は『完全障壁』、不可壊の結界を展開する能力だ。
現代では最強の防御力を誇っているのがミーランだ。ただ1人、デモンゲートだけはその結界内に入らずにデスバルトの方へ向かった。
「おい! 今出たら……!」
「この程度じゃあ牽制にもならねぇだろ……!」
「……ん!? 今のは……」
デモンゲートは時間を止めて攻撃をした。多少は効いたものの、有効打と言えるほどではなかった。2秒間、無防備な状態でも及ばないということだ。ただ隙は作れた。
デモンゲートはデスバルトを押さえつけ、隕石に直撃した。大地が揺れ、大きく煙が立った。その煙の中から出てきたのは……擦り傷を負ったデスバルトと、その足元に倒れたデモンゲートだった。微かに息はあるものの、酷く血を流している。デスバルトに胸を抉られたようだ。
「ちょっと面倒な奴だったからね。つまらない遊びはやらないよ」
「くそッ……畳みかけるぞ!」
「『竜人硬体』!」
グラは竜人形態になり、全身に炎を纏いながらデスバルトに接近した。昇華した『硬化』でより身体を硬くしながら。それを援護するようにドーランが流動する鉄で襲いかかる。そして隙が出来ないようにガルヴァンが畳みかける。
「『牙竜焔拳』!」
「そんなんじゃ届かないよ。ほら」
「ぐッ…!」
巨大化した爪で突き刺そうとしたが、攻撃は空を切った。ドーランの鉄もデスバルトを避けて流れていき、デスバルトの強烈な蹴りでグラとガルヴァンは一緒になって吹き飛んでいった。
相手の動きが速かったとかではなく、確かに直撃させるはずだった攻撃が、自身の意思に反して別の方向へと向かったようだった。それでいてデスバルトの攻撃は一つ一つが重い。しっかりと受け身を取らなければ簡単に死んでしまうほどに。
「何やってんだテメーらは!!」
「『無限の吸引・反爆』!」
「『嵐の槍』!」
頭上からイリアが、自身の結界の中からミーランが攻撃した。イリアの無限のエネルギーを生み出す爆弾もまたデスバルトを避け、ミーランの魔法も綺麗に逸れた。
ただどちらの技も威力は変わっていないので、大地は抉られ森は吹き飛んだ。その爆風の中でも、依然デスバルトは堂々と立っている。
「『破拳』!」
「だから無駄だっ……てッ!」
立ち上る土煙の中からガルヴァンも飛び出し、強烈な打撃を放った。圧縮した魔力が爆発し、大気が震えた。しかし、これもまたデスバルトには届かず、逆に蹴り落とされてしまう。
「……! 何も……当たらないなら……これならどうですか!?」
そう言ってミーランは手元に空気の球体を作り出した。これは高度な風魔法で、真空状態の周りを岩を砕くほどの風が吹き荒れている。それを直径10センチほどに圧縮しているのだ。高密度な魔力で生成されたこの球は、そうそう軌道が逸れるものではない。
「『嵐の牙』!」
ミーランの手から放たれた球は一直線にデスバルトへと突き進んだ。デスバルトは掌を球に向けた。防御姿勢を取るということは届く。誰もがそう思っただろう。ただそれは防御ではなく、ただ軌道を逸らしただけだった。それまでと同じように。
「……どうしたら……!」
「外野からチクチクと邪魔だな。君はどう足掻いても僕には届かなさそうだ」
そう言って今度はミーランの方へ手を向けた。その声は失望したような、とにかく“最早お前には興味がない”というような声だった。
「……!『障壁……!」
「ッ!? ミーランッ!!」
「ッ……!?」
不可壊の結界は確かに展開されていた。何でも防ぐはずであった。ただデスバルトはその結界の上からミーランを両断した。
武器を使った訳でもない。大技という訳でもなかった。ただ片手をかざしただけで、1人の法帝が一瞬にして殺された。
「んん………よし。1人づつ潰していこうか。そっちの方が絶望するだろ?」
「ふざけやがって……!」
「『鉄沼』!」
「お?」
ドーランが地面に手をつけ、そこから鉄を流し出した。その鉄でデスバルトの足を拘束する。魔力を纏っていればそう簡単に壊されることはない。……少なくともほんの一瞬は保つ。その隙を突けばあるいは……。
「『墜竜焔拳』!!」
「『墜夢無蹴』!」
上空から最大の魔力を纏ったグラの拳と、同じように空高くから落下したイリアの踵落としが炸裂した。
ただ2人の技はいとも容易く、片手で受け止められてしまった。ハエを払うようにそのまま振り払われ、その隙にデスバルトはドーランの背後えと移動した。
「次は君だ」
「ぅがッ……」
「ッ……!『粉骨砕身』『万変』!」
「ッ……今のは良かったよ……!」
「ぐぁッ……!」
ドーランは胸部に拳を打ち込まれ、そのまま首を蹴られて吹き飛ばされた。心臓と肺に損傷を受け、首の骨が砕かれた。まだ死んではいない……死んではいないが……。
そしてドーランを蹴り飛ばした横から、ガルヴァンが勢いをつけて拳を振った。それまでの攻撃を全て上乗せした一撃、デスバルトはこれを片手で受け止め、ガルヴァンの腕を捻って殴り飛ばした。これで残りは2人になってしまった。
「くそッ……!」
「グワアアアア!!」
「前よりは強くなったみたいだけど……現代の竜帝はこの程度か。……!?」
グラは完全な竜の姿になり、デスバルトに噛みついた。デスバルトは牙を掴みそれを止め、顎に強烈な蹴りを喰らわせた。だがそれは、グラには効かなかった。
「儂の『硬化』を甘く見るなよ!」
「『爆息』!」
「……君も、僕を舐めるなよ!」
「ウガッ……!」
高温の炎はデスバルトを包んだ。だがそれをもろともせず、デスバルトはグラの口の中に魔力の光線を放った。エストの白天から真似たものだ。それを喰らって人型に戻ったグラの腹を拳で貫き、戦闘不能にした。
「君もだ」
「うッ……がッ!」
能力で剣を生成したイリアはそれで突き刺そうとしたが、それもまた簡単に受け止められた。
デスバルトはイリアの頭を力強く掴み、大地に殴りつけた。大地は割れ、イリアの動きもなくなった。そしてデスバルトが近くに腰を下ろすと、遠くから巨大な斬撃が飛んできた。
ガキィー……ン
「ん? おっと、誰かがバルファード君を倒したようだ。良かったね。これで君達も一歩進んだってとこかな。…………聞こえちゃないか。まぁこれで一勝二敗か。良いじゃないか」
デスバルトは笑いながら転がった人間に話しかけた。そのときだった。だれにも認識出来なかったが、ほんの一瞬、時間が止まった。
イリアの作った剣を握ったデモンゲートが、背後からデスバルトを突き刺した。
「はぁ……はぁ……」
「……また君か。……!?」
デスバルトは後ろを振り向きながら手刀で攻撃したが、そこには誰もいなかった。また一瞬、時間が止まったのだ。今度はデスバルトの脳天を刺していた。だがデモンゲートもまた、身体の限界だった。
「はぁ……くそッ……!」
「……死んでやってもいいんだけどね。でも僕は魔神・ルシフェル様の最初の子であり最初の魔族だ。不意打ちで死んだとなると申し訳ないでしょ?」
そう言いながら剣を抜き、その剣を倒れたデモンゲートに刺した。急所は外しているが、これだけの傷を負って生きていられるか。
「さて、次が来るね」
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