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第一章 森の生活と孤児院改革:孤児院のニューフェイス
第27話 深夜の秘密基地。カップ麺とコンビーフは背徳の味
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10歳の子供の体は、思った以上によく燃費が悪いらしい。
隣のベッドではレオとルークが「ぐーすー」と幸せそうな寝息を立てているし、私の足元では、コロも丸くなってすやすやと眠っている。
(……みんな、この食事で足りてるのかな。慣れって、すごいな……)
でも、私はダメだ!
この空腹のままでは、安眠できない! そして安眠できない生活は、私のスローライフの理念に反する!
(……よし)
私は、音を立てないように、そーっとベッドを抜け出した。
もちろん、向かう先は厨房ではない。あそこには、私の胃袋を満たすものは何もないのだから。
廊下を抜け、ギィィと鳴る玄関の扉を、細心の注意を払いながらゆっくりと開ける。
外に出ると、ひんやりとした夜の空気が肌を撫でた。
空を見上げれば、前世では見たこともないくらい、満点の星空。
(綺麗……だけど、今はそれどころじゃない!)
私は孤児院の裏手、建物の影になっていて通りからは見えない、ちょうどいい感じの空き地へと移動する。
腕の中からコロを降ろすと、彼は心得たように私の隣にぴったりと身を寄せ、丸くなる。うん、ちょっと肌寒いもんね。
手頃な木箱が転がっていたので、そこにちょこんと腰を下ろす。壁に背中を預ければ、秘密基地みたいでなんだか落ち着くな。
「……暗くて手元が見えないな。よし」
指先に意識を集中させる。
「《照明》!」
ぽん、とソフトボールくらいの柔らかな光の玉が生まれ、私たちの周りをふわりと照らし出した。
うん、これで即席の深夜食堂の開店準備が整った。
『コトリ、お腹すいたの?』
「うん、そうなの。コロも、まだお腹すいてるでしょ?」
『うん!』
元気でよろしい!
私は、四次元バッグに意識を集中させる。
『カップ麺(とんこつ醤油味)、取り出し!』
『コンビーフ缶、取り出し!』
『ドッグフード用のお皿、取り出し!』
ぽん、ぽん、ぽん、と手の中に次々と現れる、文明の利器たち。
そう、私の夜食だけじゃない。愛する我が子のための、夜食もちゃんと用意するのだ!
まずは、コロのご飯から。
コンビーフの缶をぱかりと開け、お皿の上にどさっと乗せる。
おお、この見た目のジャンキーさ、たまらない!
『わーい! お肉だ!』
目の前のコンビーフに、コロの尻尾がちぎれんばかりに振られている。
うんうん、ちょっと待ってね。今、もっと美味しくしてあげるから。
「《保温》!」
念じると、お皿の上のコンビーフが、ほかほかと湯気を立て始めた。
脂が少しだけ溶け出して、香ばしい匂いがふわりと立ち上る。
「はい、コロ、どうぞ」
『やったー! いただきます!』
私の許可が出るや否や、コロは夢中でコンビーフにがっつき始めた。
うんうん、その食べっぷり、見てるだけで幸せになるわ。
さて、と。
飼い主の夜食タイムと行こうじゃないか。
私は、自分の分のカップ麺の準備を始める。
『ステンレス水筒、取り出し!』
中には、森で汲んで《浄化》しておいた、きれいな水がたっぷり。
「《保温》!」
熱湯をイメージして念じると、水筒の中の水が一瞬で熱湯に変わる。
カップ麺の蓋を開け、かやくを入れ、熱湯を注ぐ。
蓋をして、待つこと3分。
(ああ、この背徳感、たまらない……!)
みんなが寝静まった夜中に、一人だけこっそり食べるカップ麺。
前世でも、たまにやっていた禁断の夜食。
まさか、異世界の孤児院の裏で、もふもふ動物と一緒にやることになるとは!
夜の静寂に、ずぞぞぞーっ! と、およそ10歳の美少女が出すとは思えない、豪快な麺をすする音が響き渡る。
うまい! うますぎる!
塩水スープの後だからか、とんこつ醤油の濃厚な味が、五臓六腑に染み渡るようだ。
『コトリ、それ、いい匂い!』
いつの間にかコンビーフを平らげたコロが、私のカップ麺をキラキラした目で見つめている。
うん、君は本当に食いしん坊だね!
「コロも食べる?」
麺を一本、ふーふーして冷ましてから、コロの口元へ持っていく。
ちゅるん、と器用に麺を吸い込むコロ。
『おいしい! でも、ちょっと辛い!』
うん、そのリアクション、前も見たな! 可愛いから何度でも許す!
二人でひそひそと、秘密の夜食パーティーを楽しんでいた、その時だった。
ガサッ。
すぐ近くの路地の暗がりから、物音が聞こえた。
(……誰かいる?)
心臓が、どきり、と跳ねる。
リックの「変な路地裏とか入るなよな」という忠告が、脳裏をよぎる。
ここは路地裏じゃないけど、孤児院の裏は、昼間でもあまり人が通らない、寂しい場所だ。
『コトリ、知らない匂い! 二人!』
コロが、私の腕の中で、小さく唸り声を上げた。
その声には、明らかな警戒の色が滲んでいる。
まずい。
見つかった。
暗がりから、ぬっと二つの人影が現れる。
隣のベッドではレオとルークが「ぐーすー」と幸せそうな寝息を立てているし、私の足元では、コロも丸くなってすやすやと眠っている。
(……みんな、この食事で足りてるのかな。慣れって、すごいな……)
でも、私はダメだ!
この空腹のままでは、安眠できない! そして安眠できない生活は、私のスローライフの理念に反する!
(……よし)
私は、音を立てないように、そーっとベッドを抜け出した。
もちろん、向かう先は厨房ではない。あそこには、私の胃袋を満たすものは何もないのだから。
廊下を抜け、ギィィと鳴る玄関の扉を、細心の注意を払いながらゆっくりと開ける。
外に出ると、ひんやりとした夜の空気が肌を撫でた。
空を見上げれば、前世では見たこともないくらい、満点の星空。
(綺麗……だけど、今はそれどころじゃない!)
私は孤児院の裏手、建物の影になっていて通りからは見えない、ちょうどいい感じの空き地へと移動する。
腕の中からコロを降ろすと、彼は心得たように私の隣にぴったりと身を寄せ、丸くなる。うん、ちょっと肌寒いもんね。
手頃な木箱が転がっていたので、そこにちょこんと腰を下ろす。壁に背中を預ければ、秘密基地みたいでなんだか落ち着くな。
「……暗くて手元が見えないな。よし」
指先に意識を集中させる。
「《照明》!」
ぽん、とソフトボールくらいの柔らかな光の玉が生まれ、私たちの周りをふわりと照らし出した。
うん、これで即席の深夜食堂の開店準備が整った。
『コトリ、お腹すいたの?』
「うん、そうなの。コロも、まだお腹すいてるでしょ?」
『うん!』
元気でよろしい!
私は、四次元バッグに意識を集中させる。
『カップ麺(とんこつ醤油味)、取り出し!』
『コンビーフ缶、取り出し!』
『ドッグフード用のお皿、取り出し!』
ぽん、ぽん、ぽん、と手の中に次々と現れる、文明の利器たち。
そう、私の夜食だけじゃない。愛する我が子のための、夜食もちゃんと用意するのだ!
まずは、コロのご飯から。
コンビーフの缶をぱかりと開け、お皿の上にどさっと乗せる。
おお、この見た目のジャンキーさ、たまらない!
『わーい! お肉だ!』
目の前のコンビーフに、コロの尻尾がちぎれんばかりに振られている。
うんうん、ちょっと待ってね。今、もっと美味しくしてあげるから。
「《保温》!」
念じると、お皿の上のコンビーフが、ほかほかと湯気を立て始めた。
脂が少しだけ溶け出して、香ばしい匂いがふわりと立ち上る。
「はい、コロ、どうぞ」
『やったー! いただきます!』
私の許可が出るや否や、コロは夢中でコンビーフにがっつき始めた。
うんうん、その食べっぷり、見てるだけで幸せになるわ。
さて、と。
飼い主の夜食タイムと行こうじゃないか。
私は、自分の分のカップ麺の準備を始める。
『ステンレス水筒、取り出し!』
中には、森で汲んで《浄化》しておいた、きれいな水がたっぷり。
「《保温》!」
熱湯をイメージして念じると、水筒の中の水が一瞬で熱湯に変わる。
カップ麺の蓋を開け、かやくを入れ、熱湯を注ぐ。
蓋をして、待つこと3分。
(ああ、この背徳感、たまらない……!)
みんなが寝静まった夜中に、一人だけこっそり食べるカップ麺。
前世でも、たまにやっていた禁断の夜食。
まさか、異世界の孤児院の裏で、もふもふ動物と一緒にやることになるとは!
夜の静寂に、ずぞぞぞーっ! と、およそ10歳の美少女が出すとは思えない、豪快な麺をすする音が響き渡る。
うまい! うますぎる!
塩水スープの後だからか、とんこつ醤油の濃厚な味が、五臓六腑に染み渡るようだ。
『コトリ、それ、いい匂い!』
いつの間にかコンビーフを平らげたコロが、私のカップ麺をキラキラした目で見つめている。
うん、君は本当に食いしん坊だね!
「コロも食べる?」
麺を一本、ふーふーして冷ましてから、コロの口元へ持っていく。
ちゅるん、と器用に麺を吸い込むコロ。
『おいしい! でも、ちょっと辛い!』
うん、そのリアクション、前も見たな! 可愛いから何度でも許す!
二人でひそひそと、秘密の夜食パーティーを楽しんでいた、その時だった。
ガサッ。
すぐ近くの路地の暗がりから、物音が聞こえた。
(……誰かいる?)
心臓が、どきり、と跳ねる。
リックの「変な路地裏とか入るなよな」という忠告が、脳裏をよぎる。
ここは路地裏じゃないけど、孤児院の裏は、昼間でもあまり人が通らない、寂しい場所だ。
『コトリ、知らない匂い! 二人!』
コロが、私の腕の中で、小さく唸り声を上げた。
その声には、明らかな警戒の色が滲んでいる。
まずい。
見つかった。
暗がりから、ぬっと二つの人影が現れる。
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