唯我独尊

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サマーソウル

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青い夢を、幼い頃に遊んでいた恐竜の縫いぐるみが僕の身体を喰い尽くす夢を見た。そこら中の骨がへし折れて、内臓がブチブチと悲鳴をあげて潰れていくその様を、僕は宙から見下ろしていた。痛みだけが僕を伝っていく。骨がへし折られているようで全くそんな訳ではなく、内臓が潰れていくようで全くそんな訳ではない。嗚呼、痛い。痛い痛い。ここがどこなのか分からなくなる。寝床の天井が見えたり見えなかったりする。現実と非現実の境目が分からなくなる。再び快楽に溺れたくなる。いっその事、清々しく頭を撃ち抜いて死んでしまいたかった。
ぐっしょりと身体を濡らす汗の気持ち悪さで目が覚めた。豆電球を消してフラフラと立ち上がったが、頭が全く働かず食欲も湧かずでどうしようもなく、とりあえず部屋から出た。今日は真夏日だとニュースで言っていたような気が、いやそれは昨日だったような、いや一昨日か…と無い頭でどうでも良いことを考えながらボロアパートの階段を下る。熱気に身を委ねて通りを歩く昼下がり、今日は休日なのか人が多く、その声たちが僕の中で跳ね返って鳴り止まない。次第に耳が使えなくなってきて、それに加え足がふらつくようになった。肩がぶつかったせいで怒っているのか、それとも金を巻き上げようとしているのか、誰かが僕の肩を揺さぶって話しかけているような、そんな気がする。しかし顔がよく見えず、何を言っているのか分からない。意識が朦朧とする中、僕は眩しい日差しを見つめた。太陽の生を感じながら、目を瞑った。
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