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5.貞淑に支配された過去
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【公爵 side】
僕の妻は『従順で物静かな女公爵』そう呼ばれている。自主性が無く、消極的で口数も少ない。それに凄く地味でしょ?
それは、僕がそうなる様に仕向けたからだ。
僕達の婚約は子供の頃に決まった。もちろん僕がそれを望んだんだ。彼女が好きだった訳じゃ無いけれど、僕は他の婿候補を蹴散らしてその座を勝ち取った。
僕は当時10歳で、彼女は7歳。年下の女の子を手懐けるなんてホントに簡単だったんだ。だって僕には面倒な姉や妹が沢山いたからね。
僕は、辺境伯の五男だったんだよ。いい婿入り先を探さないといずれは、僕の取り巻き達よりも地位を下げてしまう。そんな危うい立場だったんだ。
「フフフフフッ、アーハッハハハ!」
でも今は、誰もが羨む公爵様だ。
女の子達が僕に色目を使い、愛人になりたいとせがむ。元兄妹達でさえ僕に媚を売ってくる。
でも所詮僕は、彼女の付属物にすぎない。永遠に彼女の為に働き続けなければならない。伯爵の仕事を彼女の代わりにやって、彼女が何不自由なく暮らせるようにする。僕はその為に存在している。
だから僕は、考えたんだ。彼女が僕に逆らわないように、しっかり躾けておこうってね。
間違っても、他の男に乗り換えたりしないように、地味で無口で無表情の女にした。
妻はその地位を、強欲な親戚から狙われていたんだ。両親が、幼い時に亡くなって彼女の後ろ盾は祖父のみ。
彼女は、類稀な防御スキルに健常な肉体を持っていたけれど。常に命を狙われていた。
そして、いつも被害に遭うのは、彼女の周りの人間だった。彼女の肉体は誰にも傷つけられ無い。
でも心は?彼女を守ろうとした心優しい人達が死んで行く。壊れそうな彼女に、僕は助言をしてあげたんだ。
「親しい人を作るとその人が狙われるかもしれないよね。」
「笑顔を見せると、罪のない人達を巻き込んでしまわないかな。」
「そんな明るい服を着るなんて、君を守って死んだ人達はどう思うだろうね。」
「全部、君の為だよ。僕だけはそばにいる。」
あんなに明るくて、人懐こい性格だった彼女。見る者を惹きつけてやまなかったあの頃の彼女はもういない。
僕がそうした。
今は、根暗で、辛気臭くて、ニコリとも笑わない。
無口で、誰とも親しくならない。そして、僕だけを愛している。
でもさ、ここにきてその弊害がでちゃったんだ。
そうしたのは僕なんだけどさ、
僕、暗い女って好みじゃ無いんだよね。
初夜でさ、妻に勃たなかったんだ。
さっさと子供作っちゃおうと思ってたのにさ。
参っちゃうよね?
僕がインポだった訳じゃないよ。
だって他の女は抱けたんだ。
無口で、無表情の女を抱くのってさ
ちょっとキツいよね?
それに小さい頃から兄妹みたいに育ったから、どうしても女として見れない。
彼女が僕の子供を産む事で、僕の今の地位が盤石なモノになるって言うのに。
それにさ僕の愛人が最近ね、殺し屋を妻に差し向けている。今妻が死んだら、僕は伯爵じゃなくなっちゃうんだけどね?
愛人はバカだからよくわかって無いんだ。自分が伯爵夫人になれると思ってる。
でも女はさ、そんなバカな所がある方が可愛いよね?僕はそう思っちゃうんだ。
だから愛人が依頼した殺しの依頼料は、僕が支払ってる。凄腕らしいけど、妻は死なないから僕は心配していない。
彼女は確かに僕だけを愛していた。
たとえ、僕に愛人がいたとしてもね?
僕がそう仕向けたからさ。
それはずっと変わらない、
僕はそう思っていたんだ。
妻が愛人の雇った、
凄腕の殺し屋に出会うまでは・・
僕の妻は『従順で物静かな女公爵』そう呼ばれている。自主性が無く、消極的で口数も少ない。それに凄く地味でしょ?
それは、僕がそうなる様に仕向けたからだ。
僕達の婚約は子供の頃に決まった。もちろん僕がそれを望んだんだ。彼女が好きだった訳じゃ無いけれど、僕は他の婿候補を蹴散らしてその座を勝ち取った。
僕は当時10歳で、彼女は7歳。年下の女の子を手懐けるなんてホントに簡単だったんだ。だって僕には面倒な姉や妹が沢山いたからね。
僕は、辺境伯の五男だったんだよ。いい婿入り先を探さないといずれは、僕の取り巻き達よりも地位を下げてしまう。そんな危うい立場だったんだ。
「フフフフフッ、アーハッハハハ!」
でも今は、誰もが羨む公爵様だ。
女の子達が僕に色目を使い、愛人になりたいとせがむ。元兄妹達でさえ僕に媚を売ってくる。
でも所詮僕は、彼女の付属物にすぎない。永遠に彼女の為に働き続けなければならない。伯爵の仕事を彼女の代わりにやって、彼女が何不自由なく暮らせるようにする。僕はその為に存在している。
だから僕は、考えたんだ。彼女が僕に逆らわないように、しっかり躾けておこうってね。
間違っても、他の男に乗り換えたりしないように、地味で無口で無表情の女にした。
妻はその地位を、強欲な親戚から狙われていたんだ。両親が、幼い時に亡くなって彼女の後ろ盾は祖父のみ。
彼女は、類稀な防御スキルに健常な肉体を持っていたけれど。常に命を狙われていた。
そして、いつも被害に遭うのは、彼女の周りの人間だった。彼女の肉体は誰にも傷つけられ無い。
でも心は?彼女を守ろうとした心優しい人達が死んで行く。壊れそうな彼女に、僕は助言をしてあげたんだ。
「親しい人を作るとその人が狙われるかもしれないよね。」
「笑顔を見せると、罪のない人達を巻き込んでしまわないかな。」
「そんな明るい服を着るなんて、君を守って死んだ人達はどう思うだろうね。」
「全部、君の為だよ。僕だけはそばにいる。」
あんなに明るくて、人懐こい性格だった彼女。見る者を惹きつけてやまなかったあの頃の彼女はもういない。
僕がそうした。
今は、根暗で、辛気臭くて、ニコリとも笑わない。
無口で、誰とも親しくならない。そして、僕だけを愛している。
でもさ、ここにきてその弊害がでちゃったんだ。
そうしたのは僕なんだけどさ、
僕、暗い女って好みじゃ無いんだよね。
初夜でさ、妻に勃たなかったんだ。
さっさと子供作っちゃおうと思ってたのにさ。
参っちゃうよね?
僕がインポだった訳じゃないよ。
だって他の女は抱けたんだ。
無口で、無表情の女を抱くのってさ
ちょっとキツいよね?
それに小さい頃から兄妹みたいに育ったから、どうしても女として見れない。
彼女が僕の子供を産む事で、僕の今の地位が盤石なモノになるって言うのに。
それにさ僕の愛人が最近ね、殺し屋を妻に差し向けている。今妻が死んだら、僕は伯爵じゃなくなっちゃうんだけどね?
愛人はバカだからよくわかって無いんだ。自分が伯爵夫人になれると思ってる。
でも女はさ、そんなバカな所がある方が可愛いよね?僕はそう思っちゃうんだ。
だから愛人が依頼した殺しの依頼料は、僕が支払ってる。凄腕らしいけど、妻は死なないから僕は心配していない。
彼女は確かに僕だけを愛していた。
たとえ、僕に愛人がいたとしてもね?
僕がそう仕向けたからさ。
それはずっと変わらない、
僕はそう思っていたんだ。
妻が愛人の雇った、
凄腕の殺し屋に出会うまでは・・
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