事故から始まる物語

maruta

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入学式

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  桜が綺麗に咲いた頃に行われる入学式。この日は私は高校生になる。

「うぅ~緊張するー」
「なんでお母さんの方が緊張してるの?」
「娘の晴れ舞台に緊張しないわけないでしょ!!」
「晴れ舞台って・・・ただの入学式だよ。」

  私が今日から通う誠桜高校は偏差値自体は高くないが学科や部活、イベントが多いことが有名で倍率はそこそこ高い。私は一般受験をして誠桜高校商業科に合格した。誠桜高校は商業科の他にも普通科、国際科、工業科がある。商業科を選んだ理由は『特に将来やりたい事がない』と言ったら、お母さんが『なら、商業科で資格取っといたらいいんじゃない?』と言ったからだ。つまり適当。お母さんとたわいもない話をしながらクラス分けされた掲示板の方へ歩いた。掲示板前は既に人集りが出来ていた為、私だけ前の方に行きクラスを確認する。

「えーと、確か商業科は5組から7組だったよね。・・・あっ、あった!7組だ!」

 自分のクラスを確認してお母さんが待つ後ろの方へと移動した。

「お母さん、私7組だったよ!」
「そうなの、じゃあ最後の方で入場かしら。」
「かもね~。そろそろ教室行くね!」
「うん、ちゃんと撮影しとくから、頑張ってね!」
「入場するだけで頑張ることなんてないよ!」

 お母さんと別れて教室へと向かう。教室に着いて知っている人はいないか教室内を見渡した。

「あー!優希ちゃん!!同じクラスだ!」

 私に声を掛けてきたのは同じ中学だった羽野 香織ちゃんだった。

「香織ちゃん!同じクラスだね!」
「良かった~友達0人スタートかと思ったよ~」
「あはは!私も香織ちゃんが居て良かったよ!よろしくね!」
「うん!よろしくね!」

 香織ちゃんと話しているとチャイムが鳴って『席に着け~』と言いながら男の先生が入ってくる。

「入学おめでとう~担任の津田だ~入学式の為、体育館に移動するぞ~1組から入場するから6組の後ろを付いて行け~じゃあ廊下に出席番号順2列で並べ~」

 ちょっと面倒くさそうに担任が廊下にでて行き、それに続くようにみんな廊下に出た。1クラス25人程度で全部で10クラスあるため廊下は賑わっていたが、少しずつ体育館の方へと進んでいた。7組が入場番になり私は出席番号12番という真ん中ら辺だったため2列だと後ろの方だった。入場している時にお母さんを探してみたが250人いる生徒の保護者からお母さん1人を見つけるのは無理だった。長く感じた入学式が終わって教室に戻ってきた。今後の説明をして終わりという形だったため、保護者は外で待機するようになっていた。担任の津田先生が教室に入ってきて簡単に説明していた。

「今日はもうこれで終わりだ~とりあえず、自己紹介とかは明日やるからな~出席番号順で行くぞしっかり考えとけよ~明日は筆記用具があればいいから遅刻するなよ~以上、おつかれ~」

 そう言って津田先生は教室を出て行き、私もお母さんが待つ外へと出た。人が多かったが直ぐにお母さんと合流できた。帰宅後、お昼ご飯を食べながら話した。

「誰か知ってる人いた?」
「うん、1人だけだったけど居たよ!」
「良かったね!」

午後からはゴロゴロと過ごしながらほとんど知らないクラスメイトと仲良くなれるか少しドキドキしながら過ごした。


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