事故から始まる物語

maruta

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帰り道

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 照先輩とじゃれ合いで嫉妬した詩音に覚えておいてと言われた。部活が終わり詩音と帰っている途中に公園に行こうと言われて手を引かれた。
 もう誰もいない公園のベンチに座り私は何されるのか考えていた。詩音は私が照先輩にくすぐられているのを見て嫉妬したと言っていたので、次は詩音が私の事をくすぐるのかなと考えていたら詩音が話し掛けてきた。

「優希は私が嫉妬してる理由分かってる?」

「え、あっと、照先輩とじゃれてたから?」

「それもあるけど違うよ」

「え?な、なんで?」

「・・・私はまだ優希の手しか触った事ないのに照先輩に体を触らせた事だよ!」

「え!?か、体ってくすぐられただけだよ!?」

「関係ないよ!体は体でしょ!」

「そう、なの?ごめんね?」

 詩音は照先輩が私の体を触った事怒っていたがあれは琴葉先輩と照先輩の悪ノリの結果で私に言われてもと思ったがとりあえず謝った。

「私ね、ちょっとだけ照先輩が羨ましいんだよね・・・」

「え?」

 詩音は急に照先輩が羨ましいと言いなんでだろうと思ったが分からなかった。

「照先輩って周りを気にしないから堂々と手を繋いでいたりするでしょ?飛鳥先輩からすれば嬉しいだろうし、照先輩はあんまり喋るタイプの人じゃないけど、結構今日みたいにふざけてじゃれ合ってても飛鳥先輩をちゃんと大事にしてるのは見てても分かるし・・・」

「うん、そうだね」

「最初はさ、照先輩は恋愛感情ないって聞いて飛鳥先輩が可哀想とか思っていたんだけど、照先輩は照先輩でそれに応えようとしてるのが分かるから、先輩たちは先輩たちでちゃんと付き合ってるんだなって思うんだよね」

「分かるよ、この間も怪我してる方の手で庇ってたからね」

「うん、でも先輩たちは先輩たちで私たちは私たちのペースがあるってのも分かってるけど、やっぱり外だと周りの目が気になって手を繋いだり出来ないんだよね。だから、今日優希が照先輩とじゃれてるの見ていいなって思ってね、本当は嫉妬じゃないんだよ、ただ羨ましかっただけなんだよ・・・」

「詩音・・・」

 詩音が言いたい事はよく分かった、私も外だと周りの目が気になって何も出来なくなる。かと言って家で会って2人になると緊張してなんとかキスだけ出来るがそれまでしか出来ない。私としてはそれでも頑張っている方で全然いいと思っていたけど詩音はもっと近付きたいという事なのだろうと思った。

「ごめんね、急にこんなこと言って・・・優希が私の事好きだって言ってくれるからそれだけでも嬉しいよ、でもね、私はもっと進みたいとも思ってるから、それだけ知って欲しかっただけだよ・・・」

「うん、分かったよ。私こそ詩音が悩んでるの気づかなくてごめんね。」

「あはは、大丈夫だよ!じゃあ帰ろうか!」

 そう言って私と詩音は駅の方へと向かって歩いき始めた。私と詩音は照先輩と飛鳥先輩とは違うけど先輩たちの近さは別な感じがしていいなとは私も思っていたが、詩音も思っていたんだなと思った。
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