事故から始まる物語

maruta

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閑話 逃げた先輩

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 結菜さんが変な事を言い出して居心地も悪くなったのでカフェの奥へと逃げてきた。どうしようかと思ったがとりあえず、志希の所へ向かい部屋のドアを叩いた。

「はーい」

「入ってもいい?」

「照か、いいよ~」

 部屋に入ると志希は椅子に座り机の前に居た。漫画を描いていたのかなと思いながら中央にあるテーブルの横に座った。

「どうしたん?」

「結菜さんが変な事言うから居れんくなったんやけど」

「あははは!それで逃げて来たんか!」

「うるさいなぁ」

 志希に逃げて来たんかと笑われたが結菜さんのせいだし、志希だってあの場に居たら同じことをする癖に!と思った。

「飛鳥ちゃんとは最近どうなん?」

「どうって?」

「上手くやれてんのかって事」

「分からん」

「そっか」

「志希は結菜さんにえっちな事求められたらどうしてんの?」

「え?うーん、照とは違うから応えるけどユイは遠慮なく言ってくるからまぁ慣れるよねぇ。何言われたの?」

「言われてないけど思ってるっぽいから」

 志希は私と同じように性欲はないが恋愛感情は少しだけあるらしく普通の友達よりは結菜さんが特別という感じらしかった。やっぱり恋愛感情が少しでもあれば違うのかなと思って前に飛鳥がしたいとは思っていると言っていたので志希に聞いてみたが無理なのかなと考えていた。

「まぁそうだよね~、ユイも最初は遠慮してたみたいだけど急に遠慮なくなったし時間の問題じゃない?その時に応える応えないは照次第だし」

「でも、無理に応えても飛鳥は嬉しくないって言ってくるよ」

「じゃあ応えなくてもいいんじゃない?」

「でも、応えたいやん」

「えぇ、めんどいなぁ。もう指輪でも渡せばいいやん」

「志希と一緒にせんでくれん?」

「いや、形と行動は大事やで?ユイによく何考えてるか分からないとか、本心かも分からないってよく言われるから形と行動で示したんやし」

「そんなん考えとったんや」

 志希は私と同じように表情や声色が変わらないので飛鳥が言うように結菜さんに言われているみたいだった。
 志希が指輪を渡したのは知っていてその後も考えているんだろうなとは思っていたが他にも考えていたんだなと思った。

「当たり前やん、照だって言葉に出せない分行動で示そうとしてるやろ?」

「まぁ、意識はしちょん」

「ならもう思う事を行動に移すしかないやろ。出来ることは出来るし出来ん事は出来ん!それだけやん。」

「そうよなぁ・・・」

「出来ないって言うと飛鳥ちゃんは照を嫌いになんの?」

「なるかもしれんやん」

「うわ!照最低やな、まずそこから考え直して来いよ!」

「どういう事?」

 飛鳥の求める事に応えられないと言うと飛鳥は私のことを嫌いになるかもしれないと思っていたのでそう言うと志希に最低だと言われたがよく分からなかった。

「私もそうやけどこんな恋愛感情が薄かったり無かったりする人を好きになる人たちやのに、そんな事で嫌いになると思ってんの?」

「それは分からんやん」

「なんかめっちゃネガティブやん」

「だって、不安になるやん」

 私がそう言うと志希は驚いた顔をして少し嬉しそうな顔をしていたがなんでそんな顔をしたのか分からなかった。

「そっか、分かるよ。不安だからって距離を保つと相手の気持ちに気付けなくなるよ。それで私は1回ユイに別れようって言われて、焦って自分と縛り付ける物が必要だと思って指輪渡したからなぁ」

「本気じゃなかったってこと?」

「本気やし!ちゃんと前々から高校卒業したら渡すって思ってたし!それが早まっただけやし!」

「・・・指輪かぁ」

「私は1番分かりやすいから指輪にしたけどそこは照の気持ちに合うものでいいと思うよ」

「いや、渡すなら指輪がいいな。将来誰かの隣にい居るなら飛鳥がいいし」

「・・・それ本人に言ってあげなよ」

「うるさい!」

「あははは!可愛いなぁ~」

 色々と考えて恋愛感情などが似ている志希に話したが自分の中での考えはまとまった気がした。思った事を口にしていたら志希に本人に言ってあげなと言ってきて恥ずかしいと思っていたら頭を撫でて来て更に恥ずかしくなっていた。
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