最近流行りのスラム出発?

ふにゃー

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思い出したら

ある日のこと

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  木に登って、果実を取ろうとして、足を滑らした。

  辛うじて落ちた場所が、薮の上だったので、命に別状はなかったけど、傷がなかった訳じゃない。

  ただ……死に掛けたっていう経験をしたからだろう。

  頭を抱えるほどの痛みで唸った。



  痛みが遠のき、目が覚めたら……

  アッチの世界では死んだから、ここに居るんだなって思う様に、前世の記憶があった。

  この事も重要ではあるけど、目が覚めた場所の状態も重要。

  だって、今が夏の終わり、収穫の秋の始まりって事もあって、ようやく受けられた冒険者ギルドの採集依頼の途中で……

  一応、依頼は2日以内にギルドに納品っていう期限がある。

 頭が痛かったのは、打ったのではなく、アッチの世界の記憶が流れ込んで来たから。

  だからといって、この世界での名前とか置かれる状況を忘れた訳でもない。

  ちなみに、親も兄弟も居ない、8歳の女児、名前はリア

  リアの記憶では、辛うじて生きてるっていう状態。

  通常、孤児といえば、孤児院って話になると思ってたのに……

  そこら辺の事情を、リアは知らなかった。

  ただ、5歳の時には、親兄弟も居たけど、何があったのかまでは知らないけど、今の町に移動して来てた。

  だけど、町に入るには身分証がないと入れない。

  身分証がない場合は、1人あたり銀貨3枚を払う。

  冒険者ギルドに登録するから。も、この町では通用しない。

  冒険者壁外ギルドというのがあって、そちらでって事になって入れて貰えない。

  作れる最低年齢は5歳から。

  5歳で、魔力があるかないか、どういう魔法が使えるかを、国民全員が調べる。

  その適性検査で、魔力量が多い者は平民といえ、特別待遇となる。

  特に、治癒魔法の素質がある者は教会が保護して、教えて行く。

  だけど、大概の平民は魔法の量も少なく、適性も僅か。

  移動して来て、最初の冬に、最初に父親が、次に兄が、最後に母が動けなくなって、亡くなった。

  リアの中に残ってる記憶から行くと、下痢と嘔吐、高熱って……

  ノロかな?

  だって、赤痢やコレラとかなら、この壁外全部が壊され焼かれてるもの。

  リアが生き残ったのは、思い出せてなくても、アッチの世界の記憶が働いた可能性がある。

  そう、城壁外に出来た、難民キャンプの様なスラムなんだ、リアの記憶に残ってる、寝泊まりしてるところは。

  収穫の秋といえば、良いように聞こえるけど、マズイよ冬が来る。

  このまま、あそこに居たら、凍え死ぬ。

  でも、とりあえず、今は……

  ようやく受けられた冒険者ギルドの依頼を達成したい。

   という事で、再び、木に登り始めた。
  

  前世の記憶が戻った事で、リアの記憶も残ってはいるけど、前世の自我の方が経験則があるからか、凌駕した。

  というか、混じり合って、どっちが主体になるかってなれば……ねえ。

  頼れる者なく、自分だけの力でってなったら、そうなるでしょ。

  正式名称、冒険者城壁外ギルドは、壁外ギルドって呼ばれ、スラムの者がスリなどの犯罪に走らない様に設けられた措置。

  今、アッチの世界のラノベの記憶からすると、登録した際に貰ったタグは仮タグだわ。

  ちなみに、5歳の時の適性判定では、リアに魔力はないって事になってる。

  測ったのは、ここの壁外ギルドではなく、リアの記憶によれば、何処かの教会。

  そこにあった器具、自分からすれば掃除ロボットに似た器具で測れなかったから。

  けど、今、アッチの世界で感じた事のない、身体の中をぐるぐると回ってる熱い物が魔力であるなら……

  測りきれなかったんだよ。

  気持ち悪い程に、ぐるぐると回ってる。

  で、たぶん、それが原因で病気に罹らなかったんだと思う。

  だって、木から落ちた時に着いた傷、今はもうないもん。

  ボロボロな服を着て、汚れてるから綺麗にしたいけど……

  8歳の女児が1人で居たら、攫ってくださいって言ってる様なものだからねえ。

  とりあえず、覚えてる数の果物を採って、ギルドに納めないと。




















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