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思い出したら
町を出てみる
しおりを挟むまだ薄暗いけど、人が動き始めた気配で起きた。
普通なら、顔を洗って身支度するものだけど……
小綺麗にするとヤバいし……
それに、この不衛生なスラムに居るくらいなら、住むのを移動するよ。
リアの記憶によると……
大きな町に行けば、働く仕事があるだろうって事で、出て来た様なの。
だけど、そんな考えの者が多く集まれば、規制されるよね。
風呂敷の様に使ったひざ掛けの荷物を背負って、朝霧が立ち込めてる間に、難民キャンプの様なスラムを離れた。
誰も付けて来て居ないか、茂みや薮に、何回も休憩がてら潜んで、気配を探りながら、採集。
野原では、意外な事に、稗や粟、蕎麦に陸稲があったのよ!
リアの記憶ね。
スラムの者たちも刈りに来て、食べてたんだけど……
パンが主食の世界の為、米は米粉にしてたんだよ。
わざわざ、石臼で挽いて貰うのに、手数料として差し引かれて。
実に馬鹿馬鹿しい。
そのまま、洗って煮たら食べられるのに。
で、近々、刈る頃だろうなあって思って……
全部じゃないけど、風魔法でザックリと端の方を戴いて来た。
今までも、隠れて刈って、お粥の様にして食べて来てたみたい。
薮では、内緒の場所にある木苺を。
特に、町の横を流れる川に覆い被さる様になってるところは採りにくいので残ってるの。
それで、何処に行くのかは……
森の奥だよ。
魔法が使えなかったら、森の奥に住もうとは思わなかったけどね。
だって、リアの記憶によると、魔物は見た事ないけど、獣は居るから。
ちなみに、昨日の果物収穫の際に、ラノベにあった魔法を色々と試したの。
1番残念だったのは、空間収納。
コレがあれば、手ぶらで逃げ出せたし、収穫した物も入れておけた。
でも、防御はどのくらいかは分からないけど、結界が張れたので、できる様になるかも知れない。
他は、基本属性と言われる火、水、風、土は使えた。
けど、生活魔法ってレベルの可能性もあるけど。
あとは光が出来た!
まあ、傷が消えてるからねえ。出来る可能性は高かった。
でも、1番嬉しかったのが、鑑定魔法が使えた事!
毒の有無以外に、食用可能かって事は重畳よ。
で、森の奥の何処にっていうのは……
盗賊や熊などの大きな獣が根城にすると厄介だって事で、大きな洞窟などは見付かり次第、埋める様で、埋めるのに、スラムの者が日雇いで行った時に見付けたんだってー。
リアじゃないよ。
亡くなったお兄ちゃんのトムが。
埋めた場所より奥の川沿いの崖に。
入口はかなり小さいけど、奥は結構広い空間になってるところ。
リアは雨が降って来た時に、雨宿りに使ってた様だけど、怯えて近付かなかったのは……
入口は女子供くらいしか入り込めない狭さなのに、奥の方に行ったら……
森の中に落とし穴の様に開いている様で、空が見えるの。
という事は、滑落して亡くなった獣や人間の骸骨が奥にあって……
まあ、自分の家に棲家にするつもりでいるから、掃除する気でいるよ。
だって、川辺からも近いし、出入口が小さいから大型の肉食獣に襲われにくいし……
落とし穴の様なところは、改良はするけどね。
町の側を流れてた川の支流だと思う、川底が見える深さで、魚も充分に泳いでいるので、食糧も充分と思えた。
大人でも腕が回らない太さの大きな木が、入口の少し上の、崖って程じゃないけど、川に向かって勾配のキツイ場所にあって……
入口が狭いのに埋まらないのは、その木の根っこのせいだと思う。
まあ、念の為に、入口は閉じれる様に弄るけど。
早速、中に入って、骨を捨てようと思ったんだけど……
気が変わった。
そりゃ人間の骨は埋めるけど、骨粉は確か、使えるよね。
土器じゃなくて……磁器だったっけ?
でも、焼成温度、高くなかったかな?
魔法で出来ないかな?
となれば、後回しにして、まずは雨水が入り込まない様にする事と、掃除かな?
土の中にある物で、抽出したら出来る物を鉱物と呼ぶ。
じゃなくて……
土の魔法って、意外と便利。
ゴツゴツとしてた床を滑らかにもしたけど、土魔法で出した粘土の土で色々と作った。
テーブル、椅子に、棚などから始めた。
ベッドは大きいから後回し。
形作って1度乾燥させ、釉薬風の泥水を塗ってから焼けば、琺瑯に。
ここで、魔力枯渇の症状が出て、一旦休憩。
そう全て魔法で出来るのか確かめる意味もあって。
それに、琺瑯にする温度って、確か、青い火2000℃?だったと思ったので、魔法でしか出来ないでしょ。
出来上がったツルンとした椅子に座って、納品しなかった分のハルアで、お腹を満たした。
んだけど……夏は良いけど、冬は冷たいなと思う感触だった。
冬になる前に、何とかしよう。
そう思いながら、風呂敷の様に扱ったひざ掛けを解いて、巾着から食器類を出して、棚の方へ並べていった。
しばらくぼーっとした後、食べたからか、魔力が戻ってきた様に感じ……
まず、天井部分から土が落ちて来ない様に、ドーム状に固定魔法。
その土は、絡み合った根っこの部分を窓にするので、そこのを移動。
意外と大きかった穴は、完全には塞げていない。
枝を交差させてから土を盛らないと強度が……
大きな肉食獣が歩いたら、きっと抜けちゃう気がする。
そんなんだから、普通なら、奥まった部分を寝室にするんだけど……
骨があった場所でもあるので、入って左、根っこが見えるので、崩落しにくいところを土魔法で掘って固めて作った。
だから、テーブルや椅子の様に乾燥させて焼いたので、床も壁も天井も、白っぽくてツルンとしてる。
ただ、個室の様にはしてない。
熱源がないと冬に凍えると思って。
かといって、一酸化炭素中毒にはならない様にはしてるよ。
空気穴や窓を作ってある。
ちなみに、かまどと暖炉を合体させるつもりでいるんだけど、それって石窯?
けど、魔力を使ってばっかの今日は無理。
明日、いや明後日かな?
とりあえず、今日は川で釣りして、外で焚き火で魚を食べよう。
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