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しおりを挟む食堂で働いてると耳にしたんだろうね。
商業ギルドの職員が、食堂に来た。
「今、回復薬ポーションが要るんです」って。
「リーナさんの物はとても効果が高いので、お願いしたいんです」
「そう言われても、お店を開くだけの資金も貯まってないので…」
そう渋れば、「それでですね!」と身を乗り出して来られた。
マディさんの食堂も人気があるので、求人募集を出し、集まるまではギルドから職員を出すこと。
あまり広くはないし、衛兵の詰所が側にある事で、冒険者が買いに来ないかもしれない場所だけど、今直ぐ移れます!
と鼻息荒く、押して来られた。
まあ、衛兵の詰所の側なら、安全を買えるし、別に冒険者が直接買いに来るより、商業ギルドに卸したい方なので……
「店の形態は取らなくても良いんです。ギルドに卸すのが主体だったので。ただ……地上2階と地下と、狭くても裏庭が欲しいんです」
リーナの記憶にある薬屋の最低の条件を口にすれば……
「ありがとうございます!」と言って、手を両手で握られた。
「薬師さんが希望する条件、お聞きしてたので、用意してあります!」
今直ぐにでも、決めてしまわれそうで、渋ったら……
「内覧に行きましょうリーナ」とマディさんに言われた。
「そうだな。ちょうど今、昼と夕の間だからな」と言ったのは料理人の旦那さん。
マディさんたち夫婦まで揃って、店候補に向かう事に……
え?え?という勢いだったけど、戸惑う自分以上に、マディさんたちの方が乗り気。
比較的、大きな町だけど、マディさんの食堂と同じ通りといえ、中央の十字の大通りと交差する東門通りを越えて直ぐ。
本当に、左手に衛兵の詰所が大きく取られてる横の建物だった。
「何かあれば、直ぐに衛兵が飛んで来るけど……」
「日中は、訓練の声で煩いんじゃないか?」
マディさんと旦那さんのルドさんの感想に、苦笑いしたギルド職員。
「まあ、そうなんですよ。それで長くは居られないんですけど、意外と、防犯の面では優秀なんですよ。以前が宝石店だったんで」
そう言って、店を開けるのに、カンヌキと錠前と鍵だけでなく……
「これは魔力錠というもので、登録した者しか開かず、壊そうとしたら魔法で反撃するというものでして、扉を使わず侵入した場合でも、大きな音が鳴るので、安全ですよ」
アッチの世界並の防犯に、思わず目を輝かせてた。
今はマディさんの後の宿に居るから良いけど、一人暮らしって不安だったの。
マディさんも、「良いんじゃないか」と乗り気だし。
その後、店舗にも出来る設えも確認したけど、悪意ある者が入って来られないっていうシステムがある事にも驚いた。
けど、魔法大国だったね。
道に面して大きなガラス窓が着いた店だけど……
そのガラスも、石を投げても割れないって……
店の奥にあるトイレやキッチンが、魔法大国最先端の技術の魔道具で……
お風呂ではなく、素材を洗う物らしいけど、湯船があって……
この時点で、高かろうが買うと決めていた。
2階の寝室は道側に窓はなく、裏庭側にあった。
裏庭の裏は、衛兵の訓練場だから、日を遮るものがなく、薬草を乾かすのも万全。
自分が購入の意思があるって事となれば……
商業ギルドに場所を移して交渉。
抜けがない様に、マディさんたちまでが一緒で、頼もしかった。
とりあえず、商業ギルドとすれば、回復薬ポーションが欲しいので、早く移って作って欲しいってことで、かなり妥協してくれた。
ただ、回復薬ポーション、体力、魔力、状態異常を各種500本ずつ、早急に納入という条件はあったけど……
「5日あれば、可能かと」
リーナの能力からいけば。といえば、「お願いします!」と頭を下げられた。
持ってた現金の大半を払って、買取だとか登録だとかの書類を作り、印などは魔力でなので血の一滴。
それから、鍵を貰い、ベッドなどの調度品を買いに……
今晩は食堂に戻り、お仕事をして、まかないを一緒に食べたんだ。
「良くして戴いてありがとうございました」
そう言って、頭を下げれば、「嫌だねえ」と言って、茶化された。
けど、本当に、マディさんたちに拾われなきゃ生きていられなかったかもしれないもの。
次の日の朝、色々と持たされて、自分の薬屋に移ったんだけど……
薬屋の看板を付ける予定は、今の所ない。
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