獣人世界へ、ようこそ?

ふにゃー

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  爺ちゃん村長に、ケットシーの事知らないかと聞けば……

  その種族の名前を耳にした程度との事だった。

  あちこちに行ってたという虎獣人さんも、聞いた事も目にした事もないって……

  それに、ケットシー、別名が妖精猫だから……

  「目に見えない存在の妖精や精霊だからって訳じゃないが、居るのは分かっとるし信じてはおるぞ」

  爺ちゃん村長は、そうは言ってたけど……

  自分が、ケットシーのチェンジリングっていうはた珍しい存在とまでは、口に出来なかった。

  ただ……

  「妖精や精霊は、基本、好きな事以外には興味は持たず。興味があるものには尽きるまでくっ付いてるらしい。いつの間にか、仲間から離れてたって事はザラらしいがのぉ」

  そう言って笑ってる爺ちゃん村長。

  そういえば、ルカも、エルフ婆ちゃんの薬師師匠の元に居て、周囲に仲間はいないとは言ってた。

  けど、エスペラント王国から追われる様に来て、マーサさんに助けられて、知り合いが増えて来た。

  でも、一人ぼっちだっていう寂しさが、心の奥に残ってた。

  婆ちゃんが祖母だって、ずっと思ってて……

  弟子のデイブが、血が繋がってなく、拾われたんだから、適性がなかったら、お前は薬屋は継げねえんだよ!と叫んだ事で知って……

  後に、薬師の適性がないと言われたのはデイブで、追い出された事の腹いせだったと分かったけど……

  一生懸命に頑張らないとって、必死になってた時もあった。

  それでも、リーナを支え温かみを与えたのは婆ちゃんで……

  その婆ちゃんが、リーナを薬師に育て上げて亡くなってから、婆ちゃんで暮らした薬屋の家が心の拠り所だった。

  それがフェラージ帝国に強襲され、辛うじて逃げ出したけど……

  寂しさから壊れ掛けてたのかもしれない。

  それを繋げたのが、前世の記憶だった。

  ここ、フライハイト魔法大国のトワイゾで、地に足を付けて生きていこうと思ったのは、前世の記憶からの自分がマウントをとったから。

  今は、リーナの記憶と混じり合ってるから、別人格ではない。

  混じり合わなければ、二重人格になってたのかもだけど……

  まあ、共通点が多かったから、混じり合えたのかも?

  怖がり、逃げるっていう決断は早い、手先が器用、食べる事も好きだけど作るのも好き、目的には努力が出来る、ガーデニング好き、読書……

  そんな自分が、爺ちゃん村長をはじめ獣人が多いトカレ村に、愛着を持ち始めてるんだけど……

  逃げ癖から?

  ヒゲがピクピク、背中がソワソワしてるの。

  フェラージ帝国が、フライハイト魔法大国に戦争を仕掛けるとは思えないんだけど……

  先日の嵐の時は、トカレ村の獣人たちも気付いてた。

  でも、今、彼らが反応してないって事は……

  自分自身の事って……事だ。

  けど、それじゃ、何処に逃げるって?

  薬草畑のガラスの塔の温室に繋がってるという妖精の道を使ったら……

  何処に繋がってる?



  顔色が悪く、元気がないのが現れてる尻尾に、心配してくれる帝国から逃げて来た獣人たちが多く住んでるトカレ村が、自分のせいで巻き込まれちゃいけない。

  その気持ちだけは、爺ちゃん村長に伝えた。

  ヒゲの予兆に、眉を寄せてたけど、話は聞いてくれた。

  考え込んだ様だけど……

  「探されてるんじゃろ、帝国に…」

  爺ちゃん村長がポツリと口にされ、尻尾がピシッと立ち固まった。

  「アンナの弟子たち、帝国に捕まっとらんか?」

  ハッとしたと同時に、背中に氷の棒を突っ込まれた様に、冷汗が……

  爺ちゃん村長に言われるまで気付いてなかったけど、有り得る!

  可能性大!

  貴重だと言われてたものを全部、魔法袋に入れて、自分は逃げ出した。

  けど、あそこにしがらみがあればあるほど、逃げる決心は鈍る。

  特に、リナペッタで店を開き、食べて行けて、家族親族があろうものなら……

  逃げようと決めても、時間が掛かったり、遅かったりしたら……

  捕まってる。そして、捕まった顔ぶれに、自分が居なかったら……

  あー、今まで、リーナが抱え込んで、蓋をしようとした記憶を思い出した。

  婆ちゃんの死後、弟子たちが薬屋を引き継ぐ事に、難色を示して来て……

  自身の店を開いている者がほとんどなのに……

  薬草畑の存在を欲した。

  ただ、全員、薬草畑に住む凶暴蜜蜂に認められず、追い掛け回された事もあって、薬草畑の世話をしてたリーナのものになったのに。

  それに、薬草畑っていう亜空間に、魔力を注いでいたのもリーナだったから。

  手に入れようと思ったら、リーナが付いて来る。

  薬草畑の亜空間の魔力を、自身が管理出来る様にするのに数年掛かり……

  その間、調合するだけの魔力が残らないので、婆ちゃんに諦めさせられたのに……

  それもあったから、リナペッタを出て、別の場所で始めようかって、薄々、考えはじめてた時に、帝国の強襲。

  その為に、計画なく闇雲に逃げたから、国を越える事になった訳。

  リーナの中で、薄らとあったのは、婆ちゃんの師匠に会ってみたかった様なんだ。

  闇雲だったから、反対方向に向かうって……

  方向音痴ではなかった筈なんだけどね。


  爺ちゃん村長も、帝国から逃げて来たっていう経緯もあるので……

  「不安に思うんじゃったら、アンナの師匠んところに行くのも手じゃ。魔王国に居るんじゃろ?アソコじゃったら、さすがの帝国も手が出せんじゃろうから」

  そう言われて、決意を固めたんだけど……

  道中は、逃げて来た時同様に、周りは敵っていう警戒を持って動かないとダメなの。

  ひ弱と思われてる小さい猫獣人の姿で、魔法袋所持に、薬師ともなれば、金の成る木で、奴隷にしてしまえば……

  そう思われやすいので、気付かれない様にするのがベストなの。

  だから、前回は出来なかったけど、今回は獣型の猫獣人になって……

  戦闘職のナーフの冒険者スタイルで、放浪していると見せかけるのが良いと思う。

  どういうルートで行けば良いか、虎獣人さんを呼んでくれた。

  魔王国の方まで、冒険者として行った事があるそうなので。




















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