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ヒントを求めてミントに出会う
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『最近になって学園を中心に出回っているこいつには多幸感を得られる代わりに高い依存性が認められている。
しかしその材料は全くの不明、普通の製法では出来ないということだけは分かっているがどれをどんな風にすればこうなるのか、お前にはそれを調べて貰いたい』
殿下から渡された特殊な麻薬――一見すると薄荷の飴そのものな、ただの白い結晶でしかない。
普通の人にはこれと薄荷の飴並べたらどっちがどっちか分からないだろう。
こんなものを殿下はどうやって見つけ出したのかと思いつつ、生徒会室から帰ってきた私はその後教室で授業をそこそこに受け、昼食の時間となったのを期にある部屋を目指して歩きだす。
幸いなことに誰にも邪魔されることなく、私はすぐにそこへと辿り着くことができた。
「もし、誰か居られるでしょうか」
扉をノックしてから入室の許可をとる。
すると中から女性の声が聞こえてくる。
「はいはい、おりますよ~」
「失礼致します」
聞き覚えのあるその声に私は遠慮なく、その扉を開けた。
「あれま、アリス君ではないかね、一体ここには何の用なんだい?」
「お久しぶりですセレス先生、少々お邪魔致します」
扉を開けた途端、様々な植物の匂いが中から溢れだしてくる。
一番強いのはミントの香りだろうか。
そんなことを思いつつ手を使ってそれから鼻を庇いながら、火にかけた鍋で何かを煮詰めている先生へと挨拶をする。
この女性の名はセレス・ゴーキンセン。
平民という身分にありながらその植物に対する深い知識によって様々な薬を生み出し、その功績をもって男爵の位を陛下より賜った異例中の異例。
学園の医師の一人であり、そして私がこの学園で一番お世話になっている方でもある。
「今新しい薬の抽出を行っているところでね、匂いがきついのは勘弁してくれよ」
「構いません、お邪魔しているのはこちらなのですから」
「結構、他の生徒も君くらい弁えていて貰いたいものだ」
「恐縮ですわ」
このセレス女史は自分の研究を邪魔されるのを特に嫌うお方。
礼儀のなっていない者も毛嫌いしており、医師としての実力と反比例するような人気のなさ。
私も以前お世話になっていなかったらこうして交流を持つこともなかったでしょう。
「うーん、この方法じゃ駄目だったかな? 入れる溶剤を変えたほうがよさそうだな」
女史がそういって煮詰めていた鍋から顔をあげ、大雑把な動きで火を止める。
「今日はやめだな、お客さんもいるしこれ以上は時間の無駄だ」
備え付けのソファーに身を投げ出した女史はそのままの体勢でこちらに声を掛けてくる。
「それで、今日は一体どんな用なんだい」
何か面白いことなんだろね――と言う女史。
私はポケットの中から殿下から預かった木箱を取りだし、事情を説明していく。
そしてそれを聞き終えた女史の顔は新しい玩具でも見るかのように、木箱の中を覗き込んではキラキラと輝やかせているのだった。
しかしその材料は全くの不明、普通の製法では出来ないということだけは分かっているがどれをどんな風にすればこうなるのか、お前にはそれを調べて貰いたい』
殿下から渡された特殊な麻薬――一見すると薄荷の飴そのものな、ただの白い結晶でしかない。
普通の人にはこれと薄荷の飴並べたらどっちがどっちか分からないだろう。
こんなものを殿下はどうやって見つけ出したのかと思いつつ、生徒会室から帰ってきた私はその後教室で授業をそこそこに受け、昼食の時間となったのを期にある部屋を目指して歩きだす。
幸いなことに誰にも邪魔されることなく、私はすぐにそこへと辿り着くことができた。
「もし、誰か居られるでしょうか」
扉をノックしてから入室の許可をとる。
すると中から女性の声が聞こえてくる。
「はいはい、おりますよ~」
「失礼致します」
聞き覚えのあるその声に私は遠慮なく、その扉を開けた。
「あれま、アリス君ではないかね、一体ここには何の用なんだい?」
「お久しぶりですセレス先生、少々お邪魔致します」
扉を開けた途端、様々な植物の匂いが中から溢れだしてくる。
一番強いのはミントの香りだろうか。
そんなことを思いつつ手を使ってそれから鼻を庇いながら、火にかけた鍋で何かを煮詰めている先生へと挨拶をする。
この女性の名はセレス・ゴーキンセン。
平民という身分にありながらその植物に対する深い知識によって様々な薬を生み出し、その功績をもって男爵の位を陛下より賜った異例中の異例。
学園の医師の一人であり、そして私がこの学園で一番お世話になっている方でもある。
「今新しい薬の抽出を行っているところでね、匂いがきついのは勘弁してくれよ」
「構いません、お邪魔しているのはこちらなのですから」
「結構、他の生徒も君くらい弁えていて貰いたいものだ」
「恐縮ですわ」
このセレス女史は自分の研究を邪魔されるのを特に嫌うお方。
礼儀のなっていない者も毛嫌いしており、医師としての実力と反比例するような人気のなさ。
私も以前お世話になっていなかったらこうして交流を持つこともなかったでしょう。
「うーん、この方法じゃ駄目だったかな? 入れる溶剤を変えたほうがよさそうだな」
女史がそういって煮詰めていた鍋から顔をあげ、大雑把な動きで火を止める。
「今日はやめだな、お客さんもいるしこれ以上は時間の無駄だ」
備え付けのソファーに身を投げ出した女史はそのままの体勢でこちらに声を掛けてくる。
「それで、今日は一体どんな用なんだい」
何か面白いことなんだろね――と言う女史。
私はポケットの中から殿下から預かった木箱を取りだし、事情を説明していく。
そしてそれを聞き終えた女史の顔は新しい玩具でも見るかのように、木箱の中を覗き込んではキラキラと輝やかせているのだった。
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