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ダボンナ王国独立編 ~リーズ・ナブルの人理《ひとり》立ち~
リーズ・ナブルは人事部にいく
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人事部。
ある意味で忌み嫌われるところだ。
当然の如く並みの精神でやれるところではない。俺みたいな平民と同等ぐらいには嫌われている。
そんな部署の長が今俺の前にいるんだが、どうしたもんか様子がおかしいんだよね。
「・・・マジで?」
「見たまんまです」
渡した除籍届には確かに俺の処分が書いてある。これが通れば、というより通すしかないんだが、それでこことはおさらばなのだ。
「判子お願いします」
「マジか」
「マジですよ」
この後荷物をまとめなきゃならんので早くして欲しいんだが。
「・・・マジかぁ~」
頭を抱えて背もたれに体を預けるのは、この国には珍しい翠の髪をしたガタイのいい男だ。上等な服に身を包んだこの男、こんなふざけた態度だが、とにかく出来る。
下級貴族でありながらこの人事部の長の席を実力で勝ち取った鬼才。権謀術数張り巡らされる貴族社会でのこの男の伝説は霞のようにその実態を掴ませない。そのくせこの男に手を出せないのはあまりにその実績が大きいからだろう。
そんな奴に俺がこんな絡みをされるのは、ふかーい理由があったりなかったり・・・・・・やっぱりあったりする。
「・・・お前が抜けたら駒が減るだろうが、リーズ」
「・・・駒じゃないですよ、ナインハルトさん」
この男が、俺のコネだ。
『ナインハルト=デリール』
平民出身の俺をこの軍に引き込んだのがこの男で、今まで蔑まされながらも何とかやってこれたのもこいつのおかげだが、同時に面倒事を押し付けられることでこの男の利益の産み出すことを繰り返してきた。
そういう契約で、俺はここで働いていたのだが。
「これで契約終了ですよね」
「だけどよー」
「ぐだぐだ言わんでください。あんたとの契約で俺、来たくもないこんなところに来たんですから」
この男のために動くかわりに俺は最低限の立場を保証してもらう、という契約だった。それが今回のことで所属から外される事態となった。庇いたてはできない。差し出した指示書はナインハルトよりも上位の者からだ、これにはさすがのこの男でも拒否できない。正式な書類であり、すでにあの上司のサインがされている。
「判子、くださいよ」
俺は、もう軍人じゃなくなる。
「妥当なところだ、諦めて解放してくれ」
この男との縁も、ここまでだ。
御無用不要、元から居場所はここにない。
「リーズ・ナブルは此れにて御免だ」
きっぱりとしたこちらの主張に、ナインハルトはそれでもなにかを言おうとしたが、それを遮る形でさらに言葉を重ねた。
「お忘れじゃないなら、あれの情報をいただきたいんですが」
「ああ? あれってお前・・・ああそういうことね」
あれだけ渋くしていた顔を綻ばせ、急に上機嫌になるナインハルト。正直気持ち悪いのだが、ここは耐えよう。話が進まん。
「あれね、あれ。そうだったそういう契約だったな」
この男のいうあれとは、俺が軍に所属するにあたって出した条件の一つだ。立場の保証以上にこの条件を交わしたからこそ、俺はこいつのために働いたのだ。
「よしよしいいだろう。お前のいうあれの情報を話そうじゃないか」
『ダグダの杖』の在りかについてだ。
そしてナインハルトは語りだした。
俺が求める、それの所在を。
ある意味で忌み嫌われるところだ。
当然の如く並みの精神でやれるところではない。俺みたいな平民と同等ぐらいには嫌われている。
そんな部署の長が今俺の前にいるんだが、どうしたもんか様子がおかしいんだよね。
「・・・マジで?」
「見たまんまです」
渡した除籍届には確かに俺の処分が書いてある。これが通れば、というより通すしかないんだが、それでこことはおさらばなのだ。
「判子お願いします」
「マジか」
「マジですよ」
この後荷物をまとめなきゃならんので早くして欲しいんだが。
「・・・マジかぁ~」
頭を抱えて背もたれに体を預けるのは、この国には珍しい翠の髪をしたガタイのいい男だ。上等な服に身を包んだこの男、こんなふざけた態度だが、とにかく出来る。
下級貴族でありながらこの人事部の長の席を実力で勝ち取った鬼才。権謀術数張り巡らされる貴族社会でのこの男の伝説は霞のようにその実態を掴ませない。そのくせこの男に手を出せないのはあまりにその実績が大きいからだろう。
そんな奴に俺がこんな絡みをされるのは、ふかーい理由があったりなかったり・・・・・・やっぱりあったりする。
「・・・お前が抜けたら駒が減るだろうが、リーズ」
「・・・駒じゃないですよ、ナインハルトさん」
この男が、俺のコネだ。
『ナインハルト=デリール』
平民出身の俺をこの軍に引き込んだのがこの男で、今まで蔑まされながらも何とかやってこれたのもこいつのおかげだが、同時に面倒事を押し付けられることでこの男の利益の産み出すことを繰り返してきた。
そういう契約で、俺はここで働いていたのだが。
「これで契約終了ですよね」
「だけどよー」
「ぐだぐだ言わんでください。あんたとの契約で俺、来たくもないこんなところに来たんですから」
この男のために動くかわりに俺は最低限の立場を保証してもらう、という契約だった。それが今回のことで所属から外される事態となった。庇いたてはできない。差し出した指示書はナインハルトよりも上位の者からだ、これにはさすがのこの男でも拒否できない。正式な書類であり、すでにあの上司のサインがされている。
「判子、くださいよ」
俺は、もう軍人じゃなくなる。
「妥当なところだ、諦めて解放してくれ」
この男との縁も、ここまでだ。
御無用不要、元から居場所はここにない。
「リーズ・ナブルは此れにて御免だ」
きっぱりとしたこちらの主張に、ナインハルトはそれでもなにかを言おうとしたが、それを遮る形でさらに言葉を重ねた。
「お忘れじゃないなら、あれの情報をいただきたいんですが」
「ああ? あれってお前・・・ああそういうことね」
あれだけ渋くしていた顔を綻ばせ、急に上機嫌になるナインハルト。正直気持ち悪いのだが、ここは耐えよう。話が進まん。
「あれね、あれ。そうだったそういう契約だったな」
この男のいうあれとは、俺が軍に所属するにあたって出した条件の一つだ。立場の保証以上にこの条件を交わしたからこそ、俺はこいつのために働いたのだ。
「よしよしいいだろう。お前のいうあれの情報を話そうじゃないか」
『ダグダの杖』の在りかについてだ。
そしてナインハルトは語りだした。
俺が求める、それの所在を。
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