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ダボンナ王国独立編 ~リーズ・ナブルの人理《ひとり》立ち~
リーズ・ナブルの再到城
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一夜明け、翌日。
上位魔物『ジャバオック』の死骸をそこにいた全員で解体し、二体の頭を運び込んだ王都はあまりのことに盛大に沸いた。
なにせ一般人は見ることがない、あまりに大きな魔物の頭が対となって現れたのだから、その衝撃は凄まじいものであっただろう。
いつも称賛を浴びる城の兵士たちは歯噛みして悔しがった。
日陰の部隊と蔑んでいた支援部隊が戦闘に加わり、一人として死なずに戻ってきた。冒険者の手を借りたとはいえ、これは後方支援として戦闘をあまりしないことになっている者たちの戦果としては大きすぎる。
自分たちが参加していれば、と考えているのだろうが、普段相手にしている下位の魔物とはわけが違うのだからそれはお門違いというものである。
さて、そんな功績を上げた連中がなんの褒賞もないということはなく、現在は王様直々のお言葉を頂いている。
冒険者の協力で、ということよりは軍の人間の功績としてしまったほうがいい。思惑通りお嬢様の機転でユルゲンと共同で討伐したことになっている。
なんといっても公爵家のご令嬢だ、箔付けには十分。国の危機を救った英雄にするにはまさにうってつけというわけだ。
俺もまたそこに、冒険者という立場で膝を着いていた。隣にはユルゲンもいる。大変名誉なことなんだろうが、こういう高貴なお方の御話ってやつはこう、あれじゃない?
「皆の者、よくやった」
「(胃が痛ぇ・・・!!)」
スッゲェエエストレスぅううううう!!!!!!
やべーよやべーよ、こんなとこ来る予定なんてなかったんですけど、全部このマッシブハゲに押し付けてトンズラこくつもりだったのにこのハゲェーーー!! 無理矢理連れてきやがってーーーー!!!
「レティア=ラインホード」
「はっ!」
「お主の英断により早期に問題を解決できた。これは民を守る騎士の鏡とも言える勇敢な行いである。よって汝を十人長から昇格し、百人長のバーゲン=ダッシュの補佐に任命する」
「はっ! 慎んで拝命いたします」
ダボンナ王国の国王、『ヘンドリック=ダボンナ=モリアーテナ』
俺の所属していた軍、ひいてはこの国の全ての人間の上位に位置する立場にいる、貴き血の継承者であり、指導者である。
豪奢な服装に身を包み、頭上に冠を被る歳相応に老いた壮年の男性だ。特にその瞳の紅色が代々王族の証明として受け継がれている。まあ床に顔向けてるから見えないし、人伝でしか聞いたことないから定かではない。その尊顔を見る機会などないと、そう思っていたんだが。
「支援部隊総隊長プライオス=オルステッド」
「はっ!」
周囲に大勢の護衛や大臣、将軍を侍らせた王様は次に元上司を名指しする。呼び掛けられたプライオスが、いつもはしないような真面目な声で応じる。
「汝の働きもまた大きい。ヘンブロ森林は我も頭を痛める要所、しかし利用価値は高い。森の動向に対応するための常駐部隊は守護の要である。その者たちの命を守り、魔物の討伐にも貢献した。これは汝の支援部隊の長としての能力、経験がもたらしたものと我は考えている」
そこで一旦言葉を切った我らが王様は、さらにこう続けた。
「そこでだ。我は将軍たちと協議した結果、汝らの部隊の特性が必要な場面が今後もっと多くなるのではないかと考えている。戦闘だけでは対応できない、そんな事態が今後またあの森で起こる可能性も無視できない。
常駐部隊に支援部隊を加えた、新しい部隊で今後の問題に対応せよ。その指導を汝に任せる、人員も好きにするがいい」
「はっ! 慎んで拝命いたします。ご期待には必ずや!」
「うむ。ヘンブロ森林の監視者たちもよくやってくれた。その実力を疑うまでもないだろうが、今後は支援部隊と協力し更なる脅威にも動じることない精鋭となることを願う」
「必ずや、御希望に御応えいたします」
常駐部隊、支援部隊の奴らも共に、改めて臣下の礼をとってその指示に応えることを誓う。今まで日の目を見ることがなかった自分達が陛下に評価されたことに涙ぐんでいる者さえいる。お前らはいいよな、まだそういうきちんとした軍人だもん。
「ユルゲン・ハワードよ。お主にも感謝せねばなるまい」
「いえ、王国の民として当然のことをしたまででございます」
「冒険者でなければその身を軍に置いてほしいくらいだが、お主はそれを望むまい。ただならぬ強者であるお主が望むものを用意しよう。それをこの度の報酬としたい。何を望むか」
「であるならば、今回討伐しました魔物の素材で装具を御作りいただきたい。あれは私の拳でも砕くのに困難な強度、身に纏うことができれば更なる脅威に対抗する術となりましょう」
「そうであるか。よかろう、早速国一番の鍛冶士に話をつけようではないか」
「ありがたき幸せ」
頭を垂れるユルゲンに対する陛下の声にはどことなく頼りにしている、というような信頼の感情が込められている。
ユルゲンも普段の陽気な態度は鳴りを潜め、至極真面目な様子で陛下の前にいるが、緊張した感じはまるでない。
「お主ら冒険者もまたこの国の民。我らとは軋轢があろうが、こういった時に手を取れぬようではお互いに程度が知れるというもの。王国を、ひいては民を守れるようお主らとも関係を深めていきたいと我は願っている」
「粉骨砕身の覚悟にて御応え致す所存。国あっての我らであります、その平穏を守ることに垣根はございません」
その答えに満足したのか、ユルゲンへの応答はそれで終わるようだった。
・・・さて、ここで問題です。
今回の魔物討伐において、常駐部隊以外に活躍した人たちはだいたい出てきました。彼らの共通点はなんでしょう?
「・・・問題はお主だ。どうしたものか」
正解は俺と違ってちゃんとした身分があることでーす。
「昨日軍を抜け、すでに軍人でないお主をどう評価したものか。軍人でなく、しかし冒険者としての経歴はたった半日ばかり。・・・少しばかり頭が痛い問題よな
どう思う。リーズ・ナブルよ」
上位魔物『ジャバオック』の死骸をそこにいた全員で解体し、二体の頭を運び込んだ王都はあまりのことに盛大に沸いた。
なにせ一般人は見ることがない、あまりに大きな魔物の頭が対となって現れたのだから、その衝撃は凄まじいものであっただろう。
いつも称賛を浴びる城の兵士たちは歯噛みして悔しがった。
日陰の部隊と蔑んでいた支援部隊が戦闘に加わり、一人として死なずに戻ってきた。冒険者の手を借りたとはいえ、これは後方支援として戦闘をあまりしないことになっている者たちの戦果としては大きすぎる。
自分たちが参加していれば、と考えているのだろうが、普段相手にしている下位の魔物とはわけが違うのだからそれはお門違いというものである。
さて、そんな功績を上げた連中がなんの褒賞もないということはなく、現在は王様直々のお言葉を頂いている。
冒険者の協力で、ということよりは軍の人間の功績としてしまったほうがいい。思惑通りお嬢様の機転でユルゲンと共同で討伐したことになっている。
なんといっても公爵家のご令嬢だ、箔付けには十分。国の危機を救った英雄にするにはまさにうってつけというわけだ。
俺もまたそこに、冒険者という立場で膝を着いていた。隣にはユルゲンもいる。大変名誉なことなんだろうが、こういう高貴なお方の御話ってやつはこう、あれじゃない?
「皆の者、よくやった」
「(胃が痛ぇ・・・!!)」
スッゲェエエストレスぅううううう!!!!!!
やべーよやべーよ、こんなとこ来る予定なんてなかったんですけど、全部このマッシブハゲに押し付けてトンズラこくつもりだったのにこのハゲェーーー!! 無理矢理連れてきやがってーーーー!!!
「レティア=ラインホード」
「はっ!」
「お主の英断により早期に問題を解決できた。これは民を守る騎士の鏡とも言える勇敢な行いである。よって汝を十人長から昇格し、百人長のバーゲン=ダッシュの補佐に任命する」
「はっ! 慎んで拝命いたします」
ダボンナ王国の国王、『ヘンドリック=ダボンナ=モリアーテナ』
俺の所属していた軍、ひいてはこの国の全ての人間の上位に位置する立場にいる、貴き血の継承者であり、指導者である。
豪奢な服装に身を包み、頭上に冠を被る歳相応に老いた壮年の男性だ。特にその瞳の紅色が代々王族の証明として受け継がれている。まあ床に顔向けてるから見えないし、人伝でしか聞いたことないから定かではない。その尊顔を見る機会などないと、そう思っていたんだが。
「支援部隊総隊長プライオス=オルステッド」
「はっ!」
周囲に大勢の護衛や大臣、将軍を侍らせた王様は次に元上司を名指しする。呼び掛けられたプライオスが、いつもはしないような真面目な声で応じる。
「汝の働きもまた大きい。ヘンブロ森林は我も頭を痛める要所、しかし利用価値は高い。森の動向に対応するための常駐部隊は守護の要である。その者たちの命を守り、魔物の討伐にも貢献した。これは汝の支援部隊の長としての能力、経験がもたらしたものと我は考えている」
そこで一旦言葉を切った我らが王様は、さらにこう続けた。
「そこでだ。我は将軍たちと協議した結果、汝らの部隊の特性が必要な場面が今後もっと多くなるのではないかと考えている。戦闘だけでは対応できない、そんな事態が今後またあの森で起こる可能性も無視できない。
常駐部隊に支援部隊を加えた、新しい部隊で今後の問題に対応せよ。その指導を汝に任せる、人員も好きにするがいい」
「はっ! 慎んで拝命いたします。ご期待には必ずや!」
「うむ。ヘンブロ森林の監視者たちもよくやってくれた。その実力を疑うまでもないだろうが、今後は支援部隊と協力し更なる脅威にも動じることない精鋭となることを願う」
「必ずや、御希望に御応えいたします」
常駐部隊、支援部隊の奴らも共に、改めて臣下の礼をとってその指示に応えることを誓う。今まで日の目を見ることがなかった自分達が陛下に評価されたことに涙ぐんでいる者さえいる。お前らはいいよな、まだそういうきちんとした軍人だもん。
「ユルゲン・ハワードよ。お主にも感謝せねばなるまい」
「いえ、王国の民として当然のことをしたまででございます」
「冒険者でなければその身を軍に置いてほしいくらいだが、お主はそれを望むまい。ただならぬ強者であるお主が望むものを用意しよう。それをこの度の報酬としたい。何を望むか」
「であるならば、今回討伐しました魔物の素材で装具を御作りいただきたい。あれは私の拳でも砕くのに困難な強度、身に纏うことができれば更なる脅威に対抗する術となりましょう」
「そうであるか。よかろう、早速国一番の鍛冶士に話をつけようではないか」
「ありがたき幸せ」
頭を垂れるユルゲンに対する陛下の声にはどことなく頼りにしている、というような信頼の感情が込められている。
ユルゲンも普段の陽気な態度は鳴りを潜め、至極真面目な様子で陛下の前にいるが、緊張した感じはまるでない。
「お主ら冒険者もまたこの国の民。我らとは軋轢があろうが、こういった時に手を取れぬようではお互いに程度が知れるというもの。王国を、ひいては民を守れるようお主らとも関係を深めていきたいと我は願っている」
「粉骨砕身の覚悟にて御応え致す所存。国あっての我らであります、その平穏を守ることに垣根はございません」
その答えに満足したのか、ユルゲンへの応答はそれで終わるようだった。
・・・さて、ここで問題です。
今回の魔物討伐において、常駐部隊以外に活躍した人たちはだいたい出てきました。彼らの共通点はなんでしょう?
「・・・問題はお主だ。どうしたものか」
正解は俺と違ってちゃんとした身分があることでーす。
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