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ダボンナ王国独立編 ~リーズ・ナブルの馬事《まこと》騒ぎ~
リーズ・ナブルは眠る英雄の元に
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マチルダが勧めるだけあり、かなり旨い昼食であった。
肉の柔らかさもさることながら、口内の油をほどよく溶かしてくれるスープが素晴らしい。
おそらくいろいろな種類の野菜を煮込んだものだろう、複雑な深みのある味の中に自然の甘味が舌を撫でるような風味を感じる。
これでもハンスの食事処でいろんな物を食べてきたが、やはりその土地特有の食事というのは良いものだ。
食事の余韻を心地よく感じながら、目の前の人物が動き出すのに合わせてこちらも立ち上がる。
「馳走になった。リアナ、勘定を頼む」
「はーい!」
「ごちそうさん。旨いねここ、気に入った」
「ありがとうございます! またのお越しを!」
なによりこの店員が可愛い、旅先でここの宣伝しといてやろう。
姑息に自分の株を上げようと画策しているのは、この女性の店員がかなりレベルが高いからだ。正直マチルダよりもかなりタイプである。
背が俺よりも低く、だというのに出るとこは出ている。
栗色のショートヘアーを赤い頭巾でまとめて、ぱっちりとした髪と同色の瞳が眩しい。
この店の制服なのだろうが、この素朴な感じがなんとも言えない。
マチルダがワイルド系の獣ならこの娘はリスとかそういう小動物の類いだ。どちらが好みかといえば断然こっちの娘である、誰があんな危険度の高い女性を狙うものか。俺はマゾヒストじゃねぇ。
「マチルダさん。はい、こちらお花になります」
「ありがとう、いつもすまんな」
「いえいえ好きでやってることですから」
「旦那さんにもよろしく言っといてくれ」
絶望した!!
畜生、既婚者かよ!
あ、マチルダさんが来てくれましたよって中の人呼んでる。まじかここにいるのかよ旦那さん。
どんな人が出てくるのかと想像しながら待っていると……その、あれだ。
「……おお、マチルダ。どうだ、一段と腕を上げた俺の料理は」
「今日も旨かったが毎回驚かさせられるな。ステーキもスープも前より旨くなってる」
「そうだろそうだろ、どうだあんちゃん。ここじゃ見ねぇ顔だから外からきた客だろ? 舌には合ってたかよ」
「びっくりするほど美味しかったです」
「そうかいそうかい! そいつはよかった!!」
がははと豪快に笑う、スキンヘッドのマッチョメン。
何なんだろう、エプロンだとか格好は料理人という風貌なのに顔と体格ですべてを否定しているような。
絶対その筋肉必要ないよね、ここの鍋はこのくらいのマッシブじゃなきゃ振れないとかじゃないかぎりその肉体美はいらないよね?
料理人てなんだろうという疑問に苛まれた俺は、そのあとの会話に参加することなく、いつの間にか店の外に出ていた。いったいどうやって自分が外に出たのかの記憶がないが、深く考えるのはよそうと思う。
「……世界にはいろんな人がいるんだな」
「どうしたリーズ、そんな悟ったような顔をして」
「いや、いいご夫婦だと思ってな」
「そうだな、あの夫婦の仲の良さは憧れるよ」
「あんたはそういうのいないわけ? そろそろいい歳じゃねぇの」
「これでもモテるんだぞ私は。だが中々これという奴がいなくてな」
「ベンの奴も?」
それを聞いたマチルダは面白くなさそうな顔をしてさっさと先にいってしまった。どうやらこの話題はNGらしい。
仕方がないのでそのまま後をついていくことにするが、どうしたものか。正直こういう話題の後でどうやって挽回するのか、やったことがないのでわからん。
しばらくそのまま歩いて、何も言わないままではどうにもならないと考えとりあえず謝ることから始めることにした。
「……あんたら仲がいいみたいだし、その先があるんじゃないかと邪推したわけなんだが。なんか……悪かったよ、あんたにとって面白い話題じゃなかったみたいだ」
正直俺とリティアの関係は、友達というところで止まってしまっている。これからどうなるかなど、それこそ再会してからでないと分からん。
それに目的を果たしてからでなければ、誰かと一緒になるなんてことは考えられんし。
「……別に、そこまで気にすることではないさ。ただ、しょうがないことだとはいえ、何年も待たされていてな」
「ていうことは?」
「あいつから告白はされている。『クランで実力を認められて、お前に誇れるような男になる』とな」
なるほどね、そいつは壮大な告白ですこと。
でもそうか、今のあいつではそれを叶えられないわけか。それじゃあ、あいつが元に戻るまではいつまで経っても関係が変わらないわけか。
「嫌いなわけじゃないんだろ」
「当たり前だ」
はー、ベンの奴愛されてんな。羨ましい、いや女傑に告白とかよく考えたら勇気がいるな。今度からあいつのこと勇者って呼ぼう。
そんな馬鹿なことを考えながら地味に距離を進んでいた俺は、前を歩いていたマチルダが止まったのに合わせて停止する。
「ここだ」
ようやく、というべきか。
それなりに大きな二階建ての建物が、目の前にある。ここにあの小僧の両親がいるのか。
怪我人に訪問させてもらうのに、手土産なしってのも失礼な話だからあそこの店で花を買ってもらって助かったな。
さて、それじゃあ英雄さまの診療所にお邪魔しますか。
肉の柔らかさもさることながら、口内の油をほどよく溶かしてくれるスープが素晴らしい。
おそらくいろいろな種類の野菜を煮込んだものだろう、複雑な深みのある味の中に自然の甘味が舌を撫でるような風味を感じる。
これでもハンスの食事処でいろんな物を食べてきたが、やはりその土地特有の食事というのは良いものだ。
食事の余韻を心地よく感じながら、目の前の人物が動き出すのに合わせてこちらも立ち上がる。
「馳走になった。リアナ、勘定を頼む」
「はーい!」
「ごちそうさん。旨いねここ、気に入った」
「ありがとうございます! またのお越しを!」
なによりこの店員が可愛い、旅先でここの宣伝しといてやろう。
姑息に自分の株を上げようと画策しているのは、この女性の店員がかなりレベルが高いからだ。正直マチルダよりもかなりタイプである。
背が俺よりも低く、だというのに出るとこは出ている。
栗色のショートヘアーを赤い頭巾でまとめて、ぱっちりとした髪と同色の瞳が眩しい。
この店の制服なのだろうが、この素朴な感じがなんとも言えない。
マチルダがワイルド系の獣ならこの娘はリスとかそういう小動物の類いだ。どちらが好みかといえば断然こっちの娘である、誰があんな危険度の高い女性を狙うものか。俺はマゾヒストじゃねぇ。
「マチルダさん。はい、こちらお花になります」
「ありがとう、いつもすまんな」
「いえいえ好きでやってることですから」
「旦那さんにもよろしく言っといてくれ」
絶望した!!
畜生、既婚者かよ!
あ、マチルダさんが来てくれましたよって中の人呼んでる。まじかここにいるのかよ旦那さん。
どんな人が出てくるのかと想像しながら待っていると……その、あれだ。
「……おお、マチルダ。どうだ、一段と腕を上げた俺の料理は」
「今日も旨かったが毎回驚かさせられるな。ステーキもスープも前より旨くなってる」
「そうだろそうだろ、どうだあんちゃん。ここじゃ見ねぇ顔だから外からきた客だろ? 舌には合ってたかよ」
「びっくりするほど美味しかったです」
「そうかいそうかい! そいつはよかった!!」
がははと豪快に笑う、スキンヘッドのマッチョメン。
何なんだろう、エプロンだとか格好は料理人という風貌なのに顔と体格ですべてを否定しているような。
絶対その筋肉必要ないよね、ここの鍋はこのくらいのマッシブじゃなきゃ振れないとかじゃないかぎりその肉体美はいらないよね?
料理人てなんだろうという疑問に苛まれた俺は、そのあとの会話に参加することなく、いつの間にか店の外に出ていた。いったいどうやって自分が外に出たのかの記憶がないが、深く考えるのはよそうと思う。
「……世界にはいろんな人がいるんだな」
「どうしたリーズ、そんな悟ったような顔をして」
「いや、いいご夫婦だと思ってな」
「そうだな、あの夫婦の仲の良さは憧れるよ」
「あんたはそういうのいないわけ? そろそろいい歳じゃねぇの」
「これでもモテるんだぞ私は。だが中々これという奴がいなくてな」
「ベンの奴も?」
それを聞いたマチルダは面白くなさそうな顔をしてさっさと先にいってしまった。どうやらこの話題はNGらしい。
仕方がないのでそのまま後をついていくことにするが、どうしたものか。正直こういう話題の後でどうやって挽回するのか、やったことがないのでわからん。
しばらくそのまま歩いて、何も言わないままではどうにもならないと考えとりあえず謝ることから始めることにした。
「……あんたら仲がいいみたいだし、その先があるんじゃないかと邪推したわけなんだが。なんか……悪かったよ、あんたにとって面白い話題じゃなかったみたいだ」
正直俺とリティアの関係は、友達というところで止まってしまっている。これからどうなるかなど、それこそ再会してからでないと分からん。
それに目的を果たしてからでなければ、誰かと一緒になるなんてことは考えられんし。
「……別に、そこまで気にすることではないさ。ただ、しょうがないことだとはいえ、何年も待たされていてな」
「ていうことは?」
「あいつから告白はされている。『クランで実力を認められて、お前に誇れるような男になる』とな」
なるほどね、そいつは壮大な告白ですこと。
でもそうか、今のあいつではそれを叶えられないわけか。それじゃあ、あいつが元に戻るまではいつまで経っても関係が変わらないわけか。
「嫌いなわけじゃないんだろ」
「当たり前だ」
はー、ベンの奴愛されてんな。羨ましい、いや女傑に告白とかよく考えたら勇気がいるな。今度からあいつのこと勇者って呼ぼう。
そんな馬鹿なことを考えながら地味に距離を進んでいた俺は、前を歩いていたマチルダが止まったのに合わせて停止する。
「ここだ」
ようやく、というべきか。
それなりに大きな二階建ての建物が、目の前にある。ここにあの小僧の両親がいるのか。
怪我人に訪問させてもらうのに、手土産なしってのも失礼な話だからあそこの店で花を買ってもらって助かったな。
さて、それじゃあ英雄さまの診療所にお邪魔しますか。
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