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第三章 水門都市編
第九話「上位種襲来」
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フォーレタニア一行が十二使徒のシモンと交戦していた頃。
オーレダリアはバザールに近衛兵を集め、作戦を練り、フィオーネ古海から現れた呼び声と応戦していた。
「魔術兵や弓兵はあのデカブツを集中して叩いてくれ!それ以外は小型の呼び声を狙い、遠距離班に触手一本たりとも近づけさせるな!」
全体を統括し、適正に指示を飛ばす。
数十人の魔術兵や弓兵が一斉に攻撃を始める。
大小様々な遠距離攻撃が光の列を形成し、呼び声の大群へと炸裂する。
空を飛ぶ呼び声は魔術や弓を受け、海へ落ちていく。
そんな中、群れの中央にいる上位種は飛来する攻撃が着弾する瞬間に真っ黒な胴体を透明に変化させた。
攻撃は着弾することなく透明になった胴体に沿って、流れるように軌道が逸れる。
「上位種以外は着弾が確認できましたが、上位種には一切効いていません。オーレダリア兵団長!」
報告を受けたオーレダリアは遠視鏡で確認する。
「攻撃の軌道が逸れている…?何だあの奇怪な特性は」
上位種は再び色を戻し、体内の気泡のようなものが淡く光り出す。
ゴォォォォォォォォォォ。
海が大きくうねり、耳を劈くような轟音が一帯に響き渡る。
音と同時に大量の呼び声が上位種の体内から生み出され、群れを成して攻めてくる。
陸海空の全てから押し寄せる呼び声を捌きながら上位種に攻撃することは困難を極めていた。
「このままじゃこちらがジリ貧になってしまう」
上陸した呼び声の中には一つ目だけでなく、二つ目、三つ目も混じっており、並みの近衛兵では太刀打ちできなくなっていた。
圧倒的な数を前にオーレダリアは士気を上げようと前へ出る。
「《刻印冷気付与》!」
「《身体強化》」
「《刻印加速》」
魔術剣士のオーレダリアは腰につけたレイピアを引き抜き、自己強化をかける。
先陣を切り果敢に立ち向かう彼女を見て、一同は気合を入れ直す。
「他にも他戦っている仲間がいる…!私たちはここを何としても死守するぞ!」
と言っても、上位種を討たなければ呼び声の発生も止めることはできないという現状で、討つすべが見つからないまま戦闘は続き、
兵たちは次第に疲労の色を見せ始める。
「せめて攻撃さえ通れば」
補給物資も底をつきかけていた時、よく知る声に話しかけられる。
「まだ諦めるには早いですよ」
オーレダリアを含む近衛兵の前に現れたのは、漠水神フィオーネ本人だった。
「フィオーネ様!なぜここに…」
皆が歓喜する中、オーレダリアは心配の表情を浮かべる。
「安心してください。三か所ある封楼灯台の内、二か所へは私が赴き、封印が解かれていないことを確認しています」
「残りの一か所はどのようになされたのですか」
彼女の問いに対し、フィオーネは答える。
「そちらへは彼らに向かっていただきました」
「まさか…!あの子たちを向かわせたのですか!危険すぎます!」
地底都市での一件を聞き、邪神教の種撃を予測していたオーレダリアは彼らをまた死地に追いやることに反発する。
「落ち着きなさい。彼らはちゃんと私の教えを聞き、成長を遂げています。ここを抑えることが今私たちにできる最善手なのです」
冷静に淡々と話すフィオーネを見て落ち着きを取り戻すオーレダリア。
「取り乱してしまい申し訳ありません…。確かに、今は目の前に敵を討つことが最優先です」
胸に手を置き、深呼吸する。
オーレダリアはフィオーネと共に戦線を維持しつつ、上位種の特性を伝える。
状況を理解したフィオーネは自身の見解を述べる。
「攻撃への完全耐性はあり得ません。かすり傷すらつけられないとなると何かカラクリがあるはずです」
水刃で近衛兵が倒しそびれた呼び声を倒しながら、フィオーネは思考を巡らせる。
「あの上位種の攻撃性の有無から見て、おそらくは―」
何かを思いついたように《流水の魔術大槍》を上位種へ向けて放つ。
勢いを落とすことなく槍は透明になった上位種を貫く。
「攻撃が!!」
近衛兵たちの表情に光が差し込む。
「なるほど。攻撃を無効化しているのではなく、自身の防御力を上回る攻撃以外は受け流すことで反射する性質のようですね」
戦況に活路が見え始める。
「魔術師、弓兵は二人一組になり、強化魔術で強化した攻撃を叩き込め!」
一撃を喰らった上位種は叫ぶ頻度を増やし、より大量の呼び声を生成する。
「この…!せっかく攻撃手段を見つけたって言うのに…!」
呼び声への応戦が激化刷る中、フィオーネは空中に水の足場を作り、上位種へと接近していく。
「フィオーネ様!」
振り向き、オーレダリアの呼びかけに微笑んで返したフィオーネは海の上で一本の水剣を創り出す。
その剣に向かって海水が波濤のように集まり、やがて大きな水の剣は収束して細い太刀に形を変える。
「人々は自らの意志で運命に抗う力を持っています。それは時に儚く、時に力強く、とても輝かしいものでもあります」
「神が統治する時代は終わりを迎え、私はこの都市の座から退きました」
「さぁ、子どもたち。今こそ力を合わせ、立ち上がるのです」
「この一撃を未来への手向けとします」
咆哮をあげ、姿を透明にする上位種へフィオーネは水の太刀を振り下ろす。
「《波濤の一太刀》!」
薄く細い収束した一太刀は振り切ったと同時に消え、海へと帰っていく。
何も起こらなかったと皆が思っていた次の瞬間―。
目の前の大海が真っ二つに切断された。
時間差で発生した衝撃が地震となり、海が荒れ狂う。
切っ先にいた上位種はおろか下位の呼び声諸共一刀両断されており、斬られた海は大瀑布を生み出し、全てを飲み込む。
「さ、さすがフィオーネ様だ!」
「フィオーネ様万歳!」
「ありがとうございます!フィオーネ様!」
船着き場にいた近衛兵含む街の人たちは声をあげ、感謝を示す。
「あとは…あなたたちだけです。頼みましたよ。未来を担う星たちよ」
オーレダリアはバザールに近衛兵を集め、作戦を練り、フィオーネ古海から現れた呼び声と応戦していた。
「魔術兵や弓兵はあのデカブツを集中して叩いてくれ!それ以外は小型の呼び声を狙い、遠距離班に触手一本たりとも近づけさせるな!」
全体を統括し、適正に指示を飛ばす。
数十人の魔術兵や弓兵が一斉に攻撃を始める。
大小様々な遠距離攻撃が光の列を形成し、呼び声の大群へと炸裂する。
空を飛ぶ呼び声は魔術や弓を受け、海へ落ちていく。
そんな中、群れの中央にいる上位種は飛来する攻撃が着弾する瞬間に真っ黒な胴体を透明に変化させた。
攻撃は着弾することなく透明になった胴体に沿って、流れるように軌道が逸れる。
「上位種以外は着弾が確認できましたが、上位種には一切効いていません。オーレダリア兵団長!」
報告を受けたオーレダリアは遠視鏡で確認する。
「攻撃の軌道が逸れている…?何だあの奇怪な特性は」
上位種は再び色を戻し、体内の気泡のようなものが淡く光り出す。
ゴォォォォォォォォォォ。
海が大きくうねり、耳を劈くような轟音が一帯に響き渡る。
音と同時に大量の呼び声が上位種の体内から生み出され、群れを成して攻めてくる。
陸海空の全てから押し寄せる呼び声を捌きながら上位種に攻撃することは困難を極めていた。
「このままじゃこちらがジリ貧になってしまう」
上陸した呼び声の中には一つ目だけでなく、二つ目、三つ目も混じっており、並みの近衛兵では太刀打ちできなくなっていた。
圧倒的な数を前にオーレダリアは士気を上げようと前へ出る。
「《刻印冷気付与》!」
「《身体強化》」
「《刻印加速》」
魔術剣士のオーレダリアは腰につけたレイピアを引き抜き、自己強化をかける。
先陣を切り果敢に立ち向かう彼女を見て、一同は気合を入れ直す。
「他にも他戦っている仲間がいる…!私たちはここを何としても死守するぞ!」
と言っても、上位種を討たなければ呼び声の発生も止めることはできないという現状で、討つすべが見つからないまま戦闘は続き、
兵たちは次第に疲労の色を見せ始める。
「せめて攻撃さえ通れば」
補給物資も底をつきかけていた時、よく知る声に話しかけられる。
「まだ諦めるには早いですよ」
オーレダリアを含む近衛兵の前に現れたのは、漠水神フィオーネ本人だった。
「フィオーネ様!なぜここに…」
皆が歓喜する中、オーレダリアは心配の表情を浮かべる。
「安心してください。三か所ある封楼灯台の内、二か所へは私が赴き、封印が解かれていないことを確認しています」
「残りの一か所はどのようになされたのですか」
彼女の問いに対し、フィオーネは答える。
「そちらへは彼らに向かっていただきました」
「まさか…!あの子たちを向かわせたのですか!危険すぎます!」
地底都市での一件を聞き、邪神教の種撃を予測していたオーレダリアは彼らをまた死地に追いやることに反発する。
「落ち着きなさい。彼らはちゃんと私の教えを聞き、成長を遂げています。ここを抑えることが今私たちにできる最善手なのです」
冷静に淡々と話すフィオーネを見て落ち着きを取り戻すオーレダリア。
「取り乱してしまい申し訳ありません…。確かに、今は目の前に敵を討つことが最優先です」
胸に手を置き、深呼吸する。
オーレダリアはフィオーネと共に戦線を維持しつつ、上位種の特性を伝える。
状況を理解したフィオーネは自身の見解を述べる。
「攻撃への完全耐性はあり得ません。かすり傷すらつけられないとなると何かカラクリがあるはずです」
水刃で近衛兵が倒しそびれた呼び声を倒しながら、フィオーネは思考を巡らせる。
「あの上位種の攻撃性の有無から見て、おそらくは―」
何かを思いついたように《流水の魔術大槍》を上位種へ向けて放つ。
勢いを落とすことなく槍は透明になった上位種を貫く。
「攻撃が!!」
近衛兵たちの表情に光が差し込む。
「なるほど。攻撃を無効化しているのではなく、自身の防御力を上回る攻撃以外は受け流すことで反射する性質のようですね」
戦況に活路が見え始める。
「魔術師、弓兵は二人一組になり、強化魔術で強化した攻撃を叩き込め!」
一撃を喰らった上位種は叫ぶ頻度を増やし、より大量の呼び声を生成する。
「この…!せっかく攻撃手段を見つけたって言うのに…!」
呼び声への応戦が激化刷る中、フィオーネは空中に水の足場を作り、上位種へと接近していく。
「フィオーネ様!」
振り向き、オーレダリアの呼びかけに微笑んで返したフィオーネは海の上で一本の水剣を創り出す。
その剣に向かって海水が波濤のように集まり、やがて大きな水の剣は収束して細い太刀に形を変える。
「人々は自らの意志で運命に抗う力を持っています。それは時に儚く、時に力強く、とても輝かしいものでもあります」
「神が統治する時代は終わりを迎え、私はこの都市の座から退きました」
「さぁ、子どもたち。今こそ力を合わせ、立ち上がるのです」
「この一撃を未来への手向けとします」
咆哮をあげ、姿を透明にする上位種へフィオーネは水の太刀を振り下ろす。
「《波濤の一太刀》!」
薄く細い収束した一太刀は振り切ったと同時に消え、海へと帰っていく。
何も起こらなかったと皆が思っていた次の瞬間―。
目の前の大海が真っ二つに切断された。
時間差で発生した衝撃が地震となり、海が荒れ狂う。
切っ先にいた上位種はおろか下位の呼び声諸共一刀両断されており、斬られた海は大瀑布を生み出し、全てを飲み込む。
「さ、さすがフィオーネ様だ!」
「フィオーネ様万歳!」
「ありがとうございます!フィオーネ様!」
船着き場にいた近衛兵含む街の人たちは声をあげ、感謝を示す。
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