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21:世界で一番格好良い(2)
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六年生が五年生のクラスに行くのは、なかなかにハードルが高い。
田沼くんたちと直接話をしたいんだけど、どうしたものか。
ウダウダ悩んでいるうちに昼休憩時間になった。
元気な子は昼食を終えた後、体育館や校庭に行って身体を動かす。
でも、私はそんな活発な子じゃないので、教室でダラダラと時間を潰すのが日常だ。
大抵、私の話し相手は菜摘ちゃん。
菜摘ちゃんとは去年から同じクラスになったんだけど、不思議なくらいに気が合う。
くだらない話をしていても楽しいし、彼女と一緒にいると沈黙も気にならない。
でも、予知夢のことは言えなかった。
菜摘ちゃんなら信じてくれるかもしれないけど……信じてもらえなかったときのことを考えると悲しいもん。
だから、私は予知夢のことは言わず、「優夜くんが同級生にいじめられるんじゃないかと心配」とだけ話した。
「じゃあ様子を見に行ってみようよ」
菜摘ちゃんは当たり前のようにそう言った。
「えっ。行くの?」
「うん。六年生が五年生の教室に行っちゃダメなんてルールはないでしょ?」
私が戸惑っているうちに、菜摘ちゃんはさっさと教室を出ていった。
「待って!」
私は慌てて後を追った。
菜摘ちゃんは階段を下りて、五年生の教室の前の廊下をずんずん進んでいく。
廊下では何人かの生徒たちがグループを作って会話している。
この光景は、どこも同じだった。
『5年3組』のプレートがついた教室を通り過ぎて、優夜くんが所属する4組に着いた。
教室の後方で優夜くんが三人の生徒たちと会話している。
ちなみに相手は全員女子。
今日も優夜くんはモテモテらしい。
「いじめっ子っていうのはどれ?」
「……ううん。教室の中にはいないみたい」
田沼くんたちは廊下にもいなかった。
ということは、外出中。体育館や校庭にいるのかな。
ガッカリしながらも、優夜くんに見つかる前に私は退散することにした。
「せっかく来たのに、いじめっ子がいなくて残念だね。話しそびれちゃった。でも、優夜くんは楽しそうで良かった」
廊下を引き返しながら、菜摘ちゃんは微笑んだ。
「うん。このままずっと、優夜くんが笑って過ごせればいいんだけど……あ」
階段に差し掛かったとき、私は目を丸くした。
ちょうど階段を上ってきたのは、田沼くんたちだった。
「あ。いつも成海と一緒に登校してる女子だ」
田沼くんが私を見上げてそう言った。
私は六年生で、私のほうが年上なのに、敬う気は一切ないらしい。
彼らは想像通りの性格をしているようだ。
まあ、世の中のいじめっ子なんて大抵がそんなものだろう。
むしろ、ここで愛想よく「こんにちは」と微笑まれたらびっくりしてしまう。
「こんにちは。ちょっと話をしたいんだけど、いい?」
私はにこやかに微笑んで、彼らに近づいた。
菜摘ちゃんは階段の上に立ったままだ。
立ち去ろうとはせず、廊下の端っこに立っている。
何かあったら助けてくれるか、先生を呼びにいってくれるつもりなのだろう。
私を見守ってくれている菜摘ちゃんの存在は心強かった。
いじめっ子たちに立ち向かう勇気が湧いてくる。
「なんだよ。何の用?」
不機嫌そうに田沼くんたちは私を睨んできた。
「単刀直入に言うけど。優夜くんに絡むのを止めてくれないかな」
「は? 成海にそう言えって言われたのか?」
「女に頼るとか、ダセー奴」
「ううん、優夜くんは何も言ってないよ。これは私が勝手にしてること。私は優夜くんが好きなの。困ったり、泣いたりしてる顔を見たくないの。だから、優夜くんにつっかかったりしないで」
田沼くんたちは呆れたような、馬鹿にしたような顔で私を見ている。
私のことなんて全然怖くないみたいだ。
私よりも田沼くんたちのほうが体格が良いから、もし喧嘩になったとしても勝てると思っているのだろう。
田沼くんたちと直接話をしたいんだけど、どうしたものか。
ウダウダ悩んでいるうちに昼休憩時間になった。
元気な子は昼食を終えた後、体育館や校庭に行って身体を動かす。
でも、私はそんな活発な子じゃないので、教室でダラダラと時間を潰すのが日常だ。
大抵、私の話し相手は菜摘ちゃん。
菜摘ちゃんとは去年から同じクラスになったんだけど、不思議なくらいに気が合う。
くだらない話をしていても楽しいし、彼女と一緒にいると沈黙も気にならない。
でも、予知夢のことは言えなかった。
菜摘ちゃんなら信じてくれるかもしれないけど……信じてもらえなかったときのことを考えると悲しいもん。
だから、私は予知夢のことは言わず、「優夜くんが同級生にいじめられるんじゃないかと心配」とだけ話した。
「じゃあ様子を見に行ってみようよ」
菜摘ちゃんは当たり前のようにそう言った。
「えっ。行くの?」
「うん。六年生が五年生の教室に行っちゃダメなんてルールはないでしょ?」
私が戸惑っているうちに、菜摘ちゃんはさっさと教室を出ていった。
「待って!」
私は慌てて後を追った。
菜摘ちゃんは階段を下りて、五年生の教室の前の廊下をずんずん進んでいく。
廊下では何人かの生徒たちがグループを作って会話している。
この光景は、どこも同じだった。
『5年3組』のプレートがついた教室を通り過ぎて、優夜くんが所属する4組に着いた。
教室の後方で優夜くんが三人の生徒たちと会話している。
ちなみに相手は全員女子。
今日も優夜くんはモテモテらしい。
「いじめっ子っていうのはどれ?」
「……ううん。教室の中にはいないみたい」
田沼くんたちは廊下にもいなかった。
ということは、外出中。体育館や校庭にいるのかな。
ガッカリしながらも、優夜くんに見つかる前に私は退散することにした。
「せっかく来たのに、いじめっ子がいなくて残念だね。話しそびれちゃった。でも、優夜くんは楽しそうで良かった」
廊下を引き返しながら、菜摘ちゃんは微笑んだ。
「うん。このままずっと、優夜くんが笑って過ごせればいいんだけど……あ」
階段に差し掛かったとき、私は目を丸くした。
ちょうど階段を上ってきたのは、田沼くんたちだった。
「あ。いつも成海と一緒に登校してる女子だ」
田沼くんが私を見上げてそう言った。
私は六年生で、私のほうが年上なのに、敬う気は一切ないらしい。
彼らは想像通りの性格をしているようだ。
まあ、世の中のいじめっ子なんて大抵がそんなものだろう。
むしろ、ここで愛想よく「こんにちは」と微笑まれたらびっくりしてしまう。
「こんにちは。ちょっと話をしたいんだけど、いい?」
私はにこやかに微笑んで、彼らに近づいた。
菜摘ちゃんは階段の上に立ったままだ。
立ち去ろうとはせず、廊下の端っこに立っている。
何かあったら助けてくれるか、先生を呼びにいってくれるつもりなのだろう。
私を見守ってくれている菜摘ちゃんの存在は心強かった。
いじめっ子たちに立ち向かう勇気が湧いてくる。
「なんだよ。何の用?」
不機嫌そうに田沼くんたちは私を睨んできた。
「単刀直入に言うけど。優夜くんに絡むのを止めてくれないかな」
「は? 成海にそう言えって言われたのか?」
「女に頼るとか、ダセー奴」
「ううん、優夜くんは何も言ってないよ。これは私が勝手にしてること。私は優夜くんが好きなの。困ったり、泣いたりしてる顔を見たくないの。だから、優夜くんにつっかかったりしないで」
田沼くんたちは呆れたような、馬鹿にしたような顔で私を見ている。
私のことなんて全然怖くないみたいだ。
私よりも田沼くんたちのほうが体格が良いから、もし喧嘩になったとしても勝てると思っているのだろう。
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