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37:クールビューティー登場(1)
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始業式が終わって教室に戻ると、クラスの女子の中でも派手めな三人による質問大会が私を待っていた。
「――じゃあさ、前の学校では部活は何してた?」
髪を明るいピンクブラウンに染めたショートカットの女子が言う。
「何もしてない。帰宅部だったの」
「そうなんだ。奏城でも部活はしないつもり?」
「うん」
奏城の部活動については亜紀くんから詳しく話を聞いている。
愛嬌が良くて手先も器用、おまけに運動神経抜群な亜紀くんは運動部・文化部問わず様々な部員から是非うちにと来て欲しいと懇願され、最終的にバスケ部に決めるまで、ほとんど全ての部活に体験入部してみたそうだ。
奏城学園にはバレー部やサッカー部、吹奏楽部といった一般的な部活はもちろんのこと、馬術部やゴルフ部、他にもeスポーツ部やクイズ研究会など、多種多様な部や同好会がある。
私は動物が好きなので馬術部があると聞いたときは興味を惹かれた。
でも、馬術部に入ると朝早く起きて馬の世話をしなければいけないから送迎してもらうのが大変だし、勉強時間も減る。
いまは何よりも学業が優先だ。
夏休みも本当はアルバイトをし、お世話になってる日向家に少しでもお金を入れたかったけれど、奏城学園はバイト禁止だった。
だから特待生になって私にかかる学費を減らす。
学生の身分の私ができることはそれくらいだ。
「えー、そうなの? 数研部に興味ない? 明日の放課後、見学だけでもしない? 三年の先輩が卒業したら部員が五人を切って同好会に格下げされちゃうんだよ」
「うーん、ごめん。私、特待生になりたいから。いまは部活動に励むより勉強したいんだ」
私は胸の前で手を合わせた。
「ああ、それなら仕方ないね」
「特待生枠を狙ってるなんて凄いねえ! 頑張って、応援する!」
「ありがとう」
いい子たちだなあ、と胸がほっこりする。
三人に机を囲まれたときは最初こそ身構えた。
でも、蓋を開けてみれば彼女たちはただのお喋り好きな女子高生だった。
三駒にいた女子たちとは違い、スカートのポケットから少しだけ覗いているハンカチが高級ブランド品だったりするけれど。
そこはもう慣れるしかない。
彼女たちが質問し、私が答える、それなりに和やかなひと時。
一通りの質問を終えて沈黙が訪れ、そろそろお開きかなと思った矢先に、新たな女子がやってきた。
「ねえ、私も混ぜてもらっていい? 私も戸川さんに聞きたいことがあるんだ。私、報道部の真田舞《さなだまい》。よろしくね」
にこっと笑ったのは、長い髪をツインテールにし、赤いリボンを結んだ女子だった。
背丈は160センチの私と変わらないけれど、長い髪をツインテールにしているせいか、年齢よりも幼い印象を受ける。
「うん、よろしく」
会釈する。
三人組の真ん中にいた女子が無言で左に寄り、私の正面にあたる空間を真田さんに譲った。
真田さんに苦手意識があるのか、三人ともあまり良い顔はしていない。
「ありがと」
真田さんは私の前に陣取り、私の机に両手をついて軽く身を乗り出した。
にこにこしながら言う。
「早速質問なんだけどさ。戸川さんは日向くんと同居してるんだよね」
え、そこ?
「うん、そうだよ。家庭の事情で」
嫌な予感を覚えつつ、私は頷いた。
「家庭の事情って、具体的にどんな?」
悪気など欠片もなさそうな、キラキラ笑顔で放たれた直球ど真ん中を撃ち抜く質問に、私は固まった。
朝、亜紀くんの友人に囲まれたときも、そこを深く追及しようとする人は誰もいなかった。
「ちょっと、舞。止めなよ」
「そうだよ。察しなよ」
セミロングの女子が困惑気味に真田さんの腕を引いた。
「なんで? サナもユリカも気になるでしょ?」
天然なのか、真田さんは無邪気と言える仕草で首を傾げた。
ツインテールにした髪と、髪に括った赤いリボンが動きに合わせて揺れる。
「――じゃあさ、前の学校では部活は何してた?」
髪を明るいピンクブラウンに染めたショートカットの女子が言う。
「何もしてない。帰宅部だったの」
「そうなんだ。奏城でも部活はしないつもり?」
「うん」
奏城の部活動については亜紀くんから詳しく話を聞いている。
愛嬌が良くて手先も器用、おまけに運動神経抜群な亜紀くんは運動部・文化部問わず様々な部員から是非うちにと来て欲しいと懇願され、最終的にバスケ部に決めるまで、ほとんど全ての部活に体験入部してみたそうだ。
奏城学園にはバレー部やサッカー部、吹奏楽部といった一般的な部活はもちろんのこと、馬術部やゴルフ部、他にもeスポーツ部やクイズ研究会など、多種多様な部や同好会がある。
私は動物が好きなので馬術部があると聞いたときは興味を惹かれた。
でも、馬術部に入ると朝早く起きて馬の世話をしなければいけないから送迎してもらうのが大変だし、勉強時間も減る。
いまは何よりも学業が優先だ。
夏休みも本当はアルバイトをし、お世話になってる日向家に少しでもお金を入れたかったけれど、奏城学園はバイト禁止だった。
だから特待生になって私にかかる学費を減らす。
学生の身分の私ができることはそれくらいだ。
「えー、そうなの? 数研部に興味ない? 明日の放課後、見学だけでもしない? 三年の先輩が卒業したら部員が五人を切って同好会に格下げされちゃうんだよ」
「うーん、ごめん。私、特待生になりたいから。いまは部活動に励むより勉強したいんだ」
私は胸の前で手を合わせた。
「ああ、それなら仕方ないね」
「特待生枠を狙ってるなんて凄いねえ! 頑張って、応援する!」
「ありがとう」
いい子たちだなあ、と胸がほっこりする。
三人に机を囲まれたときは最初こそ身構えた。
でも、蓋を開けてみれば彼女たちはただのお喋り好きな女子高生だった。
三駒にいた女子たちとは違い、スカートのポケットから少しだけ覗いているハンカチが高級ブランド品だったりするけれど。
そこはもう慣れるしかない。
彼女たちが質問し、私が答える、それなりに和やかなひと時。
一通りの質問を終えて沈黙が訪れ、そろそろお開きかなと思った矢先に、新たな女子がやってきた。
「ねえ、私も混ぜてもらっていい? 私も戸川さんに聞きたいことがあるんだ。私、報道部の真田舞《さなだまい》。よろしくね」
にこっと笑ったのは、長い髪をツインテールにし、赤いリボンを結んだ女子だった。
背丈は160センチの私と変わらないけれど、長い髪をツインテールにしているせいか、年齢よりも幼い印象を受ける。
「うん、よろしく」
会釈する。
三人組の真ん中にいた女子が無言で左に寄り、私の正面にあたる空間を真田さんに譲った。
真田さんに苦手意識があるのか、三人ともあまり良い顔はしていない。
「ありがと」
真田さんは私の前に陣取り、私の机に両手をついて軽く身を乗り出した。
にこにこしながら言う。
「早速質問なんだけどさ。戸川さんは日向くんと同居してるんだよね」
え、そこ?
「うん、そうだよ。家庭の事情で」
嫌な予感を覚えつつ、私は頷いた。
「家庭の事情って、具体的にどんな?」
悪気など欠片もなさそうな、キラキラ笑顔で放たれた直球ど真ん中を撃ち抜く質問に、私は固まった。
朝、亜紀くんの友人に囲まれたときも、そこを深く追及しようとする人は誰もいなかった。
「ちょっと、舞。止めなよ」
「そうだよ。察しなよ」
セミロングの女子が困惑気味に真田さんの腕を引いた。
「なんで? サナもユリカも気になるでしょ?」
天然なのか、真田さんは無邪気と言える仕草で首を傾げた。
ツインテールにした髪と、髪に括った赤いリボンが動きに合わせて揺れる。
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