萌やし屋シリーズ4 異世界召喚されたがギフトは無いし何をしたらいいのかも聞かされていないんだが 第一部

戸ケ苫 嵐

文字の大きさ
11 / 58

第十話 “見つけました”だったんだ!

しおりを挟む
 入浴後、魔法石が俺に使えるかどうか試したところ、使えるには使えるが、火加減の調節は一切できないことがわかった。
 俺が使えないなら、多分街の人々にも調節はできないだろう。

「ウチが使うんなら、“ゆっくり燃えろ”とか“爆発せえ”とか、使うときに決めたらええんやけど、魔法使えんモンは、最初に決めた使い方でしか使えんのやな」
「そもそも、魔法石を作ることはミスズさんにしかできないのだから、魔法を使えるとしても、火加減調節ができるとは思えないな」

「ああ!」
 パチンと手を打つ。
「それもそうやな。ウチ凄いやん!」
 今更か。

「逆転の発想だ。使うとき決められんのなら、客が最も使いやすい設定に、ミスズさんが決めておいたらいいだろう?」
「それはそうやけど、それが難いやん。なんにしといたらええのん?」
「それは、アレだよ…」
 設定について口にしようとした俺を、ミスズが制した。

「おっちゃんちょい待ち! シカバネや!」
「しかばね? 動死体みたいなものか?」
 この世界は中世ヨーロッパ風だから、基本土葬だろう。
 墓穴は手掘りだろうから、それほど深くは埋められていないと想像できる。
 動死体は普通にいそうだ。
 トニカクとかならまだしも、人間の死体というのは気が滅入る。

「動死体? なに言うてんの、シカバネ言うたやん。鹿や、鹿!」
「…鹿?」
 俺が疑問を口にした瞬間、藪の中から大き目の塊が飛び出してきた。
それはまさに鹿だった。
 しかし、俺が知っている鹿と違い、後足が螺旋状になっていた。

「…これが、シカバネ?」
シカバネに対して剣を構える。
「…シカバネ…って、鹿発条だって? なんで日本…」
 気が逸れたのに気付かれたのか、シカバネが大きな角を翳して突っ込んできた。
 考える暇くらい与えて欲しいぜ。

「おい、ちょっと待てよ!」
 剣を構えなおして、シカバネ目掛けてまっすぐ突き込む。
 正確にシカバネの心臓を貫いたものの、野生動物は心臓が止まっても少しの間は動くということを忘れていた。

 シカバネは剣が刺さったまま突進を続け、俺は角を頭に食らってしまい、相打ちで昏倒した。
「…ううむ、痛てて」
 気がついたとき、ミスズが俺の顔を覗き込んでいた。
 どうやら青い石を使ってくれたようだ。

「大丈夫かいな、おっちゃん? これで治らんかったら、街の治療師に行くしかないで?」
「ありがとう、どうやら大丈夫らしい。…あれ? 何か重要なことに気がついた気がするんだが、ミスズさん知らないか?」
「そんなん知るかいな!」
「だよな…」

 翌日、俺たちは街に行って広場で魔法石の使い方を披露し、大量の試供品をばらまいた。
 設定した使い方は“ゆっくり燃える”である。
 鍋に食材と一緒に入れれば、あとは放置しておくだけで煮込み料理ができるし、時間はかかるが百リットル程度の風呂も沸かせる。

 暴発などしていないことを祈りつつ、数日後にもう一度訪れてみたところ、俺たちはいきなり、薪の取り扱い業者数人に詰め寄られた。

「ゴルァ! ウチの商売の邪魔してんじゃねぇ!」
「はぁ? 別にウチらは薪売ってるわけやないし、ぜんぜん違うもんやし」

「ウチの商品と使い途がカチ合ってんだよ!」
「だからなんや? 営業努力くらいせぇや、ベロベロバー!」

「こ、こんな危なそうなモン、ばらまいてんじゃねぇ!」
「危ないってどこがや? 事故でも起こったんか? いつ? どこで? 何時何分何秒?」

「お、起こってねぇけどよ、便利すぎんだろ…」
「へぇえ、便利なもん売ったら怒られるん? 怖ぁ。バーリア!」

 薪業者とミスズのやり取りを聞いていて、俺は“やはりこの子は、小学生時代にこっちに来たんだなぁ”と、噴出しそうになった。
 しかし、いざというときにはミスズを護れるよう、注意は欠かしてはいない。

「あれ…?」
 そのとき俺は、ものすごい違和感を覚えた。
 今ミスズは、この国の人間と話している。
 つまりサルトーレスの言葉で会話している筈なのに、どうして話し相手の言葉まで俺に分かるのだろう?

 もしかしたらミスズは、俺にこの国の言葉を覚えさせるため、最初からこちらの言葉を喋っていたのか?
 いや、ミスズはずっと日本語で話していたはずだ。
 なぜなら、こちらの言葉は最初は分からなかった。
 そうだ。”あの女”が言った言葉も、最初は分からなかった。

「…分かったぞ! “見つけました”だったんだ!」
 と、俺からミスズに。

「ああ? なにを見つけやがったんでぇ木偶の坊がぁ!」
 と、薪業者から俺に。

「うっさいな! いきなり大声出すなや! えんがちょ!」
 と、ミスズから薪業者に。
 
 会話の三すくみ状態になってしまった。

「あーっ! せっかく新しい事実が判明したってのに!」
 俺は叫んで、ミスズを小脇に抱えて走り出した。

 路地に走り込んでミスズを下ろす。
「急にどないしたんや、なにを見つけたんやおっちゃん?」
「なぜかさっき、急にこっちの言葉が分かるようになったんだよ。こっちに来る直前に見た女は、“見つけました”と言ったんだ!」

「そういうたら、さっきも薪屋とこっちの言葉で話してたな。けど、なんでそんなことが急に分かったん?」
「…それが、急に分かったから分かったとしか言えない。さっきのミスズさんと薪屋の話もちゃんと分かった」

「なんやそれ! ウチがこっちの言葉覚えんのに、どんだけかかったと思うてんねん?」
「ど、どれだけかかったんだ?」
「ん…まぁ忘れてしもたけどもな」
「んが」
 忘れたのかよ! 

 とは言え、いきなり街に行って覚えるようなことはできなかっただろうし、ミスズというガイドが居た俺の場合とは比べられないな。
「けど、見つけたっちゅうのは、おっちゃんを見つけたってことやろ?」
 憧憬のまなざしで俺を見つめるミスズ。
「ちゅーことは、やっぱりおっちゃんは、こっちに呼ばれた人なんやな!」
 
「…だとしても、必要だから呼ばれたのだろうに、俺は未だになにもできていない。今やろうとしている魔法石販売も、呼ばれた目的からしたら恐らくズレている」
「なに言うてんの。手ぶらじゃ戦えんし、戦うんやったら準備いるやん? 準備にはお金がかかるやん? お金はなんぼあっても困らんやん? ほらな、なんの問題もあらへんわ」

 眼からウロコが落ちるとはこのことか。
「はは…。ミスズさんは凄いな」
「あ、今鼻で笑ったやろ?」
「違うよ。感心してるんだ。ミスズさんは本当に凄いよ」

 “ミスズさん”と、“さん”付けで呼ぶのは、最初は“一応この世界では先輩だし”という礼儀であったし、続けていたのは惰性のようなものだった。
 しかし今は、誰にも頼らず生きてきた少女に、掛け値なしの尊敬の念を抱き、心から敬称を付けようと思えるのだった。

 結局、魔法石の販売価格は、熱量換算で薪より一割程度高く設定した。
 薪より高くしたのは、魔法石が便利すぎるため、同程度かそれ以下の価格だと、薪業者と軋轢を生むことが眼に見えているからだ。

 というか、既に第一回戦は行われてしまったので、これ以上こじれないように、という願いを込めてのことである。
 そういったわけで、これについては薪業者と文書を交わすことにしたが、曲がりなりにも、文書が効力を持つ社会でよかった。

 ちなみに熱量換算は、同じ量の水を沸騰させるという方法で行ったが、外から炙る薪と、中から熱する魔法石では熱効率が違う。
 これはちょっとずるかったかもしれない。
 
「おっちゃん! いちいち街行ったり、ここ戻ったりすんのしんどいから、街に家を借りようや!」
 ふたりして川原で魚を捌いていると、ミスズがいきなり立ち上がって叫んだ。
 魚を握りつぶさん勢いで、鼻息も荒い。

「ちょっと待て、まだ魔石が売れたわけじゃないのに、そんなに先走ってもいいものだろうか?」
 長く続いていた会社が、新規事業に投資しすぎて倒産するのはよくあることだ。
「売ろう言うたんはおっちゃんやん」

 呆れ口調で答えを返したミスズは、途中から諭すような口調になった。
「大丈夫やて、絶対売れるって。自信持ちーな」
「結論を急ぐなミスズさん。魚や薬草の持込みを続けるのなら、ここに居たほうが都合がいいと思うが、これもやめるのか?」
 自分が下処理していた魚を、ミスズの前に示した。

「んー…」
 少し考えたミスズは、吐き出すように続けた。
「干物売っててもたいしたゼニにならんから貯まらんし、おっちゃん呼んだ人にも会えんやろ。こんなじゃ帰るんがいつになるか分からんやん。もう止めや。やめやめ」
 そう言いながらも、ミスズは俺から受け取った魚を手早く開いた。

「まぁ、そう言われればそうだな」
「安い家ならしばらくは大丈夫やから、その間になんとかしよーや」
「ミスズさんの意志が固いなら反対はしないが…」
「おっちゃんも、ガタイに似合わんと気にしぃやなぁ?」
 腰に手を当てて、大げさにため息をつくミスズ。

「呼んだ人こっちから探し回っても、見つけられるとは限らんやん」
人差し指を立てて、俺に迫る。
「考え方を変えてみ? 変な二人組が妙なもん売ってるって有名なったら、向こうから来てくれるわ」

 ミスズが言っていることは分かる。
 分かるのに納得できないという気持ちの悪い状態なのだ。
「…すまんな。向こうではとりあえず殴り合うような生活をしていたのに、最近の弱気な言動は、自分でも変だと思っている。気にしても仕方のないことは気にする必要はないと分かってはいるが、つい…」

「うーん、全然分からんな」
 ミスズは考え込むように、顎に曲げた人差し指を当てていたが、思いついたようにピンと立てた。

「…ああ! 急に言葉が分かるようになったのと、関係あるんやろかな?」
「うむ。関係あるのかも知れんが、ないのかも知れん」
「弱気やなぁ」
 以前なら、薪業者との文書交付についても、こちらに非がなければ力尽くで黙らせていただろうに。やはりこちらに来てからの自分はおかしい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...