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すれ違いの話
猿とお友達
今日も、昨日に続いて雨が降っていた。
昨日よりは激しくないが、地雨が降り注いでいる、
幸に借りた傘を差して、
登校用の鞄と、別に紙袋に、幸から借りた服を、綺麗に洗って折り畳んで入れている。
放課後、幸に渡す紙袋が、雨に濡れないように保守しながら、登校する。
「…はよ、小鳥遊」
下駄箱で、靴を履き変えようとしていたところで、気まずそうな後藤に挨拶をされた。
後藤の後ろにいた……
たしか、江南と近藤は、話しかけたことに驚いているのか、俺と後藤を交互に見つめて固まっている。
…なんで気まずそうにしているのに、話しかけるんだ。
「…おはよ、」
俺は適当に挨拶を交わして、靴を履き替えると教室に向けて歩き出した。
…朝から登校するのは、久しぶりだった。
少し前から、朝、数分遅刻すると、
教室には向かわず、保健室に直行していた。
…だが!俺は!
今日から、真面目に学校に通おうと思う!
教室にも行って、授業受けて、
…人と関わる!
逃げ続けてても、何も手に入らないのだ!
俺は、全員と向き合うと決めたのだから!
千透星くんは明日から登校が許可されている、千透星くんは学校に来たら、
また何か彼の中の爆弾を、なにかの弾みで、爆発させて、俺に危害を加えようとするだろう…
それまでに俺は、教室に馴染もうと思う、
つまり今日の1日でどうにかするって訳だ!
……無理?
それでも、俺はしなならんのだよ!(泣
千透星くんの思惑、
千尋から俺ごと、全てを奪って、不幸にするなんて…
そんなこと、俺がさせない、
…まぁ、彼は元々、不真面目な性格で、好んで学校に来るような人ではないから、この停学を気に来ないかもしれない…
彼が学校に来るかどうかも知らないけど、(なるべく来て欲しくない)…俺は来たとしても千透星くんを避けようと思う。
だから、教室に馴染んで、俺の護衛を付けたいわけなんだけど…
この様子じゃ……無理だよなぁ……
朝、教室に入って、すぐそこの自分の席を見たところ…
人の物置にされている……
机の上と席には、
見覚えのない名前が書かれた、誰かの体操着や教科書、
机の中はプリントだらけだ。
机の中は俺が来なかったから、仕方ないとしても…この体操着や教科書は、どうすればいいんだ……
退かすにも何処に?
知らない人の体操着を持ち、座るにも座れず、俺の席に近いドア付近で、突っ立っていると、
後ろから、誰かに後ろから肩を押された。
よろけて、後ろを見ると、
…多分、クラスメイトだった。
「あ、ごめーん…!小鳥遊、来てたんだ」
ドア付近で突っ立ってて、邪魔だっただろうか、クラスメイトに謝ると、
クラスメイトは俺の手に持っている体操着を見た、
「はっ…?何勝手に持ってんだよ!汚ねー!…触んなっ!」
すると、すごい勢いで、クラスメイトは俺から体操着を取った。
「あ…それ、君のだったの、」
「そーだよ!何、勝手に触ってんだ!」
…なんだと?
お前が人の席に勝手に置いてたのが悪いんじゃないのか?それで、汚ねーとはなんだ、ふざけたことを抜かしやがる。
と、心中で思っていても、クラスメイトと向き合おうと思った俺は、強く言える訳もなく…
「ごめん…」
結局のところ、謝っているわけで、
俺は、申し訳なさそうに謝るフリをしたら、微かにクラスメイトの口角が上がった気がした。
「ほんと、性病移るからやめろよな!」
と言って、目の前のクラスメイトは笑う、
…なんの事を言っているのか、分からず、固まっていると、目の前の奴は続けて口を開いた。
「お前、"あのビッチ"と仲良いんだろ?…ヤれて良かったな!まぁ、お前も病気だろうけど!」
「あのビッチ…?」
「…はっ、シラを切るなよ、須藤千尋の事だよ!」
目の前の奴の言っている事を、理解した途端、怒りがふつふつと湧き上がってくる。
…ビッチ?
性病だなんだと、千尋のことを言っているんだよな…
千尋が、先輩と揉めた後、授業をサボっていたことが、不思議だった。
もしかして、あの一件でいじめられている…なんてことがある、かもしれない、
千尋のこと、何も知らないくせに、
目の前の奴をぶん殴りたくなった。
だから、拳に力を込めた。
「ふざけ__」
その時だった、目の前の奴が、
…急に前に倒れ込んだ。
俺は、間一髪で倒れ込んでくるのを避けると、クラスメイトを後ろから倒したであろう、奴と目が合った。
……そこには、後藤達がいた。
後藤は、俺から目をそらすと、
前から倒れ込んで、手をついたのか、四つん這いのクラスメイトに声をかける
「てめー…なんも知らねーくせに、とやかく言ってんじゃねーぞ!」
後藤は、そう怒鳴ると、
四つん這いのクラスメイトの尻を蹴り、ふん、と鼻を鳴らして、自身の席まで歩いていく、
クラスメイトは顔を真っ赤にして、前の扉から出ていった。
それを、ぼーっと見つめていると、同様、呆然としていた、江南と近藤と目が合った。
「なんか…後藤が、ごめんな、」
近藤はそう言って謝ると、江南を引きずって後藤の席まで歩いていった。
……一連の流れを理解しても、何が起こったのか、分からない。
後藤、なぜお前がキレる。
よく分からない、と首を傾げてた。
……まぁ、けど、机の上の物が無くなったから良かったな…
昼休みまで、俺はよく耐えた。
何に耐えたかって?
……後藤の視線にだよ!!
後藤は、何故か俺を見つめてくる、
何時ぞやの千透星くんみたく、授業中とかも、そんな後藤に江南も近藤も困惑しているようで、俺と同じ表情をしていた。
それで、今、昼休みになって、他の教室に行こうとしているのも着けられている。
危害を加えてないけど…
迷惑……なのか?いや、迷惑だ、
だって、何を考えてるのか分からず、気が削がれるんだから…
着けられていることも分かって、廊下を歩く速度が少し早くなる、
俺は…大切な用事があるのに…それまで、盗み聞きや何かされたら、たまったもんじゃない…
はやく……行かないと、
千尋の教室に、
あの…告白の返事をするためだ。
というか、そもそも千尋は来ているだろうか、今日まだ見ていない。
それか、保健室かもしれない、
俺は、千尋の気持ちに真っ直ぐと答えるために、一旦、後藤の事は気にせず、千尋のクラスの教室の前まで行った。
ぐるりと教室を見渡すと、
…どこにも居ない、
あの、一際目立つ長髪が居ない、
どこにいるんだ…保健室か…?
と、諦めて、
保健室に行こうとしたところで…
何者かに肩を叩かれた。
振り向くと、そこには知らない人……
「よっ、洸人」
ではない、
どう考えても、
この声も顔立ちも、千尋だ。
…短髪だけど、
「髪…切ったの?」
「うん、似合ってる?」
ニッと微笑み、そう聞く千尋に、
小さく、頷くと、
千尋は少し目を見開いて、頬を赤らめた。
「えっと……僕に何か用かな?」
「あ…そ、そうだよ」
千尋は、なんの事か分かったのか、間を持って、うん、と頷いた。
「…ここじゃあれだし、どっか人気のないところ…」
そう言うと、千尋は後ろ手に弁当を持っていたらしく、それを前に出して、
俺に見せつけると
「…ついでに、一緒にお昼食べよ!」
笑顔で、千尋は言った。
屋上、
俺にとっちゃ、酸っぱすぎる思い出しかない。
そこで、俺たちは昼を食べることになった、
出来れば、どこか他の場所が良かったが、どこも人が多くて、渋々、ここになった。
千尋は、慣れた手つきで、壊れかけのドアを鍵なしに開けた。
ドアを閉めて座り込むと、目が合った。
「ふふっ、なんだか、久しぶりだね」
千尋の声は少し低くなっていて、顔つきも前よりか穏やかだ。
それで、じっと見すぎただろうか…
少し恥ずかしい。
「…そう、かな」
「うん、告白ぶり」
俺に、笑いかけながら、そう言う千尋に、目を見開いて見つめてしまう。
今…すぐ、言わないと、
返事をするんだ。
もう決まってる、
俺の気持ちも分かったんだから、
「千尋…俺は…」
俺の気持ちは__
言おうとしたところで、すかさず、千尋が俺の唇に人差し指を当てた。
「ねぇ…もう分かってるよ、答えなんて、」
千尋は目を細めていて、そんな悟ったような表情に、口を開けない…
「だからさ…」
「"友達"……じゃ、ダメ?」
表情が引き攣りながらも、微笑む、千尋、
……俺は___
「それ、俺も言おうと、思ってた!」
「……へ?」
千尋は、目を見開いて、間抜けな声を出した。
「いや、千尋が良いのかなって…俺、"友達として"…千尋のこと好きだし…それで、そう言いたかったんだけど、申し訳なくて…」
「すっ…き…」
千尋は…顔を真っ赤にして、俺から目を逸らしてしまう、口を手で覆っていて、どんな表情かは、分からない。
横目で俺を睨むと、千尋は俯いて、項垂れた。
数秒経って、顔をあげる。
「分かった…うん、じゃあ、友達らしく…お昼食べよう!」
「友達らしく…!!」
その言葉に思わず感動してしまう。
"友達"
俺には、小学校中学年から、中学生まで、千透星くんに支配されていたので、そう呼べる人物などいなかったのだ。
トモダチ、という言葉はなんて響きがよくて、耳心地が良いのだろうか、これだけで寝れる。
そんな俺を、千尋は怪訝そうに見つめた。
「何…どうしたの、洸人…」
「友達出来てッ…嬉しい…」
感動した!と言うと、千尋は、なにか思うところがあったのか、眉間に皺を寄せるが、それは一瞬で微笑みに変わった。
「そうね~…じゃあ、もっと友達作ろっか、」
「え!…もっと作れるんですか!?」
口に手を当てて、感動!としていると、千尋は唐突に立ち上がり、後ろにあったドアを開けた。
「洸人は…やっぱり盗み聞きする…猿は、友達には、嫌?」
「はっ!?…誰が猿だとぉ!?」
「ちょっ…後藤、静かにしろ!」
「あーあー……」
扉の先には…
いつものメンツ、後藤と江南と近藤がいた。
……すっかり忘れてた、そうだ、コイツらに着けられてたんだった。
頭に手を当てて、大きくため息を着いた。
「洸人、コイツらって…洸人と揉めた奴…」
「えっ、千尋知ってんの?」
「いや…うん、見てたからね、あの悲鳴、僕だよ」
驚愕の事実、
けど、確かにあの悲鳴が千尋だと、言われれば納得ができる。
なんか、聞き覚えがあると思っていたんだ。
それに、俺が千透星くんの事を好きだと知っていたのも、すべて、あの俺の…
『いじめられるなら__』
俺は、羞恥心から、自分の決めゼリフの脳内再生をストップした。
…そんなことより、まずは、後藤たちをどうにかしなければ……
「あのさ…後藤、今日ずっと俺のこと見てるよね?」
「じっ…自意識過剰だし!」
後藤は、勢いよく否定するが、後ろにいる江南と近藤が、"見てた"と口パクで教えてくれた。
「けど、俺のことつけて来て、屋上来たんでしょ、なんで盗み聞きしてんの?」
「いや…あの、それは…」
……なんだ?やましい事でもあるのか?
もしかして___
「…神宮寺千透星の、差し金?」
千尋が、後藤達を鋭く睨んだ。
「アンタら、元々、神宮寺と一緒に洸人の事いじめてた奴でしょ?…じゃないと、こんな盗み聞きするなんて、おかしいでしょ」
千尋は、察しがいいみたいだ。
…千透星くんは、後藤達に、俺について探りを入れろ、と脅していた。
「どうなんだよ、後藤。」
「…それは違う!ただ、小鳥遊が…首に怪我してたから…千透星に、何かされたのかって…」
首……?
俺は自分の首筋に手を当てた。
……治療した後、痛みもなくなって、忘れていたんだ。
その時、急激に体温が上がる。
コイツら、もう察しているのか、
恥ずかしくなって死にたくなってきた、
すると、江南が手を挙げる
「……なぁ、小鳥遊、後藤が言ってるのは一応本当な、こいつなりに、心配してて…」
ちょっと解釈は違うけどな、と意味深な言葉を言う。
心配…?
後藤、俺の事心配なのか……?
朝、俺のことを…仮にも、助けたとしよう、それは、心配でしたのか?
『てめー、なんも知らねーくせに、とやかく言うんじゃねーよ!』
「…けど、後藤、俺に殴られたこと大々的に言いふらしたよな」
思わず、真顔でツッコんだ。
「それは…聞かれたから…」
後藤は、シュン…と俯いてしまった、
そんな、後藤の頭を江南が撫でていた。
「…どーゆー事、洸人も含めて、アンタら、神宮寺と、なんかあったの?」
千尋は、怪訝そうに俺らを見つめた。
……千尋には、またちゃんと、話す必要がありそうだ。
昨日よりは激しくないが、地雨が降り注いでいる、
幸に借りた傘を差して、
登校用の鞄と、別に紙袋に、幸から借りた服を、綺麗に洗って折り畳んで入れている。
放課後、幸に渡す紙袋が、雨に濡れないように保守しながら、登校する。
「…はよ、小鳥遊」
下駄箱で、靴を履き変えようとしていたところで、気まずそうな後藤に挨拶をされた。
後藤の後ろにいた……
たしか、江南と近藤は、話しかけたことに驚いているのか、俺と後藤を交互に見つめて固まっている。
…なんで気まずそうにしているのに、話しかけるんだ。
「…おはよ、」
俺は適当に挨拶を交わして、靴を履き替えると教室に向けて歩き出した。
…朝から登校するのは、久しぶりだった。
少し前から、朝、数分遅刻すると、
教室には向かわず、保健室に直行していた。
…だが!俺は!
今日から、真面目に学校に通おうと思う!
教室にも行って、授業受けて、
…人と関わる!
逃げ続けてても、何も手に入らないのだ!
俺は、全員と向き合うと決めたのだから!
千透星くんは明日から登校が許可されている、千透星くんは学校に来たら、
また何か彼の中の爆弾を、なにかの弾みで、爆発させて、俺に危害を加えようとするだろう…
それまでに俺は、教室に馴染もうと思う、
つまり今日の1日でどうにかするって訳だ!
……無理?
それでも、俺はしなならんのだよ!(泣
千透星くんの思惑、
千尋から俺ごと、全てを奪って、不幸にするなんて…
そんなこと、俺がさせない、
…まぁ、彼は元々、不真面目な性格で、好んで学校に来るような人ではないから、この停学を気に来ないかもしれない…
彼が学校に来るかどうかも知らないけど、(なるべく来て欲しくない)…俺は来たとしても千透星くんを避けようと思う。
だから、教室に馴染んで、俺の護衛を付けたいわけなんだけど…
この様子じゃ……無理だよなぁ……
朝、教室に入って、すぐそこの自分の席を見たところ…
人の物置にされている……
机の上と席には、
見覚えのない名前が書かれた、誰かの体操着や教科書、
机の中はプリントだらけだ。
机の中は俺が来なかったから、仕方ないとしても…この体操着や教科書は、どうすればいいんだ……
退かすにも何処に?
知らない人の体操着を持ち、座るにも座れず、俺の席に近いドア付近で、突っ立っていると、
後ろから、誰かに後ろから肩を押された。
よろけて、後ろを見ると、
…多分、クラスメイトだった。
「あ、ごめーん…!小鳥遊、来てたんだ」
ドア付近で突っ立ってて、邪魔だっただろうか、クラスメイトに謝ると、
クラスメイトは俺の手に持っている体操着を見た、
「はっ…?何勝手に持ってんだよ!汚ねー!…触んなっ!」
すると、すごい勢いで、クラスメイトは俺から体操着を取った。
「あ…それ、君のだったの、」
「そーだよ!何、勝手に触ってんだ!」
…なんだと?
お前が人の席に勝手に置いてたのが悪いんじゃないのか?それで、汚ねーとはなんだ、ふざけたことを抜かしやがる。
と、心中で思っていても、クラスメイトと向き合おうと思った俺は、強く言える訳もなく…
「ごめん…」
結局のところ、謝っているわけで、
俺は、申し訳なさそうに謝るフリをしたら、微かにクラスメイトの口角が上がった気がした。
「ほんと、性病移るからやめろよな!」
と言って、目の前のクラスメイトは笑う、
…なんの事を言っているのか、分からず、固まっていると、目の前の奴は続けて口を開いた。
「お前、"あのビッチ"と仲良いんだろ?…ヤれて良かったな!まぁ、お前も病気だろうけど!」
「あのビッチ…?」
「…はっ、シラを切るなよ、須藤千尋の事だよ!」
目の前の奴の言っている事を、理解した途端、怒りがふつふつと湧き上がってくる。
…ビッチ?
性病だなんだと、千尋のことを言っているんだよな…
千尋が、先輩と揉めた後、授業をサボっていたことが、不思議だった。
もしかして、あの一件でいじめられている…なんてことがある、かもしれない、
千尋のこと、何も知らないくせに、
目の前の奴をぶん殴りたくなった。
だから、拳に力を込めた。
「ふざけ__」
その時だった、目の前の奴が、
…急に前に倒れ込んだ。
俺は、間一髪で倒れ込んでくるのを避けると、クラスメイトを後ろから倒したであろう、奴と目が合った。
……そこには、後藤達がいた。
後藤は、俺から目をそらすと、
前から倒れ込んで、手をついたのか、四つん這いのクラスメイトに声をかける
「てめー…なんも知らねーくせに、とやかく言ってんじゃねーぞ!」
後藤は、そう怒鳴ると、
四つん這いのクラスメイトの尻を蹴り、ふん、と鼻を鳴らして、自身の席まで歩いていく、
クラスメイトは顔を真っ赤にして、前の扉から出ていった。
それを、ぼーっと見つめていると、同様、呆然としていた、江南と近藤と目が合った。
「なんか…後藤が、ごめんな、」
近藤はそう言って謝ると、江南を引きずって後藤の席まで歩いていった。
……一連の流れを理解しても、何が起こったのか、分からない。
後藤、なぜお前がキレる。
よく分からない、と首を傾げてた。
……まぁ、けど、机の上の物が無くなったから良かったな…
昼休みまで、俺はよく耐えた。
何に耐えたかって?
……後藤の視線にだよ!!
後藤は、何故か俺を見つめてくる、
何時ぞやの千透星くんみたく、授業中とかも、そんな後藤に江南も近藤も困惑しているようで、俺と同じ表情をしていた。
それで、今、昼休みになって、他の教室に行こうとしているのも着けられている。
危害を加えてないけど…
迷惑……なのか?いや、迷惑だ、
だって、何を考えてるのか分からず、気が削がれるんだから…
着けられていることも分かって、廊下を歩く速度が少し早くなる、
俺は…大切な用事があるのに…それまで、盗み聞きや何かされたら、たまったもんじゃない…
はやく……行かないと、
千尋の教室に、
あの…告白の返事をするためだ。
というか、そもそも千尋は来ているだろうか、今日まだ見ていない。
それか、保健室かもしれない、
俺は、千尋の気持ちに真っ直ぐと答えるために、一旦、後藤の事は気にせず、千尋のクラスの教室の前まで行った。
ぐるりと教室を見渡すと、
…どこにも居ない、
あの、一際目立つ長髪が居ない、
どこにいるんだ…保健室か…?
と、諦めて、
保健室に行こうとしたところで…
何者かに肩を叩かれた。
振り向くと、そこには知らない人……
「よっ、洸人」
ではない、
どう考えても、
この声も顔立ちも、千尋だ。
…短髪だけど、
「髪…切ったの?」
「うん、似合ってる?」
ニッと微笑み、そう聞く千尋に、
小さく、頷くと、
千尋は少し目を見開いて、頬を赤らめた。
「えっと……僕に何か用かな?」
「あ…そ、そうだよ」
千尋は、なんの事か分かったのか、間を持って、うん、と頷いた。
「…ここじゃあれだし、どっか人気のないところ…」
そう言うと、千尋は後ろ手に弁当を持っていたらしく、それを前に出して、
俺に見せつけると
「…ついでに、一緒にお昼食べよ!」
笑顔で、千尋は言った。
屋上、
俺にとっちゃ、酸っぱすぎる思い出しかない。
そこで、俺たちは昼を食べることになった、
出来れば、どこか他の場所が良かったが、どこも人が多くて、渋々、ここになった。
千尋は、慣れた手つきで、壊れかけのドアを鍵なしに開けた。
ドアを閉めて座り込むと、目が合った。
「ふふっ、なんだか、久しぶりだね」
千尋の声は少し低くなっていて、顔つきも前よりか穏やかだ。
それで、じっと見すぎただろうか…
少し恥ずかしい。
「…そう、かな」
「うん、告白ぶり」
俺に、笑いかけながら、そう言う千尋に、目を見開いて見つめてしまう。
今…すぐ、言わないと、
返事をするんだ。
もう決まってる、
俺の気持ちも分かったんだから、
「千尋…俺は…」
俺の気持ちは__
言おうとしたところで、すかさず、千尋が俺の唇に人差し指を当てた。
「ねぇ…もう分かってるよ、答えなんて、」
千尋は目を細めていて、そんな悟ったような表情に、口を開けない…
「だからさ…」
「"友達"……じゃ、ダメ?」
表情が引き攣りながらも、微笑む、千尋、
……俺は___
「それ、俺も言おうと、思ってた!」
「……へ?」
千尋は、目を見開いて、間抜けな声を出した。
「いや、千尋が良いのかなって…俺、"友達として"…千尋のこと好きだし…それで、そう言いたかったんだけど、申し訳なくて…」
「すっ…き…」
千尋は…顔を真っ赤にして、俺から目を逸らしてしまう、口を手で覆っていて、どんな表情かは、分からない。
横目で俺を睨むと、千尋は俯いて、項垂れた。
数秒経って、顔をあげる。
「分かった…うん、じゃあ、友達らしく…お昼食べよう!」
「友達らしく…!!」
その言葉に思わず感動してしまう。
"友達"
俺には、小学校中学年から、中学生まで、千透星くんに支配されていたので、そう呼べる人物などいなかったのだ。
トモダチ、という言葉はなんて響きがよくて、耳心地が良いのだろうか、これだけで寝れる。
そんな俺を、千尋は怪訝そうに見つめた。
「何…どうしたの、洸人…」
「友達出来てッ…嬉しい…」
感動した!と言うと、千尋は、なにか思うところがあったのか、眉間に皺を寄せるが、それは一瞬で微笑みに変わった。
「そうね~…じゃあ、もっと友達作ろっか、」
「え!…もっと作れるんですか!?」
口に手を当てて、感動!としていると、千尋は唐突に立ち上がり、後ろにあったドアを開けた。
「洸人は…やっぱり盗み聞きする…猿は、友達には、嫌?」
「はっ!?…誰が猿だとぉ!?」
「ちょっ…後藤、静かにしろ!」
「あーあー……」
扉の先には…
いつものメンツ、後藤と江南と近藤がいた。
……すっかり忘れてた、そうだ、コイツらに着けられてたんだった。
頭に手を当てて、大きくため息を着いた。
「洸人、コイツらって…洸人と揉めた奴…」
「えっ、千尋知ってんの?」
「いや…うん、見てたからね、あの悲鳴、僕だよ」
驚愕の事実、
けど、確かにあの悲鳴が千尋だと、言われれば納得ができる。
なんか、聞き覚えがあると思っていたんだ。
それに、俺が千透星くんの事を好きだと知っていたのも、すべて、あの俺の…
『いじめられるなら__』
俺は、羞恥心から、自分の決めゼリフの脳内再生をストップした。
…そんなことより、まずは、後藤たちをどうにかしなければ……
「あのさ…後藤、今日ずっと俺のこと見てるよね?」
「じっ…自意識過剰だし!」
後藤は、勢いよく否定するが、後ろにいる江南と近藤が、"見てた"と口パクで教えてくれた。
「けど、俺のことつけて来て、屋上来たんでしょ、なんで盗み聞きしてんの?」
「いや…あの、それは…」
……なんだ?やましい事でもあるのか?
もしかして___
「…神宮寺千透星の、差し金?」
千尋が、後藤達を鋭く睨んだ。
「アンタら、元々、神宮寺と一緒に洸人の事いじめてた奴でしょ?…じゃないと、こんな盗み聞きするなんて、おかしいでしょ」
千尋は、察しがいいみたいだ。
…千透星くんは、後藤達に、俺について探りを入れろ、と脅していた。
「どうなんだよ、後藤。」
「…それは違う!ただ、小鳥遊が…首に怪我してたから…千透星に、何かされたのかって…」
首……?
俺は自分の首筋に手を当てた。
……治療した後、痛みもなくなって、忘れていたんだ。
その時、急激に体温が上がる。
コイツら、もう察しているのか、
恥ずかしくなって死にたくなってきた、
すると、江南が手を挙げる
「……なぁ、小鳥遊、後藤が言ってるのは一応本当な、こいつなりに、心配してて…」
ちょっと解釈は違うけどな、と意味深な言葉を言う。
心配…?
後藤、俺の事心配なのか……?
朝、俺のことを…仮にも、助けたとしよう、それは、心配でしたのか?
『てめー、なんも知らねーくせに、とやかく言うんじゃねーよ!』
「…けど、後藤、俺に殴られたこと大々的に言いふらしたよな」
思わず、真顔でツッコんだ。
「それは…聞かれたから…」
後藤は、シュン…と俯いてしまった、
そんな、後藤の頭を江南が撫でていた。
「…どーゆー事、洸人も含めて、アンタら、神宮寺と、なんかあったの?」
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