幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ

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すれ違いの話

付き合ってくれ"そうな"友達





「てことで…俺ら殴られて…」




「……」


全てを、理解した千尋は、絶句していた。


「やっぱ、お前達、和解したとか、変な嘘ついてたんだな…」


「いやー…しゃーないわ、ごめん」


俺が文句を言うと、江南は素直に謝った。

俺たち5人は、屋上で、輪になって話している。千透星くんがヤバすぎて、俺たちは一致団結することにした。

俺は、千尋と俺の間で何があったのかを話した。後藤達も、ここは事実を言った方がいいと判断したのか、千透星くんと何があったのか話してくれた。


「いや!お前もちぃちゃんと何があったのか隠してただろ!」

「いや、それはごめ__」


「アンタらが、僕のこと、ちぃちゃんって呼ばないでくれる?」


謝ろうとした時…
後藤のちぃちゃん呼びに機嫌を悪くしたのか、千尋が後藤を睨んで言った。

沈黙、
皆、そこ…?、となっているだろう。
近藤が沈黙を破るように、ゴホンッと大げさに咳払いをすると、口を開いた。


「俺らも、殴られた時から、千透星のこと怖くて…何されるか分かんねぇから、本当は殴られたこと言うつもりなかったんだけど…まぁ、言ったのは何かの間違いなんだけどな…」


近藤は、後藤の頭を叩く、
後藤は、だってぇ…!と叩かれた頭を押さえた。すると、俺のことを指さす、

「だって!小鳥遊に殴られた時分かったんだよ!お前、強えし、千透星と戦えるのお前だけだって思って……」

「へ?俺?」

「けど…その首の絆創膏…」

俺は、後藤に絆創膏だらけの、首筋を指さされ、首の痕のことを思い出し、恥ずかしくて、そこを手で押えた。


「いや…これは違ッ__」



「千透星と喧嘩して…負った怪我なんだろ?」


後藤は、至って真面目なトーン、神妙な面持ちで言った。

……後藤のバカは、これが、
激闘の末、負った傷に見えるのか?



「……そっ、そうだ!そうなんだよ、後藤!昨日の大雨の中、千透星くんと公園で殴りあって…いやー、首筋を集中的に殴られてぇ…」



「やっぱり…小鳥遊、俺らのために__」


後藤が感動したように、手で口を覆ったところで、


「いや!…そんな訳ないでしょ!?」



すかさず、千尋がツッコんだ。


沈黙……
後藤は…本当にわけがわからないのか、
は?というように、千尋を見つめて呆然としている。
俺は、江南と近藤からの、同情の温かい目が逆に痛くて、思わず目を逸らした。

「…ごっ、ごめん、僕、察してたんだけど…あまりにも、後藤が…馬鹿すぎて……」

千尋は、この空気に青ざめ、やってしまったというように、手を口にやっている。

「は?…馬鹿じゃねーし!」

「そっ…そうだぞ!千尋!……俺ヤッてないから!?」

慌てて弁解すると、
後藤と目が合った。


「やる……?小鳥遊、喧嘩してないのか?」


……終わった___

思わず、後藤の少し大きくて、
澄んだ純粋な目を睨んだ。

コイツ……人の事パシリに使うようなカスのくせになんでそうゆう発想は思い浮かばないんだ……??

後藤の隣にいた江南が、後藤の肩を叩き、後藤の耳元まで顔を近づけた。

微かに、江南が後藤に何かを話しているのが聞こえた。

すると、みるみる後藤の顔が赤くなる。
そして、数秒置いたのち、事情を理解したであろう後藤は、急に青ざめる


「小鳥遊…!お前、掘られてッ…!?」



「だーかーらっ!ヤッてねぇっつの!」

アホか!!と怒鳴ると後藤は怯えるように肩を震わせた。

後藤…威勢はいい癖に、こうゆうところ、本当にめんどくさいな!


後藤を睨み、威嚇していると、
隣から視線を感じて、千尋の方を見る。

千尋は、俺のことをじっと見つめていた。


「…洸人、本当に、ヤッてないの?」


真っ直ぐとした、探るような目線に、思わず怖気付いてしまうが、

俺は、千尋の瞳を真っ直ぐと見つめ返した。

「本っ当に!…ヤッてない!」

そう言うと、千尋は探るように俺の瞳を見つめる、

数秒経って、やっと信じてくれたのか、

千尋は、真顔から、
花が咲くような笑顔を見せた。

「僕、嬉しい!」

不覚にも、それにドキッとしてしまう、
……良かった、
なんでか、よく分かんないけど喜んでる…

まぁ……


「ツギマデニホグセッテイワレタケドネー……」


「…ん?」

早口で、しかも小声で言ったが、千尋の地獄耳には聞こえてしまったようだ。

「…ヒロくん、もう1回、言って?」


「ちゃんと、はっきり、」


千尋は、口の端を釣り上げ、笑顔を浮かべているが、目は笑っていない。
それに、ヒロくん呼び、

あぁ、なんて怖い、
千透星くんとは違うベクトルの怖さ、
いや……下手したら千透星くんより怖いかもしれない。

俺は、恐ろしくも、
恐怖で千尋から目が離せなかった。

そして、震えながらも、俺は口を開いた。










俺は、あの大雨の日に、俺の身に、何があったかを話した。

幸のことも、
……千透星くんに何をされたかも、


「神宮寺、千透星…」


千尋は、話の途中から、
俯き、小声で千透星くんの名前を呟き続けている。

後藤達は、話の内容に、絶句、
話の途中から、千尋のおかしくなっていく様子にもビビり散らかしていた。


「……さなぃ、」


ついには、千尋は呪言でも言い出したのか、確かに千透星くんの名前以外に、何かを呟き出した。


「…え?何?」



「許さないッ……!」


千尋は、唇を噛み締めてそう言うと、勢いよく顔をバッと上げた。

「拉致!軟禁!脅迫!……性加害!…神宮寺のクソ野郎ッ!よりにもよって洸人に手出すとか!」

千尋はそう叫ぶと、
次は、殺す殺すと、呟き始める。
その顔は、さっきの勢いはどこえやら、死んでいる。殺す前に死んでいる。

……こんなに口の悪い千尋は、見た事がなかった。

千透星くんにされたことは、だいぶオブラートに包んで話したが、察しのいい千尋は全て分かってしまったみたいだった。

…後藤(無知)でも分かるように、話したのが悪いかったのだろうか、
話の合間に言葉の意味を聞いてくるような奴だ、後藤は、もう何も知らない方がいいんじゃないか、隔離とかしてね。

それでも……

千尋は…俺のこと本当に、好きなんだな…
なんだか、こうゆうところで実感するのも気持ち悪いが、

俺も未だに、千尋の、勘違い……
なんじゃないか、と思ってしまうところがあった。

それは…俺が、千尋をあの時助けたから……邪な気持ちで、
だから千尋を"勘違い"させてしまったんじゃないかと…

けど、それは杞憂だったみたいだ。


だって、今、俺のため(?)に、物騒な言葉を呟いているんだもの……


「ち…千尋、そんなずっと言ってたら、言霊になっちゃうよ……!」


「何言ってんの洸人……今、言霊になるようにしてんだよ…!!」

……千尋は霊力があるのだろうか、なんか不思議と、近づいちゃいけないようなオーラが見えてきたような気がする。

俺が、千尋に押されていると、それを見ていた後藤が口を開いた。


「須藤さ、千透星にキレてるけど、お前も小鳥遊にッ__」


後藤が何か言い切ろうとしたところで、近藤が後藤の口を勢いよく塞いだ。

……再び、沈黙が訪れる。

後藤の言おうとしたことは、大体分かる、
洸人を、レイプしようとした千透星くんに、ちゃんと怒るとは、さすが千尋(前科あり)(重要)と言いたいのだろう。

後藤は、近藤の手で覆われているのにも関わらず、ギャーギャー喚いている、

俺は先程とは違う意味で怖くて、隣にいる千尋の顔を見れない。

千尋は、"これ"に対してどう思っているのだろうか。

後藤に、怒るか


……それとも、



「ごめん、なさい、」


千尋は、俺の目を真っ直ぐと見つめて、そう言うと、頭を下げた。

……は?



「……いや、」



俺のこれだけの言葉に、
千尋は肩を震わせる、


…違う、いや、そうじゃない。


千尋がどうとかじゃなくて……



「…後藤が言えることじゃないだろ」



お前らが、俺のことパシリに使ってた奴が、言えることじゃない、

……それに、



「千尋を許すも…許さないも、責めるかどうかも、俺がすることだろ……関係のない後藤が言うことじゃない。」



後藤達、外野が、どうこう言う必要はない。
これは、俺と千尋の問題であってだな……

千尋自身に、問題があっても、
俺は千尋がとやかく言われるのは、


むしゃくしゃ、する。


後藤は、さっきまでギャーギャー喚いていたのが、俺の言葉でフリーズしていた。
それを見て、やっと頭が冷えた。


「……きっ」


隣にいる千尋が、何か呟いたのが聞こえて、そちらを見つめた。

「千尋……?」

千尋は、頭を下げたままで、俯いていたのを顔を上げた。


「洸人っ…僕、洸人のこと!」


鼓動が早鐘を打つ。

これはッ……!


「すっ…」

千尋が頬を赤く染め、口を開いた、

……その時、




「すッ…!スゲェ!!」




…近藤に口を押さえられていたはずの後藤が、近藤の腕を無理やり剥がして、

大きく、叫んだ。


「…はっ?」

「いや!小鳥遊、スゲェよお前!…自分に罪を被せようとした相手でも、助けて、それを責めていいのは俺だけだって!あの、殴られた時はただの狂人だと思ってたけど……」


「ヒーロー、みてぇ!」


押せ押せと言わんばかりに、俺に段々と近づき、興奮気味に語る後藤に、むちゃくちゃに押されてしまう。

「なに、なんだよ!近ッ……」

俺と後藤の間に手が入り、やっと後藤は、剥がされた。

「ちょっと!洸人に近づきすぎ!」

千尋が剥がしてくれたのであろう、千尋は威嚇するように、後藤に怒鳴った。

「おい!後藤、興奮しすぎ!」

さらに後藤は、後ろにいた江南と近藤に引っ張られていたのか、近藤も後藤に怒られている、
それに後藤は、困惑するように千尋と近藤達を交互に見つめていた。


「……後藤、俺別にヒーローじゃねぇよ…」


…幸にもこんなことを言われたな、

俺がヒーローとか……
別に、幸を助けたことも覚えていないし、邪な気持ちで千尋のこと助けているんだから……


「…小鳥遊、てか洸人!俺の事、後藤って呼ぶなよ!はじめでいい!…てか呼べ!」


「いや…嫌です、けど…」

「なんでぇよ!俺、お前のこと認めてんのに!」

後藤は、江南達に取り押さえられながらも、俺に話しかける。

人の事、パシリに使うような奴に認められたって、不名誉だ…

後藤の言うことに、いやいやと首を振っていると、……江南と近藤は、信じられないというような顔で俺を見てくる。


その時、予鈴がなった。


「あ…弁当ちょっとしか食べてられてない、」


「そんなん、授業中に食べればいーじゃん!」

「馬鹿か!後藤とはちげーんだよ、」

「あっ!後藤って呼ぶな!」


俺の後を着きながら、うるさく喚く後藤。

……俺は、後藤に気にいられたってことでいいのか?

これは、中々に面倒くさい…と思って後藤を避けて歩いていると、後ろから肩を叩かれた。

「なんだっ…よ……」

振り向くと、江南と近藤がニコリと笑って、こちらを見つめていた、



江南が、俺の耳元に顔を寄せると、一言


「はじめに認められたからって……調子乗んなよ」



江南は…低く、そう言うと、俺の先を歩いた。近藤も俺の肩をポンっと叩くと江南と同じく、先に行ってしまった。



……俺の顔は、今死んでいるのだろう。

呆れて、声も出なかった。

「洸人、どうしたんだよ、何言われたん?」

固まった俺に、後藤は不思議そうに、俺の顔を見つめた。

それに応えるように、後藤の顔をじっくりと見つめる。

……はじめて、ちゃんと後藤の顔を見た気がする。

後藤は……
目が大きくて、少し幼げのある童顔、それに加えて生意気な性格、


…千尋ほどでは無いが、可愛げがある。



……だからかァ!?
俺は、全てを理解した。

いつも、俺をパシリに使う時も、俺を階段に呼び出した時も、後藤が率先していた。


「なぁ、後藤、お前に付き合ってくれる……いや、"そうな"友達でも…大切にしろよ。」


「ハ!?何それ…てか、はじめって__」

俺の言うことなど、気にもとめない様子で、先程と同じように、名前を呼べと後藤は喚く。

それに耳を塞ぎ、教室まで歩く、



「洸人……お人好しすぎ、」



だから、誰かの言葉も、聞こえなかった。



「洸人は、僕と……幸せになるんだから、」



千尋は、洸人を見つめて、小さくそう呟いた。




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