幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ

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すれ違いの話

千尋視点:須藤千尋の初恋




僕は男が好きだ。

そして僕は男、

同性愛者。


それをダメだとか否定的に思ったことは無い、

ただ後悔をしたことがあるだけ。








僕の初恋は男の子だった。
幼馴染、小学校からずっと仲が良くて、
気づいたら好きになってた。


彼の僕にしてくれることは全て特別に見えた


彼はよく、僕のことを可愛いと愛でてくれて、彼の膝の上に乗って後ろからハグをされた時も、
頭を撫でられた時も、

ただのスキンシップを意識してしまうようになった時には、もうダメだと思った。

ドッチボールで守ってくれた時、
消しゴムを拾ってくれた時、
僕に笑顔を見せてくれた時、

しょうもないけど、

まさしく彼は僕の王子様だった。


小学校の卒業式の日、思い切って告白をした。

そしたら、まさかのOK。
彼はいつものような笑顔を僕に向けて、

「“ちぃちゃん“は可愛いからな!」

そう言ってくれた時、どうしようもなく嬉しかった。



その、ニヤッとした意地の悪い笑みが、



大好きだった。



中学生になった頃かな、
彼が“正常“に、なったのは。


思春期なんだから、
異性に関心がいくのは当然だと思う。

それにしても彼は、僕というものがありながら、ある女の子ばっかり構っていた。

ヤキモチを妬いても
“ちぃちゃんは可愛いなぁ“
と、いつものような笑顔を向けてくるだけ、それが気に食わなかった。



別に当てつけじゃなかった。

僕は自分がモテているとか、そうゆう意識が無くて、その、彼が構う女の子に牽制の為に話しかけたら、その子がアッサリ落ちてしまった、僕に。

その子は僕を“ひろくん“と呼んでよく話しかけるようになった。

そんなの、彼は気に食わないだろう。

今思うと、彼は僕のことが好きじゃなかったんだ。
“ちぃちゃん“だったから、
女の子のようで、可愛かったから、
あの笑顔も全てちぃちゃんに向けてだった。

つまり、アイツは僕を舐めていた。

兎にも角にも、アイツは急に僕に別れを切り出してきたのだ。

“男“として千尋に負けている気がする。





千尋とは幸せにはなれない。






なんで、どうして、
ずっと一緒に居るって言ったじゃん、
一生一緒だって、

僕は泣きながら彼に縋り着いた。
顔を上げて、彼の顔を見た時、

彼は笑ってたんだ。

いつものような笑み、
“ちぃちゃん“に見せる笑顔。


なんで今、そうやって笑うの?


その時、
やっとその、

いつものような笑顔の意味がわかった。


彼にとって、ちぃちゃんはずっと女の子で、男の、彼にとって女の子は...

いや、
ちぃちゃんは
ずっと見下す存在だったんだ。




やっぱり、彼は
僕のことを好きじゃなかった。

自室に籠って泣きわめいた、
その時、親に男が好きなことがバレた。

殴られた、

せっかく綺麗に産んでやったのに、

そう言われた。
怒られて、殴られて、
そんなことをされている最中も、僕はひたすらに考えを巡らせていた。

なんでこの人達...親は“正常“でいられたのだろう。

なんで、自分の身体を、自分自身を愛してくれる人に出会えたのだろう。

女である、男である、自分に違和感を感じなかったのだろうか、
僕は...ずっと男であることに違和感を抱いていた。
僕の中の女の子...ちぃちゃんを愛でられ、僕はおかしくなってしまったのだろうか。

「ひろくん、カッコイイね。」

ひろくんと女の子に呼ばれて、やっと僕が男であることを認識できた。

僕の中にも男がいることが分かった。

彼と別れた後も、彼の好きな女の子は僕に付きまとうようになった。
1回だけと懇願されて、彼女と性行為をしたことがあった。

何も、感じなかった。

男として、上手くやろうって、女の子とセックスしたら幸せになれるんだと思っていた。
彼女は僕に失望していたようだった。

僕は、親の言う正常な幸せは手に入らないんだと思った。

それと同時に、
僕は、
誰かに...
ちぃちゃんでもなく、
ひろくんでもなく、

須藤千尋を愛して欲しかった。

幸せになりたかった。









無理矢理、親の反対を押し切って男子校に進学した。
親はもう、僕のことなどどうでもいいようだった。

その年に親が性行為を始めたことで悟った。


僕は男が好きだから、男とセックスしたら幸せになれるのかなって、興味本位でヤッた




事後、男は優しい。

それが何となく、
馬鹿げていて、
僕を見下していた彼への復讐になるようだった。

そして、本当に須藤千尋を認められたのかって錯覚してしまうくらい...

やめられなかった。

でも、それでも、どれだけしても、満たされなかった。誰も、僕を本当に愛してないことを知っているから。

それでも、そうゆう行為をするのは...
男じゃなくなったと思えるからだろうか。

男を操り、手のひらで転がして、
自分の気分次第でどうにだって出来る

僕の中の、女は、酷く醜い。

自分でも矛盾しているのは分かっている。
醜いと思っているのに、女のように振る舞うのはおかしい。

男には皆、
僕をちぃちゃんと呼ばせた、

僕は、僕の中の女の子、ちぃちゃんのフリをする。




そうでもしないと、
自分が保てなかった。










「...俺に、とって...」




「ずっと、千尋は、」




「須藤千尋だったよ。」




洸人が、“僕“を見つめた。
ずっと、前から、そうだった。

洸人を利用しようとした時もあった。
それなのに、洸人は僕を心配だと言った。

ありえない、なんで?

そんな彼が気に食わなくて、僕もムキになってたのかもな。


あの時も、僕はユニコーンに殴られてもしょうがないことをしたと思う。
殴られて当然だ。

僕はもう一生、幸せになれない、




誰といても、
誰も僕とじゃ幸せになれない。





「だから、俺と幸せになってみようよ。」




...コイツは、自分の言っていることを分かっているのだろうか、

まさに、愛の告白。



もう、この時から、洸人の事、
好きだったのかもしれない。

それから、
僕は噂...からユニコーンとの喧嘩のせいでクラスで浮くようになった。

それ自体どうでもいいし、それが不登校になる理由にはならなかったけど、洸人の事を目で追うようになって、アイツは保健室によく行ったり、サボったりすることが分かった。

だから、僕もそうした。


先生と追いかけっこしながら、バレないように洸人に近づいた。


洸人に近づいて、
洸人と話すようになって、




好きだと、思った。









初恋でもないのに、

初めての失恋でもないのに、



大好き、



……今もね、



僕が、"友達として"…なんて、ずるいのは分かってる、けど、
それで、過ごしてく内に、あぁコイツ俺のこと好きなんだ…とか思って、意識してくれればそれでいい。

流石に、洸人があからさまな、首筋の絆創膏を付けて学校に来た時は、内心、ものすごく焦っていたけど、あまりに洸人が絆創膏のことなんて忘れている?気づいてないように接してくるから、もしかして、"そう"ではないんじゃないかと、洸人が話すまで待っていた。

それが……神宮寺千透星の仕業だと知った時は、呪い殺してやろうと……

けど、僕が神宮寺との関係の間に嘘をついて、洸人を巻き込んでしまった部分だってある訳だ。

僕は……
"ちぃちゃん"は、許されない事をした。

けど、彼が…言ってくれた。

僕はやっと、須藤千尋を見つけたんだ。




「洸人は、僕と……幸せになるんだから、」




僕だって、幸せにしてくれなきゃ……



許さないんだから、ね

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