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すれ違いの話
手を絡めて
放課後、
発車ベルがなると同時に、俺は後藤から、逃げるように電車に乗り込んだ。
セーフ……
今頃、後藤達は学校近くの駅のホームで俺を探し回っていることだろう……
後藤は、必要に視線を送ってくることは、無くなった分、俺についてまわるようになった。
移動教室の時も…
休み時間にも!…トイレにですら!!
後藤本人は、俺と友達になりたい……らしいが、俺は当たり前に、人をパシリに使うような奴とは友達になりたくない。
それに……
江南と近藤の視線が痛いのだ。
後藤と友達になったら、殺されそうな……
ヤツらは何を考えてるのか……
"はじめに気に入られたからって、調子乗んなよ"
チョウシノンナ、
そのままの意味だろう、浮かれるなとか、そうゆう、
いや、別に浮かれてねーよ…
そう言ったが……江南と近藤は、そもそも、後藤に気に入られている、俺が気に食わないのか、ふざけるなと、逆ギレしてきた。
パシられてる時も、階段に呼び出された時も、後藤が積極的に、俺に絡んできてて、江南と近藤は、後藤に無理やり付き合わされているのだとばかり思っていたが……
まぁ、後藤が大切にされている…ということだろう、(執着に近い何かを感じたが)
それより……
幸から借りた服を保守できて良かった…
後藤にめっちゃ見られたが、どうにか誤魔化して学校から駅まで走ったかいがあった
後藤に追いかけられ、電車に駆け込み乗車をしたからか、周りの人からは怪訝な目で見られる、
(ちなみに、駆け込み乗車は大変危険なので、真似しない方がいい。)
逃げるように1番奧の号車に乗ったが、よかったかもしれない、人がまばらで少ない。
おかげで端の席に座れた。
無我夢中でずっと走っていたから、疲労が溜まっていることに気づかなかった、
座って、一先ず深呼吸をすると、落ち着くために、目を閉じる。
今日、幸と会って、借りてた服を返す。
…けど、また駅で千透星くんに会ったら?
千透星くんの言う、
"次までに"っていつのこと?
それが不安でしょうがないのだ。
今日、千尋にも千透星くんに会ったことを伝えてしまった。
千透星くんの思い通りに…なんて……
誰も不幸にしたくなかったから、
けど……
千尋が、俺を好きだってことを知ったら、千透星くんはどう思う?
上手くいかないことに怒る?
そして、また何か俺にするんだろうか……
それを考えると、少し震えた。
彼の考えることは、常人には理解が及ばないのだ。
それか……
急に興味を無くすとか、
あぁ、そっか、お前らで勝手に幸せになれよ、みたいな。
…ありえないか?
恨んだ相手は地の果てまで追いかけ回しそうな千透星くんのことだし、思わせぶりな千尋のこと、復讐だなんだと、恨んでいるようだった、
……なぜか、覚えがないが、
千透星くんの事をぐちゃぐちゃにした(?)俺の事も嫌いみたいだし…
今はまだ、怒りの矛先が俺だけに向いてるからいいものの、彼が、千尋に何かしたら…
俺は、千透星くんに怒る……だろう、
そんな自信ないけど。
いや、もし、そんなことになったら……
なんだか、酷くモヤモヤする。
千透星くんは……
本当に、俺の事なんとも、思ってなくて、
千透星くんがいじめるのは…
俺じゃ___
その時、顔を勢いよく上げると、思考をストップさせた。
……今、俺何考えてた?
千尋に嫉妬?……
いやいや、この期に及んでそんな事考えるなんて、バカだ。
あまりに酷すぎる。
思わず、頭を抱えた。
それに、目をつぶって、悶々と考えていたから気づかなかった。
もうあとすぐで、
うちの家からの最寄り駅だ……
どうするんだ、俺、
このまま最寄り駅に着くと、また千透星くんが待ち伏せしていて、今度こそ、奥の奥まで掘られるかもしれない。
それに、自分から後ろの穴に入れるなんて恥ずかしいこと俺には出来なかった。解してないことで殴られるかも……
思わず体を強ばらせると、自分の腕の中にある紙袋に気づいた。
……そっ、そうだ、幸くん!
ポケットからスマホを取り出すと、1件のメッセージが入っていた。
昨日、借りていた服を洗って返すと約束したんだ!
今さっき、幸から、俺の最寄り駅で集合でいいかと連絡が来ていた。
『次は___』
次の駅へと向かう電車でアナウンスが流れる。
そろそろ、俺の家からの最寄り駅の1個手前の駅、幸の家から最も近い駅に着く……
俺は、その時、ある決心をして、スマホで幸にメッセージを打つ。
『俺の最寄りの1個手前で降りるよ、幸はそこで待ってて、』
そのメッセージを送り、電車が完全に停車すると同時に、俺は席から立ち、電車を降りた____
今ではこう思う、
この選択は、正しかったのだろうか。
「洸人~!こっち!」
改札を通ると、幸がこちらに大きく手を振っている。
幸は制服で……
いや、それより、長身でスタイルが良い幸は目立っていたため、すぐ分かった。
そんな幸は、チラチラと周りの人に見られているのも気にとめない様子で…それに加えて、幸の視線の先の俺も見られている、
俺はなるべく、嫌な周りの視線をシャットアウトして、満面の笑みを浮かべる幸の元へと歩いた。
「こんにちは、幸」
「え!なんでそんな堅苦しいの!?」
距離感が分からず、気味の悪い挨拶をしてしまう、それに幸は咎めるように声を出すが、洸人が申し訳なさそうに目を逸らすと、
幸は優しく微笑んだ
「許します!…それより、洸人」
幸は洸人の腕の中に抱えてある紙袋を指さす、洸人は、ハッとしたように紙袋を幸に差し出した。
幸はそれを受け取ると、洸人の真似をするように紙袋を腕の中で抱きしめた。
「洸人は…真面目だな、わざわざ洗って返してくれるなんて、それに俺に合わせて俺の最寄りまで来てくれたんだろ?……ほんとに洸人は昔から俺の"全部"を大切に扱ってくれて…」
「い、いや、こんなの当たり前のことだから!…あの日は、ほんっとうにありがとう!」
心底嬉しそうに語る幸に、洸人は遮るように感謝を述べる。
全部……ってなんだよ!?
俺が守れたものは紙袋の中にある、服だけなのに……幸はどこか俺を美化しているというか……そんな気がする。
「…えっと、それじゃあ……」
なんだか、どうしたらいいか分からず、後ずさるが、幸はエッ…と声を出した。
「洸人…こっち来てくれたから、また俺の家来てくれるのかと思ったのに……」
驚いた。まっじで、そんなこと一言も言っていないからだ。…ちょっと怖い。
……行っていいのか?
自身が電車で考えていたことを思い出す。
そうだ、俺は千透星くんから逃げてきたのだ、次までに解せとかいう……脅しから。
今、電車に乗って帰ったとして、千透星くんが俺を駅で待ち伏せしている可能性は充分ある。それに、1個手前の駅に降りて避難(?)した意味がないじゃないか……
…意を決し、俺は1歩前に踏み込んで、幸に対して少し前かがみになった。
「へっ!洸人、近ッ……」
「幸!…のっ、家行っていい!?」
……もしかして、今のキモッ……
「もちろん!来て!」
まずいと思ったのもつかの間……
幸は即答すると、俺の手を掴んで、自身の家であろう方向に歩き出した。
「えっ!…ちょ、い、いいの!?」
急に腕を引っ張られて、足がもつれながらも幸について行く。
そう話しかけていると、幸は急に立ち止まり、俺は幸の背中に顔をぶつけた。
鼻がジンジンとして、思わず鼻を抑えた、
頭上にある、幸の顔を見上げる。
なっ…なんだ!?
文句の1つでも言ってやろ……
「洸人の為なら、いいんだよ。それに、来たいって言ってくれて…俺、すっごく嬉しい!」
文句でも言ってやろうか……
という考えは幸によって吹き飛んだ。
だって、幸は振り返って、俺を満面の笑みで見つめている。
心做しか、いや、確実に…
俺の手を握っている幸の力が強くなった。
俺は……嬉しくなったのか、力を弱めて欲しかったのか、今でもよく分からないが…幸の手を優しく握り返すと、
幸は心底嬉しそうに顔を歪めて、
俺の手が離れないためにか、手を絡めるように繋ぐと、家まで俺を引っ張った。
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