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「日向!おいっ!」
「...」
日向は聞こえないフリしてるのか、何を言っても俺の腕を掴む力を緩めようとはしないし、日向は足が長く歩幅がでかいからついて行くだけでも精一杯だ。
「...なぁ、日向...怒ってるんだろ」
「別に...」
「じゃあ、俺の腕離せ、歩くの俺と合わせろ。」
日向はそう言うと少しシュンとした様子で振り返り俺の掴んでいた腕を離すと、素直に止まってくれた。
...ちなみに俺は当たり前に疲れている、日向に引っ張り回されて結構酔いがまわってきたのを自覚する。
俺は日向の前をとぼとぼと歩く、すると何も言わずに日向は後ろに着いてきた。
こういう所正直なのはなんなんだ...
ーーーーー
日向を連れて自身のマンションの鍵を開ける
「ただいま...家...」
俺はものすごく疲れが溜まっていたので帰ってきた勢いでそのままベットに突っ伏す、
顔が熱い、
外は風が吹いていて涼しかったのに、このまま寝てしまいたい所だが、今は日向もいるからなぁ...
横目で日向の方を見る
日向は寝室の扉の前で突っ立っている。
...俺がなんか言わないと、いけないんだろうか...
正直、めんどくさいなぁ...
ポヤポヤとした頭で考えるが、何も思い浮かばない、早く寝たい。
「...兄さんシャワー浴びた方がいいよ。」
...あぁ、シャワー
...そうか、そうだった。入んないと、あと化粧も落とさないとなぁ、
「日向、先入っていいよ。」
「いや...えっと、ダメじゃない?兄さんが先入ってよ、寝ちゃうでしょ...」
「確かになぁ...」
「確かにな...って...」
困ったように日向はこちらを見ている、俺のことどう扱えばいいか分かんないんだろうなぁ...ははっ...もっと困ったらいいさ、俺はお前のこと嫌いだし...
昨日、日向が俺の家に泊まった時は何も会話しなかったなぁ...
いや俺が避けてたんだ、うん、
こんなさ、すっかり変わって、情けない俺を見たら日向も避けるだろうなって思ってたんだよ。
...ははっ...
「あははっ...」
「...兄さん?」
...あれ、
何かが頬を伝う感覚がする、
驚いて瞬きをすると、また、
上半身を起こした、
濡れたシーツを見る、
...あぁ、
俺泣いてんだ。
顔は熱いままで、涙は止まらない。
驚いた様子の日向がリビングからティッシュを取ってきてくれた。
「どっ...どうしたの...?大丈夫...?」
日向はおずおずといった様子で、ティッシュで俺の涙を拭う、
何してんだろ、俺。
「もっもしかして...あの友達の人になんかされたとか?」
「ちがう、ちがうんだ、」
違うんだよ、ほんとに、なんで俺泣いてんの?バカみたいだ。
透は良い奴だ。
なのに、俺は、
気を遣わせていたんだろう、透なりの、
日向にだってそうだ、
俺は日向から逃げたくせに、今慰められていて、挙句の果てには、俺は昔の日向のようになっている。
俺ってなんなんだ、
昔から何にも変わってないじゃないか、
今も昔からの考えすぎる癖が働いてる、
日向に俺は何も言えない、資格がない
こんな姿、弟に1番見られたくなかった。
もういっその事、さらけ出してしまおうか、それでとことん、俺のこと嫌え、
これでどっちにもいいように俺らは離れられる。
「俺さぁ、もう自分のこと、わかんないよ、」
「...え?」
涙で視界が滲む、思いっきり泣いて引かれようと思ったけど、俺の少しのプライドと自制心が働いてる。俺ってバカだな。
「俺最近、嫌気さしてんだよっ...見た目も性格すらも、昔のお前に似てきてさぁ...」
コレ本人に言うことじゃねぇなって今気づいた、けど日向には俺を嫌ってほしいからもうどうでもいい。
俺を
受け入れるな、
「...兄さん、俺はさ」
「兄さんみたいに...なりたかったんだよ。」
「...はぁっ?」
思わず声が出る、
なんだよ、俺みたいになりたいって、お前なんでも出来んじゃん、俺より出来るじゃん。いつも俺から全部奪ってきたくせに、バカ言ってんじゃねぇよ。
ふざけんな、
「...ふざけんな」
「兄さんは...ずっと、そう、思ってたんだね。」
あ、今の全部、口に出てた、
まずい、直感的にそう思った。
「違っ...「別にいいんだ、兄さんは俺にとって...今も昔も特別だから、」
「兄さんはずっとありのままだったよ、それに俺は憧れたんだ。」
「今の俺を見てよ。」
今の日向...?
そういえば日向は、
化粧も、してない、
髪も、セットしていない。
まるで中学生の頃のような...
「中学生の頃みたいでしょ?...けど、もう違うよ...あんな事しないし、見た目は一緒でも成長したつもりだよ。」
「皆案外、こんな俺でも受け入れてくれたんだ。ありのままでいることってこんなに気楽なんだね、」
どれも、これも、兄さんのおかげだよ。
違う、違うんだ。
俺は、もう違うんだよ。
あの頃の俺じゃない、もう変わっちゃったんだ。なにもかも、変わってしまった。自分で変えてしまった。
あぁ、なんて俺は馬鹿なんだ。
逆ギレもいい所だ。恥ずかしい、もう消えてしまいたい。
「ねぇ...兄さん」
もう違う、
「兄さんってば、」
兄さんって呼ぶな、
「兄さん!!」
俺は日向が大きな声でそういった時、ハッとした。俯いていた顔を上げて日向の顔を見る。
日向は、
泣いていた。
「俺はッ!!兄さんが俺のこと、どんだけ嫌いでも、離れないからぁっ...!!」
縋り付くように俺に抱きつく、
勢い余って俺はベットに押し倒されるような形になってしまった。
けど日向は、そんな事お構いなしに俺の胸で泣きじゃくる
その姿が、
昔の日向と重なって、
「ははっ...」
微笑んでいた。
なぜだろう、分かんないけど、
俺は日向を思いっきり抱きしめ返した。
「もう...離れないで...」
俺は本当は...
昔から色々深く考えすぎる癖がある、ブサイクのくせにとか言われると気にするな気にするなと思うほど結果気にしてる自分がいる。
昔の俺はこれで自信なくしてたらダメだと思い勉強を頑張った、勉強は俺にとっての唯一の誇れる所でもあった。
そう弟が生まれるまでは、あいつは俺にとって怪獣だった。
俺が必死に築いてきたものをすべて壊したのだ(親からの関心、プライド)俺は勉強だけでも守ろうと必死に足掻いたのだが...抵抗も虚しく全てを壊されてしまった。
壊してきた上に「なんで頑張ってるの?」とか言われて逆ギレしない方がおかしい、
うん俺はおかしいのだ。
けど逆に怪獣に守るべきもの(町)を全て壊されて何をするってんだよ、正義のヒーローもさすがにそんな相手にかなうわけないだろ、だから俺は自分のために生きることにしたんだ。
自分のために勉強を頑張る、それでいいそれがよかった。
人の機嫌伺って生きるのはキツイしそれで自分のこと卑下したって仕方がないそれに気づけたのは多分弟のお陰であるが...それでまたこの弟のせいで昔の自分を思い出していまうなんて、皮肉だなぁとも思う。
いつだって弟は俺のコンプレックスだった。
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